お薬が承認されるのって、イイヨネ
お疲れさまです、治験のいぬです。
先日、ある薬剤が承認販売されました。
すでに販売されている成分が、用途を変えて認められた形です。
僕も治験に関わっていたものですので、
「こんなことが大変だったなぁ…」と思い出されます。
(「思い出される」と書いているのは、治験の終了から販売承認の申請までに、2~3年以上かかるからです)
薬の仕組みから予測して、「こういうことにもおそらく効くだろうなぁ」と
医師が考えて処方してみた結果、効いてくれたことが発端となります。
このように、医師の裁量によって、本来の用途とは別の使われ方をする薬もあります。(適応外使用といいます)
今回は、これがきちんと治験を通じて効果が認められた形です。
日本は国民皆保険ですから、どんな病気をもっている人に、どんな薬が使われているのかというデータが収集されています。
そして政策や薬の製造体制などに役立てられたり、どの病気にどのくらい税金がかかっているのか…みたいな政策に役立てられたりします。
ここに適応外使用が入ってくると、データの解釈が難しくなります。
ある病気(A)の仕組みに、別の病気(B)を抑える薬の作用が必要な場合、
医師は「(本当は病気Aにかかっているけど)この人は病気Bにかかっているから、薬が必要だよ」とカルテに登録し、薬を出すことがあります。
すると、カルテに登録された情報をもとに健康保険の支払いが行われます。
薬局で処方箋を見た薬剤師は、「おや、これはBの薬だけど…患者さんはBの症状は無さそうだな。なるほど、この容量で処方されたということは、患者さんはおそらく病気Aなんだな…」などと思いながら、病院で言われた診断や症状を確認し、薬の説明を開始します。
(何度も同じことを聞くなと言いたくなる理由もわかるのですが、こういった背景があることも多々あります。協力してあげてください)
今回新しい使い方で承認されたお薬は、僕たちが毎月おさめている保険料が正しく使われることにもつながっているわけですね。
日頃の業務から忘れてしまいがちですが、こういう視点でも業務できるようになると良いなぁと思いました。