第33回:思い出し笑い「祝一○○回!」(&ツルコ)
第32回:祝一○○回!
*intoxicate vol.86(2010年6月発行)掲載
今年一月の「有楽町西武閉店!」ニュースには驚きましたねー。年末で閉店だそうですが、来年は何が入ることになるんでしょう。LABI? ニトリ?
そのマリオンビルの十一階にある有楽町朝日ホールで定期的に行われてい
る落語会が「朝日名人会」です。九九年ニ月にスタートしたこのホール落語
会が、この六月にめでたく第一○○回を迎えます。もう十年以上になるんで
すね。ソニーで「圓生百席」をはじめ、古今亭志ん朝、柳家小三治などの落語音源を手がけてきたディレクターの京須偕充氏がプロデューサーを務め、会の高座を記録して作品化することで、全国のファンがいまの時代の落語をt楽しめるようになった画期的な会です。その記念すべき第一回、そして第ニ回と続けて、会の趣旨に賛同した古今亭志ん朝が出演したことで、とても注目されたスタートでした。そのときのニ回の高座が、CD「朝日名人会」シリーズの第一弾作品。その後、志ん朝が急逝したために、この十七年ぶりだったCDが、生前最後の作品となってしまったのはなんとも残念なことでしたが(没後に残された音源からのリリースあり)。
「朝日名人会」は、東西の実力派が出演し、毎回聴きごたえのある内容で人気の会となり、今に続いています。録音することで、出演者のほうにも緊張感があることでしょう。演者本人、プロデューサーが納得できない高座は出さない、ということで、一○○回を迎えるこの六月で、作品化されているのは、演者別で六十ニタイトルになります。現在の落語を聴くことができる音源であり、さらに時間を経たときに、この平成の時代の落語を伝えるアーカイヴとなっていきます。古今亭志ん朝を始め、いまは亡き桂文治、桂文朝の高座がここに残されているので聴くことができるのがありがたい。そして〇六年からは、「朝日いつかは名人会」もスタート。目指せ「朝日名人会」! ということで、こちらは期待の若手真打ち、二つ目、前座が出演する会で、浜離宮ホールで行われています。
「朝日名人会」シリーズの最多作品は、桂文珍。古典あり、新作ありで、十タイトル十八席リリースされています。いずれは「文珍百席」でしょうか。次いで、桂歌丸も九タイトルをじっくりリリース。「笑点」だけではなく、ぜひ落語も聴いてみてくださいね。
最新作品は、お待ちかねの柳亭市馬がシリーズ初登場! そして、こちらも人気の柳家権太楼は、六作目となるリリースです。偶然でしょうか、どちらも五代目・柳家小さんの弟子。小さんのことも思い出しながら聴きたいニタイトルです。
そして注目してほしいのが、「朝日名人会」シリーズのジャケット写真。落語写真の第一人者・横井洋司が第一回からすべての会の高座を撮り続けているので、 CD化のときにはそこに収録された高座の写真をジャケットに使用しています。音源とともに貴重な記録なのですが、ちょうどこの号が出る頃、第一○○回となる朝日名人会の開催に合わせて、写真展が行われるそうです。CDも並んだら壮観ですよね。そちらはタワーレコードで?