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<インドアグリーン>②土台と植物

土台となる植栽スペース

インドアグリーンというのは、部屋の中に外部空間を作るような作業なので、土台作りが重要です。

まずは、大きな植栽用のスペースを作ります。排水路もきっちりと整備します。

土は屋上庭園で使う軽量土壌を使用していました。通常の土は重すぎて、搬入も大変ですし、後から急に植栽スペースを設置することが決まった場合に、建物の床は水を含んだ沢山の土を置くことを想定して作られていないからです。また、外部の自然の土を持ち込むと室内に虫が入ったり、植物の病気を持ち込んでしまうこともあります。

毎日現場に行けるわけではないので、水やりはタイマー潅水を使用していました。イスラエル製でした。農業用などでもしっかりした潅水装置は、イスラエル製が多いとききました。一度水漏れを起こして大変だったそうなので、水やりの開始時間は朝の始業時間にセット。水圧と水やり時間は植物の様子をみながら微調整を繰り返します。


植物は?

植物は季節によって本当にいろいろなものを入れました。その時々でコンセプトやテーマカラーなどもあったので、暗いところでは育たなさそうな植物とて、ためらいなくどんどん入れました。

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すりガラス越しに自然光も入り、照明も明るいショールーム。

人間の目には明るく見えたスペースでしたが、植物たちにしてみれば真っ暗と感じるのでしょう。根腐れしたときのようにぐにゃっと枯れる。つぼみをつけていた植物も新しい花を開けない。最初のころは、2~3日おきに「植物が枯れています」と連絡を受けて、繰り返し対応に当たる日々でした。

華やかさが足りなければ、造花を買ってきたり、自作したりしてワイヤで取り付けて、何とか花が咲いているように見せたりもしました。心配そうに様子を見ていたクライアントさんも、だんだん「あれ?コレって本物ですか?造花ですか?」と笑って質問してくれるようになりました。

結局、適応しやすい植物は、常緑の森で生きてる下草や低木と、初めから室内での生育を想定されている観葉植物たちでした。それ以外でも、何とか順応した植物は、薄いグリーンの大きく広がった葉っぱをつけるようになりました。

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初めはしおれた植物を「このコは枯れてはいません!大丈夫です!」などとかばっていましたが、こういう環境なので、調子が悪そうな植物はさっと引いて、明るい別の現場に連れて行ったほうが良いなと思うようになりました。

それに自宅で育てるには、調子のいい悪いも含めてかわいいし楽しいけれど、お客様に見せるおもてなしのお花が調子悪いというのは、やはり良くないと思ったからです。

職人のHさんは「現場に搬入する前に70%くらいの遮光かけたら、いいんじゃない?」といっていました。仕入れと納入のタイミングがいつもギリギリで、植物を置いておくスペースもなかったので叶いませんでしたが、そうしたらだいぶ良かっただろうと思います。今住んでいるところの近くに貸し鉢のナーセリーがありますが、寒冷紗で上を覆って植物を休ませているところをよく見かけるので。



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昼間はまあまあ明るいと思うのですが…