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単語だけ覚えればいいって訳じゃない 〜『英語の新常識』『英語の極意』〜【夏休み新書チャレンジ14、15】
夏休み新書チャレンジも今日で12日目になりました。
本日は2冊。
杉田敏先生の『英語の新常識』と『英語の極意』を読みました。NHKのビジネス英語講座を長年担当されていて、私もお世話になりました。
『英語の新常識』のまえがきによると、先生がNHKのやさしいビジネス英語を始められたのが、1987年だそうです。ちょうど私が高校生の頃です。歳がバレますね。高校と大学のあたり、それから社会人になってもときおりビジネス英語の講座を聴いていたので、私にとっては「NHKのビジネス英語」といえば、杉田先生がまず浮かんできます。
どちらの本も今現在進行形で変わっていく英語について、いろいろな情報が載っています。英語といってもまずイギリス英語とアメリカ英語があるし、社会情勢によって新しく使われるようになったことばだってあります。
たとえば『英語の新常識』では第3章消える言葉、生まれる言葉という章で、"zoom"という単語が出てきます。みなさんはこの単語を見てどう思いますか? コロナ禍で一躍有名になって世界中で使われるようになったオンライン会議システムの名前を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
会社名もしくはシステム名としてはZoomと大文字で始まります。固有名詞ですね。しかしこの固有名詞がコロナ禍のせいで短期間で動詞として使われるようにもなりました。日本語で「今日Zoomでチームのメンバーと話した」みたいな文章を"I Zoomed with my team member today"という感じですね。
こういった時事を反映した英語の変化についての最新情報が惜しみなく詰まっています。
『英語の新常識』では私自身「ムムム?」と思う箇所がありました。ひとつはforeignという単語の使い方。「ガイジン」という日本語は差別用語だということは知っていましたか? 確かにTVでは「ガイジン」ではなくて「外国人」と使っていますよね。1980年に創業したニュースチャンネルCNNではforeignという単語が禁止されたそうです。この単語は自分たち対よそ者というニュアンスがあるので、国際ニュース局にはふさわしくないという意味合いだったようです。
この単語、私も以前は何の気なしに使っていました。が、よく仕事をする国際大学で留学生は、international studentと呼ぶので、それに合わせて慣れていきましたが、foreignという単語の持つ排他性については、よくよく理解しておく必要があるな、と思いました。
似たようなところでいくと、障害者の表現方法とかジェンダーに関する議論など、もしどこかでうっかり考えなしに使ってしまったら要らぬ面倒になりそうな有益情報も多いので、興味のあるところだけでもかいつまんで見ておくとどこかで役に立つと思います。
もう1冊の『英語の極意』の方も英語の裏にある背景情報が載っていることに変わりはないのですが、こちらは英語圏で基本とされている文化についての話です。特にキャッチフレーズや決まり文句などがまとめてあるので、ちょっと決め台詞を考えるときなど、とてもよさそうです。
さらに英語圏文化の根底に流れるギリシャ神話、イソップ童話、聖書の引用、シェイクスピア、それにことわざなどからもたくさんの用例が載っています。面白いのは迷信の箇所でしょうか。英米人の友達がいる方はくしゃみをすると、"Bless you!"と言われたことはないですか? くしゃみをすると人から祝福されるってどゆこと?! と言いたくなりますが、これは日常で定型のあいさつのようなものです。軽く「お大事に!」って感じですね。
でもこれがくしゃみをするとその人に肉体から魂が抜け出して病気になる、という西洋の迷信にもとづいている、という理由は知りませんでした。日本だと誰かが噂してるかも、ですけどね。まさに所変われば品変わるです。
ちなみに西洋では鼻をかむとき、一気に「ブーーーッ!」と爆音を立てるのがマナーです。というか、日本のようにグスグスとやっているのは汚いと感じるようです。だから公共の場でも鼻をかむ爆音が鳴り響くんですね。昔、イギリスを旅行したときに道を歩いていると、ちょうど通りかかったお宅の庭から爆音が響いてきて飛び上がるほどビックリしたのを覚えています。ビックリすることを日本語で「たまげた(魂消た)」と言いますが、こちらからすればくしゃみより鼻をかむ音の方がよっぽど魂が抜け出しそうです。
あらためてこの2冊を読んでみた思ったのは、やはり言語は文化そのものである、ということです。先日読んだ『英語独習法』では英語もしくは他言語を学ぶに当たっては、その言語のスキーマをできるだけ多く吸収するのがよい、ということが書いてありました。
そう考えると、杉田先生のこの2冊は、まさにスキーマの補強にとても効く本、と言えます。即効性はないかもしれないけど、英語を使いこなすことを目指して学ぶ人にとっては、学び方そのものに影響を与える大切な視点がまとまって書いてある訳ですね。
とくに『英語の新常識』の第1には英語学習の心構えが書かれています。本気で英語をマスターしたい方は是非とも読んでみて欲しい部分です。
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