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中央アジアに行ってみたくなる 〜『乙嫁語り』〜【12月コミックチャレンジ7】
七日目は『乙嫁語り』です。
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これはファンタジー、には分類されないよね、だってこれ世界軸は同じだもの。19世紀初めあたりの中央アジアの遊牧民の生活が描かれた物語です。
だけど、あまりにも知らないことが多い地域なので、なんだかファンタジーを読んでいるのと同じ感覚が呼び起こされます。着目してるのは遊牧民のお嫁さんたちで彼女らを「乙嫁」(弟の嫁とか年少の嫁、の意味)と呼び、その周りに起こる出来事を描きます。
この森薫の絵が、ですね。もう細かい、細かい、書き込み入れ込み、恐るべし。なので、脳内にまるで自分が中央アジアの国に行ったような錯覚を起こすレベルなんですよ。もちろん、時代も19世紀後半というあたりなので今行っても違うとは思うんですけどね。
この時代は北方からロシアが南下してきて、クリミア戦争が起きたりしている時期です。ん? なんか聞いたような話ですね? そう、ロシアは地政学上どうしても南下する傾向がある国なのです、いつの時代でもね。
まあ、難しい話はさておき、『乙嫁』の話ではだんだんと南下するロシアの脅威が背景にチラホラと見え隠れします。でもその中でも人はたくましく暮らす、というか、生きていくんですよね。馬に乗って草原に遠出をしたり、弓で鳥を捕ったり、遊牧生活をする部族があったり、反対に街で暮らす人たちもかなりいたり、と日本の昔とはまた違った世界が広がっています。
どうも私はこの『乙嫁』の世界を思うとき、上橋菜穂子の『守り人シリーズ』とどうしてもかぶる部分があります。『守り人』は完全なるファンタジーの世界ですが、それぞれ地球上の国でモデルとしてるっぽい地域があります。新ヨゴ皇国なら中世日本、サンガル王国なら東南アジアの島国のようです。その中でロタ王国という国がどうも中央アジアの雰囲気があるような感じがします。食べている無発酵のパン、飲み物、さらに弓で狩猟するところなどなんだか同じイメージを思い浮かべます。
『守り人』でトロガイ師が小さいヤギみたいな動物に乗って追っ手をまくところと、『乙嫁』でエイホン家ばあちゃんバルキルシュがこちらもヤギに乗って弓を引くところなど、両方がちっこく丸っこいけど眼光鋭い老人というところもそっくりです。
それはともかく、最新刊ではなんと英国に舞台が移ってしまいました。最初からこの話は紀行作家としてスミスという英国人男性の取材旅行で会った人たち、という体裁なのですが、そのスミス氏が英国に帰ることになったからです。しかも、中央アジアの女性を嫁として連れて。
19世紀といえば大英帝国ブイブイ期ですねぇ(なんじゃそりゃ?)。中央アジア現地の嫁など連れて行ったら、当時のイギリス社会でそう簡単に受け入れられるわけないですわなぁ。この先のイギリスでの展開も楽しみです。イギリスの田舎はおそらくここで描かれたのと同じような光景が広がっている、と思います。その点でも読んでいて楽しいですね。先の展開が楽しみです。
でも!
この方も遅筆なんですよね、トホホ。
次は何年待つかしら?
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