『英語解剖図鑑』
注:本日(9/28)Kindle版セール!
Kindleセール
以前から気になっていたが、買ってなかったこの本が今日のKindleニュースレターでセールになっている、とのこと。2640円がまさかの499円!
早速購入した。
書店で見つけられなくて、しかも田舎住まいなのでそうそう書店にも行けず、中身を見てから買いたいと思っていたので、この値段で中身が見れるとなるとありがたい。
英語を語源で理解しようという試み
以前、『英単語の語源図鑑』(清水建二・すずきひろし著、かんき出版)という本が大ヒットした。
良書である。
日本語は、漢字という見れば意味がある表示文字と、ひらがなまたはカタカナというそれだけでは音しか表さない表音文字の組み合わせでできている。だからアルファベットという表意文字の組み合わせでできる英単語はどうもとっつきにくいところがあると思う。
しかし、日本人から見れば無意味なアルファベットの羅列に見える英単語もそのパーツごとに意味を持っている。それが分かれば語彙力の幅は相当拡がる。
ちょうど難しい漢字がへん、つくり、などの部首で意味を持つのと同じような感じだ。
『英単語の語源図鑑』そしてその続編では、分かりやすいイラストでそのパーツの持つイメージが示してあるので、分かりやすい。記憶する時にイメージを使った方が効率がよいし、より多くを覚えることができるということは誰もが経験したことがあるのではないだろうか。
英語のなりたち
ところで、現在使われている英語は色々な言語が入り交じってできた言葉だ、ということはご存じだろうか?
歴史的にいってもイギリスのあるブリテン島には最初に住んだケルト人から、一時支配下においたローマ人、ゲルマン大移動でやってきたアングロ・サクソン人、バイキングとして侵入してきたデーン人、その後フランスからノルマン人、などさまざまな文化の影響を受けてきた。
言葉は文化を映す鏡、といえる。それだけたくさんの文化=言語が混じって今の英語が成立している、といえる。だからこそ、私たち日本人のような英語を外国語として学ぶ者にとっては常に「???」が絶えないことになる訳だ。
綴りが読み通りでないとか、文法に例外事項が多いとか、そういった学習者にとっての不都合はかなりの場合において、この英語のなりたちによるものが多いと思われる。
「誰だ、こんなこと決めたの」
と学生時代に勉強しながらぼやいた事がある人も私を含めて多いはずだ。
英単語を解剖する
そういう意味で『英単語の語源図鑑』は良書である。
さらに詳細に説明しているのが、本書『英語解剖図鑑』だ。
英単語のそのパーツがどの言語由来のもので、どういう意味をその単語に与えているのか、そういうことがかなり細かく分解されている。しかもなんとまさかのフルカラー!
これはお値段がそこそこするのも仕方がないだろう。
参考書というよりは、図鑑・辞典の類いだ。
フルカラーの威力は脳内のイメージ化に大きく役に立っている。たとえば、牛の肉の部位を示す言葉に「サーロイン」がある。そう、あのサーロインステーキ、と使うアレだ。
そこには牛の絵がカラーで描かれている。ステーキ肉の絵も一緒だ。
sir-loin
sirはsurから変化して意味は「上に」、loin=腰
という説明とサーロインステーキの説明があれば、sirloinとは腰の上の肉を意味することが間違いなく脳内に転写されるだろう。
これぞ本当の解剖図鑑?
物事を小さく分けて見れば理解しやすい、という法則は英単語でも生きているようだ。
時間に余裕のあるときに、紙をパラパラめくりながら「ふむふむ」と頷きながら読むと、いつの間にか語彙力が爆上がりする可能性が大いにある。英語の文章を眺めて、意味がパーツごとに飛び込んでくるようになればしめたもの。知らない単語があってもなんとなく読める、そう感じることも増えるはずだ。
特にTIME、Newsweek、The Economistなど時事関係の英語を読む機会の多い方には有効だろう。どんなに覚えても知らない単語が出るのがこのような英文だ。あと小説でも意味不明で飛ばす単語が減るし、英米の知識人の書いた文章を理解しようという場合も、単語の見当がつきやすくなり、結果的に読むスピードや理解度が上がると思われる。
もう少し進んで
他に私が愛用している語源関係のボキャブラ本に、"Merriam-Webster's Vocabulary Builder"がある。
こちらはイラストなどは付いていない文字だけの「辞書」だ。だが、巻頭の文章には本の目的として、
1) 多くの単語をワーキングボキャブラリーに追加すること
2) もっとも役に立つボキャブラリー強化の根本を示し、将来のボキャブラリー拡大の一助となること
(原書より拙訳)
とある。まさに『英単語の語源図鑑』や本書『英語解剖図鑑』が分かりやすく示そうとしたことと同じである。
こちらもKindle価格でなんと1030円!
文字情報なので検索を考えると、Kindleの方が使い勝手がよいかもしれない。
ただし紙がオススメかも
本日、『英語解剖図鑑』のKindleセールに飛びついた私だが、Merriam-Websterの辞書と違い、本当はこの本は紙で本棚に一冊そろえておくのがよい本だろう。サイズが横開きの変形であるため、12.9インチiPad Proでも拡大しながらでないと見にくい。
おまけにKindleとはいっても図が多いせいもあり、文字を検索することはできない。あくまで閲覧に向いている形態だろう。
だが、Picture Dictionaryといった感じで家に置くにしても、今日のこのKindleセール価格なら、ちょっと試してみてもいいのではないだろうか。
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