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SnowManは何故売れたのか(上)
今日本のアイドルで大躍進をしているSnowMan。
2023年の年間CD売り上げランキング(オリコン)では、アーティスト順ではKing & Princeに次いで2位(売上額73億円)
2024年上半期では2位と約40億円の差をつけて1位(売上額84億円)。半年ですでに去年の売上額を超えています。
なぜSnowManがここまで売れたのか。
メンバーたちの魅力はもちろんですが、それ以外にもたくさんの要素が重なり合ってヒットしたのではないかと考えられます。
ジャニヲタ歴14年・SnowManファン歴7年の私が真面目に、できるだけ客観的な視点で考えてみました。
超長文になるので、上中下の3部編成でお送りしようと思います。
それぞれ売れた要因を
上:曲・ダンス・メンバー
中:ファン層と旧ジャニーズの売り方
下:時代
の視点から考えて書いていきます。
※本記事ではジャニーズって言っていますが、今はSTARTO ですね。慣れない…
ミュージシャンとしての魅力
SnowManが売れた理由の一つに「YouTubeがバスったから」というのが大きな理由としてあると思うが、なぜバスったのかをまずは音楽的側面から考えていく。
ダンス
まず大前提として、全員ダンスが上手い。
ラウール以外は下積みが長いこともありダンススキルが高く、ラウールは幼い頃からダンスをしており賞をとっていたりといった経歴もある。
現在K-POPが勢いがあり、その中でダンスのうまさを重要視する風潮があるので、ダンスが上手いのはとても大切なポイントだ。
ただそれだけでは売れない。
SnowManのバズった動画の中に「Crazy F-R-E-S-H Beat」Dance Videoがあるのだが↓
それまではジャニーズでダンスのうまさを全面的に押し出したグループがいなかった。(今はTravisJapanがいるが当時はデビュー前で知名度が低かった)
ジャニーズは本来ダンスが下手というよりは「ダンスよりキラキラアイドルをアピールポイントとしているが故にダンスのうまさを全面的に出していなかった」だけだったのだが(キラキラアイドルと激しめダンスは共存しづらいため)、
KPOP好きに「ジャニーズはダンスが下手」とバカにされることが多かった。
しかしこの動画によって「ジャニーズも踊れる!」ってことを知った人も多かったのではないだろうか。
またこの動画ではダンスが上手いだけではなく
・キラキラ衣装ではなくシンプルなスーツ、真っ白な背景、ほぼ固定アングルでダンスに全集中させる
・人数が多いのにも関わらず全員のダンスが綺麗に揃っている
・素人でも「これはダンスが上手い」と伝わる振り付け
・上からのアングルもあることによってフォーメーションの美しさも伝わっている
といった工夫ポイントが散りばめられている。
ここに書いた「素人にも上手いってわかるダンス」っていうのが個人的にめっちゃ大事だと思ってて、素人ってダンスの良し悪しわからんのよ。
めっちゃ下手なのはわかるけど上手いのはあんまり違いがわからない(そこそこ上手くてもめっちゃ上手くてもそこめで違いがわからない)し、「本当はめっちゃ難しいけどぱっと見簡単に見えるダンス」とかいっぱいあるし。
だから「素人が見てもちゃんと上手いのが伝わるダンス」って意外とチョイスが難しい。
これを振り付けたのがメンバーでリーダーでもある岩本さんなのも含めてすごい。セルフプロデュース力の高さがうかがえる。
個人的に、岩本さんはダンスの振り付けはもちろんだけど、フォーメーションがめちゃくちゃいいと思ってる。
人数を活かした大胆かつ息の揃ったフォーメーションダンスも見所。ちゃんとその時は上からのアングルで撮ってくれる。
あとグループ全体の身長が高く(平均身長約177cm)、ダンス映えするのも強み。
唯一160cm台の佐久間さんは持ち味のダイナミックなダンスで背の低さをカバーできていて全然悪目立ちしていない。
また後ほども述べるが、全部が全部こんなにゴリゴリ難しいダンスというわけではなく、ブラザービートのようなキャッチーなダンスの曲もある(簡単とは言っていない)
様々なジャンルのダンスができるのもSnowManの強みである。
曲
SnowManの音楽はとにかく幅が広い。
一部挙げると
・ダンス:Crazy F-R-E-S-H Beat
・キラキラアイドル:オレンジkiss
・キャッチー:ブラザービート
・かっこいい:Grandeur
