第44回:思い出し笑い「暑い夏は、寄席で涼みながらのんびりしてみるのもよろしいかと。」(&ツルコ)
第44回:暑い夏は、寄席で涼みながらのんびりしてみるのもよろしいかと。
*intoxicate vol.99(2012年8月発行)掲載
お暑うございます。8月になると、今年もお達者でなにより、とうれしくなるのが、上野鈴本演芸場の中席(10日〜19日)。落語協会最高顧問の三遊亭円歌が、毎年8月のお盆時期に恒例でトリを務めてきています。ご存知「中沢家の人々」を毎年楽しみにたくさんのお客さまが詰めかけ、なかにはアメリカから来るかたもいらっしゃったとか。今年も「爆笑暑中見舞い」として、連日熱演つかまつり候!と頼もしい限り。最高顧問は、7月の上方落語協会会長の六代・桂文枝襲名披露にも東京からかけつけ、口上の高座に並びました。いつまでもお元気で高座に上がっていただきたいと手を合わせずにはいられません。
最近、高座姿が見られないのがさびしくて心配なのが古今亭円菊なのですが、この秋に弟子の菊六が、春に単独真打昇進した春風亭一之輔よりも多くの先輩を抜いて真打に昇進することになっており、晴れ舞台の披露興行の口上に師匠の姿が見られるのかどうか、気になるところです。そんな28人抜き大快挙な菊六の、真打昇進記念CDのリリースが! すでに「名演集」ですよ。寄席にお越しになれないかたも、ぜひこちらでその芸の実力を確かめてみてくださいね。
この秋の落語協会の真打昇進は、春に続いて2名が抜擢昇進。菊六は文菊に、古今亭志ん朝の最後の弟子、朝太が志ん陽となります。このポスターがまた、本人を越えた(失礼!)カッコよさ!え、これ朝太さん? 本物??お役者さまのよう。9/21から11/10まで50日間に渡って都内の各寄席で披露興行が行われます。
落語芸術協会も、桂平治がいよいよ十一代目桂文治を襲名! 同じく9月の下席(9/21 〜)から襲名披露興行が始まりますので、この秋は寄席が賑やかになりますね。
今年は10月まで暑さが続く、とオソロシイこともいわれていますが、寄席によっては、入れ替えなしで一日中いられるところもありますし、笑っても眠ってもよし、な寄席で涼みながらのんびりしてみるのもよろしいかと。
毎度新作が楽しみな落語専門レーベルのワザオギから、またまた素晴らしすぎるCDが出ました! 落語協会の副会長を務める柳亭市馬が、「子別れを通し口演したもので、上・中・下がそれぞれ1枚ずつに収められた3枚組。下の「子は鎹」はよく高座でもかけられますが、通しで聞く機会はなかなかないので、貴重な記録ですね。昨年5月、3夜連続で行われた独演会で3日に渡って演じられたものです。通して聞くと2時間以上になるのですが、これがもう噺の世界に引き込まれて、たっぷり聞き終わったあとの心地よい満足感! 堪能するとはまさにこのこと。3日間、楽しみに通って、その空間に身を置いて噺を聞くことができるのは一期一会の贅沢ですが、それをこうして分かち合えるなんて。ありがとう、ワザオギ!
そういえば、先日、人間国宝・桂米朝のアンドロイドが公開されて、一席披露したそうですが、ぜひ東京にも、もう一人の人間国宝だった柳家小さん(市馬の師匠)のアンドロイド、ほしいです。寄席にいて、迎えてくれたらうれしくない?