INTER SCHOOL@通訳者・翻訳者養成学校 公式note

通訳者・翻訳者養成学校のインタースクール 公式noteです。noteでは通訳や翻訳の学…

INTER SCHOOL@通訳者・翻訳者養成学校 公式note

通訳者・翻訳者養成学校のインタースクール 公式noteです。noteでは通訳や翻訳の学習方法のご紹介ではなく、通訳者に密着した内容を配信いたします。現役通訳者が語る、通訳業界のリアルな一面をのぞいてみませんか?

最近の記事

  • 固定された記事

インタースクール note、始動です。

こんにちは、通訳者・翻訳者養成学校の「インタースクール」です。この度、より多くの方に通訳者について知ってもらおうと、noteを始めることにしました! 通訳者になるための学習法や、通訳者の仕事内容については、インターネットで検索すればたくさん出てくると思います。しかし、通訳者がどういう思いで仕事に取り組んでいるのかや、通訳業界の裏側を知る機会はあまりないですよね? このnoteでは通訳者に興味がある人はもちろん、「通訳って単純に言葉を訳してるだけじゃないの?」や「まったく通訳者

    • メモと短期記憶力と長期記憶力

      逐次通訳をする際に、通訳者はよくメモをとる。あくまでも「自分があとで通訳しやすいように記憶の助けにする」ためのものなので、速記のようなルールは無い。オリジナル発言を覚えておけるのであれば、敢えてメモをとる必要も無い。 通訳者になろうと勉強している段階だと、「メモがうまくとれない。だから通訳ができない。」という悩みに直面する。しかし「メモさえあれば通訳できるはず」と思い込んでしまうのは本末転倒という気もする。通訳ができるくらいに内容が分かっていれば、メモはとれるはず。「メモを

      • 仕事の難易度を基準に選ぶべきか?

        通訳の仕事には、難易度というものがある。経験が浅くとも比較的お引き受けしやすいもの(テーマが一般的で、準備するための資料も過不足無く揃っている場合など)もあれば、専門的な知識や出席者に関する情報がなければ話についていけないものもある。これをX軸とする。もう一つの指標は、その通訳ができる通訳者がどのくらい存在して、どのあたりが標準レベルになっているか、である。自分の通訳パフォーマンスはそう悪くなかったと思っても、他にもっとパフォーマンスの良い通訳者がいれば相対的に自分の評価は低

        • タイムマネジメントにおける潔さ

          通訳者は仕事の準備にどのくらい時間をかけているものなのか。案件によっては事前情報がほとんど無く、(やむをえず)準備なしで現場に向かうこともあれば、たった1時間の会議のために何日もかかってしまうほど資料が多いこともある。多くの場合、もう少し時間があればもっと読み込めるのに!という消化不良のまま時間切れとなる。たとえば丸一日の社内会議で議題が5本あったとする。資料の束(実際にはPDFなどのデータで送られてくるが)も5本、更に開会挨拶や閉会挨拶、進行シナリオもあって合計8本だったと

        • 固定された記事

        インタースクール note、始動です。

          例えのありがたさ

          難しい話を分かりやすく説明しようと、例を挙げたり、何かに例えてみたりすることがある。日本語だけの会話であれば、相手と文化的背景を共有しているので、理解しやすい。その例えがあまり的を射ていなくとも、雰囲気で理解できることもある。しかしこれが英語話者と日本語話者の会話の場合、例えがまずいとますます分からなくなってしまうような気がする。 以前アテンドしたある外国人クライアントは、とても理論的で分かりやすく英語で話してくださる方だった。内容が複雑で私が理解できない時は、もう一度ゆっ

          通訳者の勉強方法と仕事の準備

           新規のお仕事を頂く際には、自分で言うのもなんだが、かなり準備をして臨んでいる。 クライアントから頂く資料だけではよく分からない場合は、自分なりに調べて、単語リストを作成したりもする。通訳者になりたての頃は、そもそもこの準備の方法がよく分かっていないので、的外れなものに時間をかけてしまったり、肝心の資料の読み込みが甘くなってしまったり、ということがよくあった。ただ経験を増やすことで、準備の方向性が正しかったのか、どこが不十分だったのかを考え機会も増え、少しずつ自分なりの方法が

          現場で起きる試練に

           先日あるセミナーの通訳をしたときのこと。 会場に到着し、同時通訳ブース内のオーディオ機器に自分のイヤホンを差し、資料を広げたところで、発表者との打合せに呼ばれた。 打合せはギリギリまで続き、ブースに戻ったのがセミナー開始の10分前。3分前アナウンスが入り、少し間をおいて司会者がセミナー開始を宣言する。司会者に促された主催者が壇上に上がり、開会挨拶が始まる。 ここからは原稿を頂いているので、こちらもその原稿どおりに通訳すれば良い・・・はずなのだが、主催者の声がほとんど聞こえて

          矜持か迎合か?

          私は以前、英文事務の仕事をしていたことがある。 企業の中で、コレポンや簡単な翻訳をしたりしていた。翻訳したものを、ネイティブがチェックしてくれるわけではなく、日本人に提出しチェックを受けるだけだ。 これはなかなか・・・自分の勉強にはならない。と思っていたら、職場の日本人が英文を書いて、チェックしてくれと言われるが、手を入れたらキリがないようなシロモノなので面倒臭くなって「これでいいんじゃない、って言っておいた!」というネイティブスピーカーの話や、自分が英語で作成した文書が日本

          仕事に愛着を持つべきか?

