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応募が足りない…!!その原因と対策。

超売手市場となり、人材獲得競争が激化する中で、求人メディア、人材紹介(エージェント)、ダイレクトリクルーティングにホームページやリファラル採用など、マルチチャネルを使った採用が求められる時代になっています。
 
しかし、それぞれのチャネルで高い専門性が求められることから、使ってはいるが応募獲得が難しいというケースも増えています。そのような事態ではどのような対策を打つべきなのか?そもそも応募を増やすにはどうしたらいいのか?事例などを交えながら紹介していきます。

執筆者プロフィール

InterRace株式会社VPoS(Vice President of Solutions)
木津和 弘祐

2007年リクルート入社。新卒・中途向けメディア、人材斡旋、RPO事業、事業開発に従事し、マネジメント(課長・部長)、プロフェッショナル職を経験。RPO事業を立ち上げ期より参画し、HR領域の戦略フェーズから母集団形成、選考オペレーションまでのプロジェクトマネジメント、プロジェクトリーダー、コンサルティングを経験。世の中に存在するHRサービスに広い知見と人脈を持つ。2022年にInterRace株式会社に参画。株式会社KITSUWAの代表取締役としても活動。


1カ月経っても応募がない場合は、求人票を見直そう

大切なのは、応募が来ないからチャネルを増やす、ではないということです。
 
まずやるべきなのは求人票の見直しです。1カ月経っても応募がない場合や、ターゲットと大きく異なる応募しか来ない場合などは求人票の内容を見直すべきです。
 
例えばダイレクトリクルーティングでは、スカウトメール送信後に反応があるのはおおよそ2週間程度と見ておくのがよいでしょう。その後は次々と他企業から新たな求人票が届くため、埋もれてしまって候補者の目に留まりにくくなってしまいます。

そのため、長く見積もっても1ヶ月経って応募がないのであれば、そのままやっていても効果が期待できません。求人票を見直すべきです。
 
人材紹介(エージェント)も同様です。大手の人材紹介(エージェント)会社は最初にCA(キャリアアドバイザー)が候補者に求人情報を案内してくれ、そこから反応があるのは最初の1〜2週間です。

エージェントには膨大な依頼がありますから求人自体がどんどん埋もれていきますので、2〜3ヵ月経ってから応募者が増えるようことはほぼないのが現実です。そのためエージェントについても、 1ヶ月経っても応募がないのであれば、求人票を見直すべきです。

開封率や返信率をもとに、見直す箇所を決めていく

では、求人票を見直す場合、どこを修正すればいいのでしょうか。主にダイレクトリクルーティングになりますが、見るべきポイントは開封率と返信率で、それぞれで見直すべき箇所が異なります。

①   閲覧されていない(開封率が低い)場合

タイトルの訴求がターゲットとミスマッチを起こしている可能性が考えられ、より魅力的なタイトルに変更するか、アプローチするターゲットを変えるかという手法をとります。ただ、特に効果が期待できるのは、「ターゲットを変える」ことです。
 
例えば、スカウトメールの送信先を「当初はコンサルティング業界に在籍している人に絞っていたが、応募数が少なかったため製造業界やサービス業界に広げてみる」、あるいは経験年数を短くする、といったやり方が最もよく採る方法です。
 
その際、アプローチ対象における募集職種の人気度や、ターゲット候補者のボリューム、競合の多さを事前に調査して検討しておく必要があるのは当然ながら、ターゲットを広げてしまっていいのか、現場としっかりとすり合わせしておく必要があります。
 
応募が来ない現実を踏まえて、現場とともに必要なスキルをよくよくかみくだくと、妥協できるポイントが実はある、ということは往々にしてあるものです。あまり決めつけずに改めて見直すことをおすすめします。この点は後段でまた触れます。

②   閲覧はされたが、応募されない(応募率が低い)場合

この場合は、魅力的な求人情報になっていないか、ホームページの求人票が充実してないという2つの要因が考えられます。
 
ア)魅力的な情報になっていない
ターゲットが求める情報が反映されていないか、またはメールの内容が魅力的でないか、どちらの可能性があります。ターゲットのニーズや、競合との差別化ポイントを意識して、反応数を見ながら、細かく内容をチューニングしていく必要があります。
 
