元コミュ障のトップ営業マンが語る、人に好かれるコミュニケーションの秘訣
僕は話すのが得意じゃない。
中学生のときに、ある出来事がきっかけになってコミュ障になった。
それからの僕は、一言誰かに声をかけるのにも勇気が必要だった。
うまく話せないから、嫌なことされても言い返せない。
本当はこういうことを伝えたいのに伝わらない。
ウケを狙うと場がしらける笑。
もう、人と話すのが本当に苦痛だった。
そんな僕が数年後、営業トップになった。
もちろん、うまく話せるように努力してきた。
伝え方も工夫してきた。
でも、トップになれた大きな要因はそこじゃない。
聞く力を伸ばしたからだと今では確信している。
世の中的には、話がうまい人が好かれて営業もできるイメージがあると思う。
そういうタイプも多い。でも話が決してうまくなくても結果は出せるし人から好かれる。
コミュニケーションに苦労してる方がいたら、ぜひこの話を聞いてほしい。
もっと楽にコミュニケーションをとれるようになるはずだから。
そもそも僕がコミュ障になったきっかけは、人に笑われたこと。
中学1年生のとき、授業中に先生に当てられて教科書を音読していた時だった。
音読中、言葉を間違えた。
そのときに女の子に笑われたことで、発言するのが急に怖くなった。
「そんなことで!?」
と思うかもしれない。
僕もそう思う。
そして、当時もそう思った。
小学校の頃は、笑われてもちょっと恥ずかしいぐらいで、人と話せなくなるほどではなかったから。
でも、なぜかそれから、授業で手を上げられなくなった。
手を上げて当てられて発言して、また誰かに笑われるのが怖かった。
そんな風に変わってしまったのも理由がある。
それは、自信がなくなっていたこと。
小学校5年生ぐらいのときに、父がリストラに遭い急激に家が貧乏になった。
おもちゃや本、CDは全く買えなくなった。冷蔵庫やテレビが壊れても買えなかった。
だから、友達との会話についていけなくなった。
そして運動部に入れなかった。
運動部に入れば、靴や服、大会に出るなら交通費がいる。
「そんなのにお金は出せない」
親からはそう言われていた。
それで、お金はかからないけど将来の役に立ちそうなコンピューター部に入った。
結局それが自信をなくす一番の原因となった。
小学校の頃はバスケットボール部に入っていたので、それなりに運動はできていた。
しかし、コンピューター部に入ってから1ヶ月2ヶ月と時が経つにつれて、明らかに運動部と差ができていた。
どのスポーツでも、みんなと同じようにできる気が全くしなくなった。
しかも、クラスの中心にいるのはたいてい運動部の子。
コンピューター部に入っている人間は、ただのオタクにしか見られなかった。
「自分はできない人間なんだ」
毎日そうやって劣等感を感じていた。自信なんかあったもんじゃない。
人と話せなくなったのには、そんな背景があった。
では、そんな人間がどうやってコミュニケーション力を高め、営業トップになるまでになったか。
ここからはその話をする。
僕は人と話したくないながらも、
「トーク力上げて人気者になりたい」
「女の子にモテたい」
「人と話せないと将来仕事うまくやってけないよね」
という想いがあったから、どうやったらうまく話せるようになるか、日々試行錯誤していた。
でも一向に話す力が上がらない。
ウケを狙いにいけばだいたいスベる。
相手の言葉にうまく返せないから、話がスムーズにいかない。
「やっぱり人と上手く話すのなんて、自分には無理なんだな」
そう諦めかけていた大学2年生の夏、ある出来事をきっかけに考え方が変わる。
それは部活動の飲み会でのこと。
いつものようにワーワー騒ぎながら、みんな楽しそうに飲んでいた。
僕もみんなに合わせて、飲んだり騒いだりしてノリのいい人間を演じていた。
でも無理してるから、そんなノリがいつまでも続くはずがない。
だから、騒がしさからちょっと離れたところで座って休むことにした。
すると、そこには1人女の子が座っていた。
さっきまでノリノリで飲み会に参加していた子だ。
「おっ、これは口説くチャンスかも!」
と思い、でも何で一人で座ってるのか疑問を感じながら話しかけてみた。
ちなみに、その当時の僕は、聞き上手になる方法が書いてある本を読んでいた時だった。
あまりにも話すスキルが上がらなかったから、
「コミュ力上げるには人の話を聞くしかないか」
と、半ば諦めまじりで、相手の話を聞くことに意識を向けることにした。
「みんなと一緒に騒ぎに行かないの?」
単純に不思議に思っていたことを聞いてみた。
すると、
「疲れたからいいや」
と、返ってきた。
さっきまであんなに楽しそうに騒いでた子が、疲れたなんて言うなんて、当時の自分にはカルチャーショックだった。
騒いでる子は、騒ぐのが好きだから騒いでるんだと思い込んでいたから。
「あれっ!?ああいうノリ好きなんじゃないの?」
と聞くと、
「わたしああいうの、実はあんまり好きじゃないの」
「えっ、意外!」
「そうそう、よく意外って言われる」
この会話で、今までの自分の固定観念が覆された。
でもよく考えてみれば、自分だってそうだった。
特に好きでもない飲み会のノリ。
みんなが騒いでるから、輪から外れないようにみんなと一緒に騒ぐ。
自分もそうだった。
でも、そう思ってるのは自分だけで、みんなはそうは思ってないだろう。
そんな固定観念が、いつのまにか自分の中につくられていた。
そんな考えが、この時の会話でぶっ壊されたのだ。
「あれっ、おれと同じじゃん!」
「えっ、そうなの!?仲間だね!」
そうしてその時は話がかなり弾み、結局その女の子が、僕の最初の彼女となった。
わけではないのだが笑。
でも、その時の出来事がきっかけとなって、コミュニケーションへの考え方がかなり変わった。
コミュニケーションは聞くことが大事なんだと。
相手に何か話をするとき、相手に対する自分の勝手なイメージを元に話をしていないだろうか?
「この人は賑やかなノリが好きだろう」
「この人は話が面白い人間が好きだろう」
「この人は明るい人が好きだろう」
でも、そのイメージは自分が作り上げたもの。
本心は相手に聞かないと分からない。
仮に相手が話をしたいと思っているなら、こっちが面白い話をするのではなく、相手がたくさん話せるようにした方がいい。
だからまず、相手に質問をすることが大事。
本当に自分のイメージ通りなのかどうか。
しかも、その質問自体も会話になる。
ネタ切れを防止するのにも役立つのだ。
また、このことは営業で成果を出す上でも重要だ。
相手のニーズを汲み取らず、売ろうとしている商品の良いところを言ったところで、売れるわけがない。
相手が何を欲しているのか、どんなことで喜ぶのか、そこを聞くことがまず第一だ。
それが分かれば、あとは自分の商品がそのニーズを満たせることを説明すれば、自然と売れる。
世間一般的には、話がうまい人が目立つし、そんな人に憧れやすい。
でも、話がうまい人が好かれるかと言えば、決してそうではない。
むしろ、話を聞ける人間の方が好かれると思っている。
もし話下手で、恋愛や仕事など、コミュニケーションに苦労している方がいたら、ぜひとも聞き上手になることを目指してほしい。
必ず人生変わるから。