第32回:思い出し笑い「立川キウイ、真打ち昇進」(&ツルコ)
第32回:立川キウイ、真打ち昇進
*intoxicate vol.85(2010年4月発行)掲載
先日、立川談志の弟子、立川キウイの真打ち昇進決定のニュースがありました。万年前座として有名でしたが、昨年出版したそのまんまのタイトルの本『万年前座』を談志が読み、よかったからご褒美に真打ちにしてやろう、ということらしいです。ホント?
東京の噺家には、前座、二つ目、真打ちという階級があり、最初の前座修行はだいたい三〜四年くらいなのですが、キウイはなんと十六年もの間、前座のままでした。何度も破門されたり、復帰したりということはありましたが、長い長い前座時代を経て、二〇〇七年にようやく二つ目になったと思ったら、もう真打ち!
落語協会や落語芸術協会では、昇進は理事会で決定しますが、立川流の場合は、家元・談志のワンマン決定。二つ目は落語を五十席と踊りなども身につけていなければならず、真打ちになるには落語百席、というキビシイ決まりがあるんですが、それは職業落語人コースのほうで、立川毒まむ志、立川藤志楼、立川錦之助(それぞれ誰だかわかります?)などが弟子入りしている芸能人コースのほうは、また別です。
そういえば談志は、真打ち昇進のことで対立して落語協会を飛び出したんでしたね。家元として立川流を立ち上げ、上納金制度を導入したり、芸能人コースを設けたりと、革新的なやりかたで独自の落語スタイルを追求していきました。現在の落語界の活況の一翼を担う存在です。弟子も、寄席への出演ができないというハンデがありながらも、落語会や独演会で芸を磨き、頭角を現してきています。早くから人気を確立している立川志の輔、昨年、師匠との関係を綴った「赤めだか」がベストセラーになった立川談春、“シネマ落語”で注目され、今年入門二十五周年を迎える立川志らく、古典落語を現代に置き換えた改作落語が評判の立川談笑など、弟子の活躍が目覚ましい立川流ですが、家元も著書や落語音源のリリースなど、自身の芸の総まとめ的な活動をしています。聴いただれもが絶賛していた二〇〇七年末の伝説の高座「芝浜」の音源が、六月発売のBOXセットに収録されるらしいです。ファンには朗報ですね!
家元の体調が心配ですが、四月から高座復帰の予定もあるようですし、キウイの来年七月の真打ち昇進も決まったことですから、まだまだ憎まれ口をたたきながらのご活躍、お祈りしております
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