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生活はつづく

人生で初めて、凍った食パンをトースターで焼いてみた。

一度冷やされたパンは氷の結晶をまとっていて、湿っている。

これが焼けた状態が想像できない。水分を内包したまま、どこか堅くなるに違いない。

だが、パンはこんがりと、何ら常温のパンと変わらず焼けて、拍子抜けした。

これまで幾度となく、パンを食べきれずに放置し、端っこをカビさせて捨ててきた日々は何だったのか。

29歳になっても、こういったことはしばしばある。

 ◇

3年前まで、水道やガス、電気料金を口座振替にしていなかった。

自分で払った実感があったほうがいい、口座振替でなんとなく現金が落とされるのは生活に良くないと思っていた。

そのくせ支払料金の紙をため込み、催促されてようやくコンビニで支払っていたのだが、ついに3カ月前の支払いを忘れたがために、ガスと電気が止まった。ガスは良かったのだが、困ったのは電気で、一度止まってしまうと、支払っただけでは復旧できなかった。

面倒くさかったので1カ月ほど電気なしの生活を送った。ほとんど出張で家に帰らなかったし、会社が近くて充電できた。

そのことを会社の人に言うと、先輩はドン引きし、後輩は大笑いした。

気持ちを分かってくれるのは、星野源だけだった。

エッセイ「そして生活はつづく」に、同じような理由で口座振替をせず、散らかった部屋でマイケルジャクソンのグッズに気を取られつつ、焦りながら支払明細の紙を探す一節がある。

信念はある。そうそう、そうなんだよね。

だが、星野源はファミレスで仕事仲間に「残念な人」と言われ、そのうち口座振替に切り替える。

私も後輩に言われた。

「でも、口座振替にしないと。結局払えてないですもんね。」

実際に口座振替にしてみて思った。便利だ。手数料もかからない。

夫は「あたしンち」が馬鹿みたいに好きで、夕飯時にはたいていYouTubeの公式アニメが流れている。

こないだの回は「日記」だった。

みかんは日記をつけることに、幾度となく挫折してきた。

日記を始めるなら切りの良い数字が良い。気に入らないページを破いたら今度はギザギザになったページの残りが気になる。気合を入れて買った日記帳に尻込みし、たいそうなことが書けない気持ちになって辞めてしまう。

どれも分かりすぎて、うんうんとうなずいた。

私も今、日記が止まっている。空白部分は二つある。母とけんかして書くのが止まった2月半ばから6月半ば。そしてその先から現在。

日記帳なんだから、内容はしっかり書かなければという気持ちと日付通りに埋めていきたい気持ち。

完璧主義があだとなって中途半端になるパターン。

生活がへたなひとの共通点って、こういうところではと思っている。




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