           通訳案件をお引き受けする中で、「楽しいお仕事」というのはいくつもある。 単発で楽しかったというものから、何度かお引き受けするうちに面白くなってきて、愛着を持ってしまうものもある。楽しいイベントの通訳だったという意味ではなくて、その案件の中でお会いした方々と話すのがとても刺激的だったとか、そのプロジェクトなり会議なりの主旨に共感できたとか、何かを感じ共鳴できる心の余裕がある時にたまたまその仕事と巡り会い、忘れがたい思い出になっているのだと思う。 この仕事を初めてからの数年は

          モチベーションは必要か?

          通訳に限らないが、何かを学ぶ上でモチベーションを維持できるかどうかは大きな要素だ。検定試験などのように、いついつまでと期間が決まっているならまだしも、どうやら長そうだとか、何年かかるのか自分でもよく分からないといった場合は、どのように気持ちを維持するのか誰でも悩むところだと思う。 ちなみに「何年で通訳者になれるのか」という「よくある質問」に対しては、「その人の努力による」という答えが出てくるのが一般的だろう。 これはそれだけバラツキが大きすぎて統計データがとれないということだ

          通訳あるある_睡魔:通訳者も眠くなる

          通訳の仕事の前は、たいてい大量の資料を読み込む。会議で使われるプレゼン資料そのもののこともあれば、関連資料というだけでどの部分をどう使うのか分からない場合もあるし、全くの参考資料だが一通り目を通さなければならないこともある。その資料がいつ手元に来るかが、分からない。もちろん早めに用意して頂いて、週末を準備に費やせるのであれば、ありがたい。しかしほとんどの場合、クライアント側は直前まで資料を作り込み完成度を上げようとするし、上長承認の後に正式資料として通訳者にも共有されるとなる

          通訳あるある_睡魔:通訳者も眠くなる

          通訳あるある_英会話:通訳者は英会話が苦手?

          この仕事をしたかったら、例えば原材料表示のラベル見て、これは英語でなんて言うんだろう、って一つ一つが気になるくらいじゃなきゃダメだよ、と言われたことがある。自分には無理だなとその時は思った。しかし最近、例えばテレビの街角インタビューを見ながら、頭の中でなんとなく英語に置き換えている。意識はしていないのだが、ぼーっとしていても、脳が同時通訳モードになっているようだ。英語ではない外国映画の日本語字幕をぼんやり見ていて、ふと気づくと、頭の中で英語にしていることもある。なぜわざわざリ

          通訳あるある_英会話:通訳者は英会話が苦手?

          そっちじゃないほう

          3人掛けの長机の端に、外国人のクライアントが座っている。日本人スタッフが「通訳さんのお席、すぐお隣がいいですよね。ご用意します」とおっしゃるので安心していたら、長机の空いている側ではなく、通路側に折り畳み椅子をポツリと置いて下さっていた。「隣って、そっちですか…。そっちじゃない、机のある方はダメなんですね…。メモを取ったり資料を見たりするので机のある方だとうれしいんですけど…。」とは今さら言えず、自分の膝を代わりにするしかない。膝にクリップボードとメモ用紙を載せることになるが

          「通訳の何が楽しいの?」と聞かれたら…

          通訳者は何が楽しくてその仕事に就いたのか。注目度の高い海外の有名人の通訳や大きなイベントの通訳はそう頻繁にはないので、「華やかな場に出たいから」という理由で選ばれる仕事ではないだろう。周りの通訳者の話を聞いていると、英語が好きというのはまず大前提として、あとは異文化交流の橋渡しができる、前職の経験や専門知識を活かせる、毎回違う分野の話が聞ける、自分が好きなことをしながら周りのお役に立てる、といったところだろうか。かつて通訳者を志した理由と、いま実際に稼働している理由が同じ、と

          「通訳の何が楽しいの?」と聞かれたら…

          通訳者の「続ける」ということ

          いわゆる駆け出しの頃、「どうしたらセンパイみたいになれますか?」とセンパイに聞いていた。こっちは右も左も分からずに緊張で半分固まっているのに、先輩方は何でも知っていて、何でも通訳できて、先が読めているのだ!すると「まず、続けることですよ」とにっこりアドバイスを下さる。「これさえやれば一人前の通訳者になれる」秘訣があるとはさすがに期待していないけど、(失礼ながら)なんとなく拍子抜けしたものだった。 あれから何年か、続けてみた。いや、気づいたら何年か経っていた。今になって、「続け

          占いとメンタリティ

          占いを信じる方だと自分でも思う。昔は占い師さんによく観てもらったし、占い師という職業に興味があった。占い師は創造力豊かで、人に興味を持つことができる人が向いている、と雑誌の占い師特集で読んだ。ただし名前が売れるまでは生活の不安定さは覚悟しなくてはならないし、イベントなどに積極的に参加したり、自分で営業活動したりして、地道に実績を積まなくてはならない、とも書かれていた。通訳者になるために勉強中だった私は、占い師と通訳者のキャリアパスの共通点をそこに見いだした。   占いなんて