第42回:思い出し笑い「祝・落語家生活30 周年!!!」(&ツルコ)
第42回:祝・落語家生活30 周年!!!
*intoxicate vol.97(2012年4月発行)掲載
始まりましたね、春風亭一之輔の真打披露興行。単独昇進ですから、50日もの間トリを務めなければならなくて、大変。 3月21日から始まった興行ですが、意外だったのが、落語協会会長・柳家小三治の出演が連日ではないようで。抜擢真打を誕生させた会長は、新真打についての公式コメントを発表したり、一之輔とツーショットでごあいさつしたりしてましたから、てっきりこの披露興行中は毎日口上に並ぶものとばかり思ってましたよ。がっかり。代わりと言ってはなんですが、一之輔と同郷(千葉県野田)だそうな鈴々舎馬風(最高顧問)が連日出演してくれちゃっていて、お約束の口上風景にさらに残念感アップ…。ではありますが、一之輔の晴れ舞台、この号が出るのが4月20日ですから、まだ間に合いますよ。21日から10日間は池袋演芸場の昼席、5月11日から20日までは国立演芸場にて。お見逃しなく!
そして今年、落語家生活30年という記念すべき年を迎えるのが、1982年に春風亭柳昇に入門、1992年に7人抜きで真打昇進し、いまや「笑点」の大喜利メンバーで、知名度全国区な春風亭昇太。残念ながら昨年でSWA(創作話芸アソシエーション)は解散してしまいましたが、30周年記念のソロ・アルバムがリリースされますよ!
今回収録されている昇太作の新作落語「吉田さんのソファー」は、SWAメイトの林家彦いちが、道ばたに置かれたイスを題材に新作落語をつくろうとしていたのを、昇太が引き継ぐようにして生まれた噺だそうで、このとき経験した一緒に落語をつくるおもしろさが2004年のSWA誕生のきっかけになったとか。昨年末に行われた独演会でのCD収録を前提に演じた高座が収録されていますが、SWAが終わる年にやりたかったそうです。落語会には、長いおつきあいの栗コーダーカルテット(ピタゴラスイッチのテーマの人たちね)がゲスト出演をしていて、この「吉田さんのソファー」はこれまでも栗コーダーの伴奏付きで口演されていましたが、今回はこのコラボレーション高座がCD化されることになり、うれしい限り! そして今作には、本まで書いてしまっているほどの城マニアならではの、「城好きの人」というムード歌謡な歌まで収録されちゃってます。作詞は昇太で、作曲はムーンライダーズの岡田徹。2月に細野晴臣と昇太による音楽と落語の会で初披露されたこの楽曲、昇太は自分でつくったこだわりの足軽衣装で歌手デビューして話題に。配信限定で先行シングルリリースもされてますので、ぜひ聴いてみてくださいね。CDではさらに、昇太が俳優の六角精児らと組んでいるグループサウンズバンドの楽曲も聴けますので、まさに「ざぶとん」と「おたまじゃくし」なアルバム。「吉田さんのソファー」「リストラの宴」を収録した落語会では、終演後にCD用にと客席全員による声援なども収録したので、ファンも参加したステキな30周年記念CDになってます。
春風亭昇太・52歳・独身・落語芸術協会理事。やりたいことやって、いつまでも楽しそうに長生きしてほしいです。