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エスムラルダさんへのインタビュー/第4回「うまく話すよりも大事なこと」

ドラァグクイーンのエスムラルダさんにインタビューしました。
「人と話すのが苦手」「何を話せばいいのかわからない」そんな風に悩んだことはありませんか?
第4回では、演出家として、またライターとして、エスムラルダさんが人とコミュニケーションを取る上で大事にしてきたことについて伺いました。

動画版はこちら

プロフィール
1972年 大阪府に生まれる
1994年~ ドラァグクイーンとして各種イベント・メディア、舞台公演などに出演し、講演活動も行う
2002年 東京都の「ヘブン ・アーティスト」ライセンスを取得
2018年 作詞家・及川おいかわ眠子ねこ、作曲家・中崎なかざき英也ひでやの全面プロデュースにより、ドラァグクイーン・ディーヴァ・ユニット「八方不美人」を結成し、CDデビュー
11月14日には新曲『ジーザス!』の配信が開始された
また、本名の村本むらもと篤信あつのぶ名義でフリーのライター・編集者としても活動
3000円投資生活』(横山光昭 著)シリーズを始め、これまで携わった書籍のトータルの売上部数は300万部近くとなっている
2023年3月には自身の著書『話しやすい人になれば人生が変わる』(アルファポリス)を出版した

~前回のお話~
舞台『Bad Luck!』で初めての演出に挑戦したエスムラルダさん。
それまでは書いた脚本を他の人に演出してもらうのが好きでしたが、自身でやることによって、新たな楽しさを発見しました。

言いにくいことを伝えるコツ

――演出する中でキャストさんやスタッフさんに厳しいことを言わないといけない場面もあったんじゃないかと思うんですけど、言いにくいことを伝える時のコツって何かありますか?

ちゃんと褒めるところは褒めた上で、頭ごなしに「ダメ!」って言うんじゃなくて「ここはこうしてみようか」みたいに言うように気をつけてはいたかな。

自分がね、今まで本当に優しい演出の方にばっかり会っていたので。
もしすごく厳しく怒られてたりしたら、楽しめずに萎縮しちゃって、のびのびできるところをできなくなってただろうなと思う。

キャストの皆さんには萎縮しないでやってほしかった。
だから声を荒げたりとかは絶対にしなかった。
極力、その人の持ち味が生きるようにしました。

脚本を書いてる段階では、このキャラクターはこういうイメージでとか、このセリフはこういう風に言ってほしいとかっていうのはありました。

同じ脚本を3チームでやったんですけど、同じキャラクターを演じるのでも、キャストが違ったら全然アプローチも違った。

そこはもう柔軟に、自分の中の正解はこの人の演技が近いけど、でも他の2人のもそれぞれに面白いし、じゃあそれぞれの方向で伸ばしてもらおうみたいな感じで、背中を押す言葉をかけるようにしてましたね。

どうしてもここはこうしてほしいなってところは、「こういう風にやってみたら?」とか「今度こんな感じでやってみてもらっていい?」とか、  極力柔らかく言うように意識してました。

――エスムさんはライターとしてたくさんの方にインタビューされていますが、『話しやすい人になれば人生が変わる』の<テクニック編>に「会話の中に適切な質問を挟むことで、相手はあなたを話しやすい人だと感じる」と書かれていました。
質問力ってどうしたら上がるんでしょうか?

大前提は、相手に興味を持つっていうのと、難しいかもしれないんですけど、リラックスをすること。

頭が真っ白になることがたまにあるんですよ、私も。
何も思い浮かばないみたいな。

そういう時は、時間的な余裕があれば、少し雑談的なことをして時間稼いだりもするんですけど。
一回自分の状態を整えるためにね。

取材でインタビューする時は、話を聞きながら「ここ後で聞きたいな」と思うポイントを単語だけでもメモっといて、もし時間が余ったらそこを聞く。
用意してきた質問だけで全部時間が埋まっちゃうこともあるんですけど。

でも、そういう風にしておくと、時間に余裕がある時にはより話を掘り下げたりもできるので。
インタビュー相手にもよるんですけど、何かしら出てくるんですよね、もっと掘り下げたいポイントが。

やっぱりね、どんな人でも、質問に答える時に1から10まで詳しく言うわけじゃなかったりするじゃないですか。
端折はしょるところは端折って。
でも、意外とその部分に何かが眠ってるかもしれないので。

なので、「もし時間が余ったらこの辺りをちょっと突っ込んでみよう」みたいなのをメモっておくと、時間が余ったり質問に詰まったりした時にそれが役に立つこともあるのかなと思いますね。

相手の話をある程度の余裕を持って聞き、聞きながら自分の中でね、咀嚼していくと、突っ込みどころが見つかるかもしれない。

――『話しやすい人になれば人生が変わる』は正に「話しやすい人になりたい」という人のための本で、必要なマインドとテクニックについてたくさん書かれています。
詳しく知りたい方は本書を読んでいただければと思いますが、最後に「周りの人ともっと気軽に話したい」と思ってる人に向けてアドバイスをいただけますか?

あんまり周りの人とね、うまく話せてないなと思ってる人って、緊張してしまうとか、相手から自分がどう思われてるか気にしてしまうとか、いろいろあると思うんです。

本にも書いたんですけど、緊張しちゃう場合は最初に「すいません、ちょっと緊張してるんです」とか「緊張しいなところがあって最初硬いかもしれません」みたいに言っちゃうと少し気が楽になるかもしれない。

先手打って言っちゃうっていうのも一つの方法です。

あとは「うまく喋らなきゃ」って思うよりは「相手の話を上手に聞こう」っていう気持ちでいた方がいいかもしれない。
やっぱりね、基本的に人は自分の話をちゃんと聞いてくれる人が好きです。

相手の話を聞くことで、その人がどういう人なのかっていうのもわかってくる。
「この人はこういう言葉が欲しいんじゃないのかな」とか「今は黙って聞いてほしいモードなんだろうな」とか。

「うまく話そう」と思うよりは、「ちゃんと聞こう」と思うことが、話しやすい人になる上では大きな一歩ですね。

~完~

『SPECIAL2MAN SHOW』@シアターマーキュリー新宿(新宿マルイ本館8階)
2025年3月20日(木) エスムラルダ×ちあきホイみ
21日(金) エスムラルダ×ドリアン・ロロブリジーダ
23日(日) エスムラルダ×ギャランティーク和恵
各19時半開演

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