・可愛い:Big Bang Sweet
・爽やか:HELLO HELLO
・大人:ミッドナイト・トレンディ
・セクシー:Toxic Girl
・キュンキュン:タペストリー
・元気:ナミダの海を超えて行け
・バラード:EVERYTHING IS EVERYTHING
・舞台:ひらりと桜
・トンチキ:キッタキッテナイ
などなど。
ジャニーズのアイドルは比較的色んな曲を出してるグループが多いけど、SnowManは特に満遍なくどんな曲もあるし、なんでもできるなっていう印象。
下積み長くていろんな先輩のバックについていろんな曲をやってきたのが活きているのかなと思う。
ジャニーズっぽさが0ではないけどやや薄め、ぐらいなのがちょうどいいんだと思う。
特に、キャッチーな曲があるのは知名度アップや新規獲得にとても重要。
難しすぎたりキャッチーじゃないとそもそも覚えてもらえない。
ブラザービートは映画の主題歌であること、曲が印象的でキャッチーなこと、振り付けが個性的だがわかりやすいことからファンじゃなくても知っている人が多い曲の一つである。
「学校の運動会のダンスで踊りました」ってインタビューで答えている一般人の映像も見たことある。
ちなみに嵐もこういう曲が多い。国民的アイドルになった理由の一つだと思う。
いろんな曲ができると、
・幅広い層の人に刺さりやすい
・タイアップに起用しやすい
・飽きられにくい
といったメリットがある。
メンバー
ここからは、SnowManが売れた理由についてメンバーという側面から考えていく。
異例のメンバーの追加
2015年ぐらいまではジャニーズJr.は固定のグループというよりはその時々にユニットを組んで(今は亡き)THE・少年倶楽部で曲を披露することが多かった。(この時代をジュニア全無所(無所属)時代とか言われることもある)
それ以降は固定のグループを作って活動することが多くなった。
その中で誰かが事務所を辞めてメンバーが減ったり追加されることは度々あった。
しかし、SnowManほど歴史が長く(前身グループは2009年、6人になったのは2012年)、メンバーも若くなくグループとしてがっつり活動しているようなグループにメンバーが加わるのはかなり異例だった。
当時ジャニヲタは結構大騒ぎしてた。
話題性としてもかなり強力な一手だったと思う。
メンバー追加には賛否両論あった。ラウールさんがあまりにも若かったこと(当時中学三年生)や、6人じゃダメだと言われたように感じたという意見、メンバー増えたんだからデビューするのではと期待する声など。
結果的にメンバーを加えたことはヒットに間違いなく貢献していると思う。
ただそれは元々の6人ではダメだったとかこの3人のお陰とかそういうことではなく、6人と3人が合わさってうまく化学反応を起こしたという方が正しいのではないかと個人的には思っている。
個性豊か
メンバー9人もいると「名前が覚えられない」「誰が誰だかわからない」という風になりがちだが、SnowManのメンバーは個性がありキャラ付けというか自己プロデュースがしっかりしていて、ファンじゃなくてもわかりやすいし覚えやすい。
軽く紹介してみると
・岩本照:ダンス・振り付け、筋肉・SASUKE
・深澤辰哉:最年長、MC担当、いじられキャラ
・ラウール:最年少、モデル、ダンス
・渡辺翔太:美容、メインボーカル
・向井康二:お笑い担当・バラエティ、カメラ
・阿部亮平:インテリ・クイズ、あざとい
・目黒蓮:ビジュアル担当、俳優、テクノカット
・宮舘涼太:舘様、料理、ボケ担当
・佐久間大介:アニメオタク、アクロバット、ピンク髪
結構わかりやすい。
KPOPアイドルみたいに頻繁に髪色や髪型を変えるわけではないから、一回覚えればもうわからなくならないのもポイント。
仮に名前覚えられなくても、「アニオタの人」「冒険少年に出てた人」とか特徴で覚えてもらえる。
そしてこれだけ色々バラバラだと、誰か一人は刺さる人が出てくると思う。
入り口が多い
「個性豊か」から繋がるんだけど、各メンバーがそれぞれの得意分野でメディアに出ることができる。
そのため必然的にテレビをはじめとしたメディアに呼ばれることが多くなり、たくさんの人の目に止まりやすくなる。
幅広いメディアやコンテンツに出演することで、いろんな人に知ってもらえる機会が多い。それによってそのメンバーだけでなくSnowManというグループも知ってもらえる。
これの何がいいかって、いろんな界隈の人を引き込めるところ。ファンが同じ属性の人ばかりより、色々な人がいたほうが運営側からしてもリスクヘッジになるからありがたいと思う(似た属性の人は離れる時も同時に離れるため)