例えば、

  • 具体的な仕事内容がわかりやすく記載されているか(どのような仕事を任せたいのか)

  • 働き方(リモートワーク有無など)や福利厚生などの情報が記載されているか

  • 社内のコミュニケーションツール(SlackやTeamsなど)が記載されているか

  • 上司や同僚など職場の方々はどのような雰囲気なのか

など、実際に働くイメージを持っていただけるような情報は不足がちの企業が多いので、ぜひ記載した観点を参考にしていただければ幸いです 。

イ)ホームページの求人票が充実していない
候補者にとって興味のある職種の場合は、スカウトメールを閲覧後に、すぐに企業のホームページ(採用サイト)で、募集職種の情報を探します。
 
意外に漏れている場合が多いのですが、この時に、ホームページ上に詳しい求人票がなかったり、求人票の内容が薄かったりすると、ほとんどの候補者はその時点で応募を辞めてしまいます。ダイレクトリクルーティングだけでなく求人メディア、リファラルなど、あらゆるチャネルを実施する前には、必ず自社のホームページ(採用サイト)の求人情報を整えておくことが肝要です。

求人条件を変えるときの注意点

上述の通り、求人条件を変えることで応募を増やす方法は有効な打ち手です。ただ、基本的には、人事担当者が現場にヒアリングして条件を決めていくはずで、自由に条件を変えられるものではありません。
 
進め方ですが、まず大切なのは、最初に求人の「MUST(必須条件)」と「WANT(歓迎条件)」を整理しておくことです。
 
その際、例えば経験1年以上が「MUST」で、3年以上が「WANT」の場合、最初からMUSTに絞った条件に決めたいところですが、そうする必要はありません。まずはいずれも反映して、それで応募がなければ、第二段階で「MUST」だけに絞って条件緩和をしていう進め方をとります。
 
WANTを含めて採用できればOKですし、仮にそれだと採用が難しそうだなと思っても、一度実施してみなければ現場の納得感を得づらいためです。一度実施して、応募がないなら納得感をもって条件緩和ができます。
 
また、エンジニアなどの高い職種理解やマーケット理解が求められる職種では、採用の知見や相場観を持つエージェント(RA)や、プロのリクルーターを巻き込んで、彼らの同席のもとヒアリングするとより効率的で、効果的です。
 
現場の人も、プロの意見であれば耳を傾けてくれるため、必要以上のスキルセットを求めたりすることもなく、応募者の集まる要件で求人票を仕上げることができるようになります。

同じような求人が大量に並んでいないか?

また、求人票が複数あるケースも要注意です。
 
案内する(仕事内容がほぼ同じの)求人票が増えれば増えるほど、エージェントや応募者を混乱させるもとになります。

そうすると、推薦も減り、応募も減ります。同じような仕事内容の求人票があるなら、極力一つにまとめるようにしましょう。
 
●求人が勤務地や部署ごとにある、
●同じ仕事内容なのに職種名が違う
●ヒアリングした人が異なる

といった点に当てはまる場合、要注意です。

特に大企業で大規模採用をしている会社の場合で、このケースが良く見られます。これは極端な例ですが、私がこれまで担当した中で、数百件合った求人を10件程度にまとめた例もあるほどです。
 
なお、Indeedなどの検索エンジンの場合は、検索に表示しやすくするために、同じ仕事内容でも勤務地やターゲットなどに分けて、複数の求人票を展開したほうが良いといったテクニックもありますので、それはそれで使い分けをすれば良いと思います。

各チャネルでの対応

ここからは、応募者を増やすためのチャネルごとの基本的な対策について紹介します。なお、それぞれノウハウがあるため、詳細は1つ1つ別の記事で解説したいと思います。

エージェント(人材紹介)対策

エージェントを有効活用するためには、密なコミュニケーションが欠かせません。しかし、それができていない企業がまだまだ数多くあります。
 
特に不足していることが、エージェントが推薦した応募者の不採用理由の共有です。エージェントはこれまでの採用実績をもとに、推薦候補者を選び、マッチングの精度を高めていきます。そのため、エージェントにとっては選ばれなかった理由も貴重な情報になるわけです。
 
例えば、「営業経験は3年あり要件は満たすものの、今までの担当法人が小規模だったので、即戦力人材を求めている当社としては厳しいと判断し、見送らせていただきました」という回答であれば、「候補者の担当クライアント規模を中堅企業以上に揃えていかないとフィットしないんだな」と考え、CAの候補者探しのマッチングの精度も高められます。
 
