英語に別の切り口を求めてみよう〜『英語の発音と綴り』〜【10月英語本チャレンジ12】
昨日は発音と綴りに着目したなら、今日取り上げるのは語彙でしょう。単語の語源に世界史を掛けあわせた、という発想の本です。
「わたし、英語も歴史もキライなんですけど?」という方もいるでしょう。でもちょっと待って! 嫌なのは英語の歴史の「授業」ではないですか?
学生時代の思い出(悪夢?)から離れて、テレビでクイズ番組を見るつもりでこの本を読んでみると、「へー、ほー、ふーん?」と思うところがたくさん見つかるかもしれませんよ。
著者は大ヒット英語本、『英単語の語源図鑑』を出した方です。日本人にとって分かりにくい英単語、どうやって覚えてくれようか、というとき、とっても役に立つ「勉強感ゼロ」を掲げた良書です。
さらに姉妹編として『英熟語図鑑』もあります。
こちらは日本人が感覚的につかみにくい句動詞 "phrasal verb"をまとめています。句動詞とは、getやmake、comeなど簡単な動詞と前置詞を組み合わせて何らかの意味を表す表現で、英語ネイティブが頻繁に使います。
そんな著者の書いたこの新書は、その語源を世界史と合わせてしまおうという試みなんですね。何か物事を覚えようとした場合、思い出すためのトリガーは多いに越したことはありません。記憶したことにラベルが複数貼られていれば、それだけ容易に取り出すことができます。そういう意味でも、とある単語の背景情報や意外な何か他のものとのつながりがあれば印象に残りやすい、という訳です。
本書からいくつか例をあげましょう。
"section"という単語は日本語で「セクション」と使われているとおり、比較的なじみのある言葉です。そもそもこの言葉は、サクソンの語源「切る」の意味を持つ"sek"から派生した言葉だそうです。
日本語のカタカナでいう「セクション」とは部門、部署のこと。他の部門とは切り離されたひとつの部門ですね。ある集団から切り取られた「派閥」は、"sect"です。英語で「断面図」を何というかご存じでしょうか? これ、"section view"なんですよ。"top view"(上面図)や"side view"(側面図)と来たら、やはり"section view"(断面図)でしょう。断面は何かを輪切りにした図ですからね。日本語でも面を断つわけですから、発想は同じと言えます。
他にもなんだか訳の分からない感じのラテン語起源の接頭辞にもよく効きます。"val"とか"vail"とか単語に入っているとなんだか意味が分かりにくくて丸暗記になりませんか? 私はよくそうなっていました。でも本書によると、それは「強い」を意味するインドヨーロッパの祖語から出て、「力」や「価値」を意味する語となったそうです。
"value"(価値)とか、"valid"(有効な)、めんどうな長めの単語でも、"equivalent"(同等の)なども含まれます。この語源を知ることは日本語の部首のようなもので、「さんずい」が付いていれば水に関係するのだな、とか、色々な連想が働くので覚えれば覚えるほど、語彙力が増すことになります。
全部読まなくてもいい。目次で興味を持ったところを拾い読みでもいい。すぐにTOEICの点数に効く、という類いのものではないですが、将来の英語力には確実に効きます。
語彙力増強に困っているなら、役に立つ一冊になるはずです。
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