ちなみに、「同じ人に何回も繰り返し会うと、知らず知らずのうちに親近感を持ってしまう」ことを心理学でザイオンス効果というらしいのですが、
「この人SnowManの人なんだ〜」「え、この人もSnowManなの?!」みたいになって親近感を持つ人は出てきていると思う。
ケミ
アイドル用語でケミ(chemistry、化学反応・相乗効果)といって、メンバーの組み合わせのことを指すんだけど、これが好きな人が一定数いる。
なぜケミがいいかと言うと、そのメンバーの組み合わせでしか見れない関係性や空気感がいいっていう需要があるから。
ジャニーズでは似た意味でシンメ(シンメトリー、左右対称)って用語の方が使われてるかも。なぜシンメかというと、Jr.が先輩のバックにつくときに先輩を挟んで左右対称に配置されるメンバーが結構固定でセット売りされることが多く、その分関係性ができているから。
SnowManはグループの歴史が長く、6人でバックについていたことが多いからシンメの関係性強くて結構シンメ推しもいる。
渡辺宮舘に至っては保育園のガチ幼馴染なのでシンメどころではないんだけど。(保育園の組名からとって「ゆり組」と言われている)
グループ内の雰囲気
グループ内・メンバー間の雰囲気が和やかで好きっていう人も多い。
人間同士の雰囲気ってこうやって文章で表現するのが難しいけど。
最年少であるラウールさんを大事にしようっていうお兄ちゃんたちがいるのもいい。
最初にYouTubeがバズったのも、みんなコロナで暇だったのもあるけど、メンバー間の雰囲気が良くてバラエティが面白かったから観る人が多かったのだと思う。
2023年に事務所が色々あって毎年恒例のジャニーズカウントダウンができず、代わりにYouTubeで年越し生配信した時も同接133万人で日本記録を樹立していました。
曲だけが好きな人はこういうの見ないと思うし、同接ってCDと違って一人で何個もってできないから、本当にファン増えたんだなって驚いた。
話が逸れたけど、グループ全体の雰囲気がいいから「○○君のファン」ってだけでなくて、SnowManというグループ自体が大好きって人が多いのも根強いファンがいる理由だと思う。
YouTubeは全員じゃなくて数人ずつ出ることが多いんだけど、自分の推しが出てなくても見たいって思わせられるのは強み。
あとグループの雰囲気が嵐を彷彿とさせる、という意見も結構見かける。
いい意味での親しみやすさ
メンバーたちはアイドルでもちろんキラキラしているんだが、普段はそれを押し出さず「近所のかっこいいお兄ちゃんたち」的な親しみやすさを売りにしている。
世間には「アイドル」という肩書きだけで嫌うような人たちが一定数いるが、
「アイドル」という見方ではなく「かっこいいお兄さん」という見方をされるので、苦手意識を持ちづらくなっている。
それでもって歌ったり踊ったりしている姿はちゃんとキラキラアイドルな上にダンスがバチバチに上手いので、そのギャップもセールスポイント。
長い下積みの成果
グループが結成されてから歴史があり、個人としても下積みが長いメンバーがほとんどなので、確かな技術がそこにある。ダンスも歌もバラエティも。
だからバラエティに呼ばれることが多いし、自分たちの番組を持たせてもらえる。
曲も定期的にリリースさせてもらえる。
ちゃんとしている人たちってわかっているから、安心してコンテンツを見ることができて、それに対して「お金を払ってでも観たい」っていうファンがついてくる。
メンバーの意識の高さ
彼らは現状で満足することなく、常に進化を続けている。
岩本さんは楽曲の振り付けをしているし、阿部さんは新しい資格をとっているし、向井さんはタイ語でYouTube出てる、などなど。
先ほども述べたが、元々ほとんどのメンバーが下積みがとても長かったことも関係していると思う。
世間からすれば突然出てきたグループのように思われるかもしれないが、本人たちにとってもファンにとっても長い下積みを経てのやっとのデビュー・ヒットである。
だから「この環境が当たり前じゃない」「ファンを大事にしよう」「これからも進化し続けていこう」っていう気持ちをみんな持っているように感じる。
長い下積み時代に身につけた技術に満足せず、常に進化し続けようという高い意識がグループ全体にあるのではないか。
中編では
・SnowManのファンダム(ファンの集団)の特徴
・旧ジャニーズのビジネス戦略
と言う側面からSnowManの売れた理由を考えていく。