それが「総合的に判断して、お見送りとさせていただきました」という具体的な理由が分からないフィードバックだと、CAもどうすればいいのか悩んでしまいます。企業の採用担当者は、エージェントが候補者を探す基準になるようなフィードバックを心がけてください。

リファラル(社員紹介)採用対策

求人メディアの掲載料やエージェント(人材紹介)への手数料のようにコストがかからない、リファラル採用を行う企業が増えていますが、期待するような効果があまり出ていないのが現状です。
 
リファラル(社員紹介)採用で集客するためには、次の2つのことを押さえるようにしましょう。
 
ア)今、募集している職種の広報を社員へ徹底すること
自社の社員は、会社が何の職種を募集しているのか詳しく知りません。募集職種が多岐にわたる場合は、社員にそれを理解してもらうだけでも、知人・友人に声をかけてもらえる数が以前よりも増やせます。
 
月1回、社外に募集している求人一覧を社内イントラなどで広報する機会を持つようにしましょう。
 
イ)リファラー(社員紹介者)を決め、目標も設定する
しかし、単に「会社でリファラル採用をやってます」「友人・知人を紹介してください」という声がけだけでは、目標とする人員を集められません。案外ここで止まっている企業が多いと思います。
 
そこでやるべきことはシンプルに、まずリファラー(社員紹介者)を決めることです。そして、一人ひとりに責任=目標(紹介人数)を設定することです。
 
たとえば某HRテックサービス企業の場合は、人事部がリファラー(紹介者)を指名し、一人ひとりに目標も持たせました。そして、リファラーにはハイパフォーマーの方や、部長などの上位職を選び、採用した暁にはその人が面倒を見るようにしました。
 
上位職がリファラーになることで、その人が統括している部署のメンバー(採用候補者と年齢層が近い人材)に目標を割り振ることができるため、効率的にリファラルが行え、成果にもつながりやすくなります。
 
リファラーは誰でもいいわけではありません。紹介力のある人、組織に影響を持つ人、を選ぶようにしましょう。

自社のホームページ(採用ホームページ)対策

自社のホームページでやるべきことは次の3つです。
 
ア)エントリーボタンが常に表示されるようにする
候補者は、いつ応募するか分かりません。いつ、どんな時でも「応募する」アクションがとれるように、「エントリー」ボタンは、常に画面上の見えるところに配置するようにしましょう。
 
イ)ホームページの求人票を充実させる
先ほど紹介したどのチャネルを使う場合も、候補者は興味があれば自社のホームページを訪れて求人票を確認するため、ここに詳細な求人情報を反映させておくことが肝になってきます。

ウ)コンテンツコミュニケーションを設計する
ここまでやれている企業は非常に少ないと思いますが、採用ホームページに掲出しているコンテンツの出す順番を考えることも有効です。
 
選考プロセスのどのタイミングで、なにを候補者に見てもらって動機づけを行うか?は、応募数はもちろん採用数を高める上でも、重要なアプローチになります。
 
候補者とのコミュニケーションの一環として、コンテンツの配信タイミングを設計していくことが今後、さらに求められていきます。

コンテンツ発信

 ベンチャー企業などは、創業期とその後の成長期などでは会社の雰囲気や社風が変わっていることがよくあります。しかし、そうした情報を発信していないばかりに、「応募が集まらない」「ミスマッチが起きてしまう」などのケースがよく見受けられます。
 
例えば、設立当初は長時間労働が当たり前だったが、今は業務フローの見直しや労務管理を徹底して、残業を月一桁台までに削減したような事例があるような時は、応募者に発信していきましょう。
 
スカウトメールの文面に入れたり、エージェントに共有することで、今の状況を理解した人が、応募してくれるようになりますし、口コミ対策にもあるので、非常に有効です。

さいごに

 今回は各チャネルのノウハウについてすべてを記載できず、ほんの触りだけを記載しました。それぞれまだまだ多くのノウハウがありますので、それはまた別の記事で解説していきます。

求人票の最適化や、応募数、母集団形成に課題がある、といったお悩みがあればお気軽にご相談下さい。課題に合わせた解決策をご提示致します。


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