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MBAどうだった?社会人になって学生に戻るという贅沢と葛藤
前の記事の続き、MBAってどうだった?という3つ目の耳タコQに対して、
・学生という立場に戻る
という不思議な体験、モラトリアムアゲイン、の立場で感じたことについて思うこと。
本来であれば収入を得て、税金を納める立場の社会人が、お金、時間、その他様々な機会費用を払って享受する今一度の学生生活。とはいえ研究に没頭するわけでもなく、会社には居ないけれど、また戻るビジネスの世界へ歩を進めていることには変わりない。中途半端と言えば中途半端。
中途半端ということは、何かにしがみついたりがんじがらめになっていないということかもしれない。ザ・MBAって感じでイメージされるような前途洋々キラキラ生活(=クラスメイトとバチバチ議論して、ケースコンペ出まくって、インターンモリモリして、就活ゴリゴリして、もしくは起業が云々、と同時にせっかくヨーロッパいるんだし旅行も行きたい、なんなら麗しのクラスメイトとほにゃらら、etc.)のように見える、様々な可能性の中に舞い戻る。きっとたくさんの選択肢の中から選んだ生活において、思考、行動も貪欲になっているところに、可能性が満ち溢れている。可能性に触れた時にワクワクするのか、ありすぎる可能性に押しつぶされてしまうのか。受け取り方次第かもしれませんが、きっと両方を行き来してMBAの日々を過ごしたのだと思います。
色々な葛藤に向き合い、自分で考えて、選んで、行動していくことを日々重ねていくのがMBAなのかもしれません。様々な葛藤があるけど、すごくポジティブな経験で総じて楽しかった、みたいなまとめになるのかな?
と、いきなりエグゼクティブサマリー的な若干エモめな長い序文を書きましたが、もうちょっと具体的な話を。
学生の本分は勉強です
MBA生、少なくとも自分の基本の生活は、
1.「ケース読んで、授業に備える」
そして自分が行っていた学校はこれに加えて、
2.「グループワーク、グループでの課題」
もうこの2つに尽きる気がする。
特に1学期。(学校にもよるとは思うけれど、1-3学期が1年目、それ以降が2年目。プログラムが1年か2年かでインターン、フルタイムそれぞれの就活時期が変わるかも)
どうだった?って言われて学生をやってた立場で答えるなら、どうって言われても困るんだけど、こんな生活だったんだよ
・授業行って、ケース読んで、グループワークしてたら平日終わった。
ケース時々超長文で萎えた。英語ネイティブじゃないと全部読むのは無理じゃない?って毎日思ってた。1学期2学期とか、1日何コマあるんだよ、、何ケースあるんだよ、、って。てかケース読むだけでも時間かかるのに、グループワークとかほんと喧嘩したりみんなのペースやら意見合わなくてイライラするやん。
あ、ケースっていうのはその授業に即した内容の色んな企業や団体での実際にあった出来事を読んで、それについて考察していく宿題の一種です。その出来事における問題点はなんだったのか、何が学べるのか。自分はどう思うのか、自分だったらどう対処するのか、この時のこの判断は正しかったのか、ほぼ毎回読み込んでいきます。1個のケースには大体数問の問いがすでに記載されていることが多く、その問いを基本は考えていくけれど、時々本当にただの読み物みたいのもある。それで授業中に先生がファシリテートしていきながら、議論をしていきます。この「議論」もね、MBAぽいよね。お国柄や個人の個性がバチバチ出て来て面白いです。元弁護士、元医者、元軍人、などなど色んなバックグラウンドの人がいるからこそ、知らない世界やものの見方を学べたり。自分がアジア人としての意見、日本人としての意見を尋ねられたり。日本では見えづらい、自分のアイデンティティが炙り出されたりします。やばい、思い出したらこういう議論でのいろんなことを書きたくなってきた。また別記で。
そうそう、グループワークっていうのはクラスの中でチームに分かれて宿題やらプレゼンを準備するタイプの宿題の取り組み方です。国籍、年齢、バックグラウンドバラバラで6,7人集まって(正確には集まらされて)。それぞれの得手不得手も性格もわからないまま一つのことを進める、成果物を作り上げるのは正しく「言うは易し行うは難し」を表している。でも面白いのが、一番すったもんだあって、不器用でうまくいかなくて、ぶつかり合って、でもみんないい子達で、なんとか「みんなで」頑張ろうとしたグループが一番長い時間を過ごして、今でも仲がいい。確かに一人ずば抜けて賢い人やリーダーシップが取れる人がいたり、さっさとタスク決めて割り振って要領よくできるチームだと楽かもしれない。ただ、記憶にはおそらくあまり残らない。そして自分の貢献について悩むと思う。ちなみにケースコンペとかだと自分らで好きにチーム組めるので、こういう不器用さとかは味わいづらい。
平日のことが長くなってしまったけど、
・金曜とか週末はバーだのクラブだの行って発散して、土日でまた課題やったり友達と遊んだりしてた(近場)いつ寝てたんだろうね。
・必要な時期には就活してた。
・試験とかもちろん学生だからあった。
・2年目になって選択制の授業になったら時間ができたから、友達と旅行したりした。
・論文も書いた。プレゼンもした。
色んな人と関わって、喧嘩したり笑ったり将来や様々な可能性について悩んで頭抱えたり、異文化交流とかたくさんして、総じて楽しかった。
って感じでしょうか。プラスここに目一杯の学校行事、前回書いたスペインのお祭りの数々、旅行とか数々のイベントが出てくるので、正直言って
・やりたいこと、やれること
・できること、できないこと
これらの棲み分け、優先順位がついていないと、常にモヤモヤに苛まれることになります。FOMOだとか、できるはずなのにできない自分に嫌になる。
可能性が溢れすぎて、有難迷惑レベルな贅沢な取捨選択をたくさん迫られ、日々が過ぎていきます。私が大好きなブルーハーツの歌詞を拝借すると、
あれもしたい、これもしたい、もっとしたい、もっともっとしたい、状態です。あの授業もこの授業も取りたい、でも取れるのは1つだけ、あのイベントも行きたい、でもあのイベントと重なっている、みたいな状況が多々起きる。さらに、MBA生の名前や立場を使うと、ビジネス界のネットワークを駆使して話を聞いてみたい分野の人に接することができたり、興味のなかった分野にも首を突っ込んでみる機会があったり、本当に扉が無限にある感じです。
でも、社会人経験を経てから学生に戻る、しかも自分が身を粉にして働いてきたお金を学費に充てる、(多分私費留学の大体の人がそうだと思う)本来なら稼げる、積み上げているキャリア・収入を費やして学生に戻っているかし、全てを無駄にしたくない、最大に学びたいし知らないことみたい知りたい、楽しいことももちろんしたいし、ある機会を活用したいと考えて当然ですよね。(大前提として、好奇心がある人、自分の「やりたい」に素直な人がMBA行こっかな、と思いやすい気がする。向上心が高いとか、自分を変えたい!降って来たチャンス掴んでやる!みたいなアツイ人もいるんかな?知らんけど。うちの学校は結構ユル系だったのかもしれない)
まぁとりあえずGet the most out of itという感じです。ただし、お金も、時間も、そして体力も有限です。
いかに自分を見失わずに、自分と向き合って、日々のたくさんの決断をしていくか。
これって、ビジネスリーダーに、もしくはすべての一生懸命生きる人間に必要な素質じゃないでしょうか?これを対象や重要度は様々ながら実行して、これはなんて新しい経験なんだ!というポジティブなことも、あーあれもやりたかったなこっちでよかったのかな、そういう迷い等も抱えながら、自分なりのMBA生活を作り上げていく、そういう感じ。
それがMBA生活どうだった?の一つの答えかもしれません。
また、もう一つの重要な面は、やっぱり人です。色んな価値観の人と一緒に過ごして、仲良くなったり喧嘩したり、理解できなかったり驚いたり、そんなことを経て、総じてやっぱり楽しかったよ。ということです。人についてで言うと、MBAに集う人の共通要素ってなんとなくあると思うので、これについても別に書いてみたいと思います。