インプットを脳科学でとらえてみると?〜『脳が一生忘れないインプット術』〜【9月実用書チャレンジ5】
今日は昨日も少し引き合いに出した『脳が一生忘れないインプット術』を取り上げます。
全体の構成は今週紹介した『勉強脳』や『最高の勉強法』とは違っているので、この2冊とは少し違った視点から読めると思います。
勉強の仕方、効率性だけではなく、今の世の中でどう対処していくか、という方向性が見受けられます。さすが世界から優秀な高校生が集うオンラインハイスクールの校長をなさっているので、未来を担う若者へという視点が入っているのでしょうか。
私にとっては、第1章「脳はどうやってインプットしているのか?」の部分、かなり個人的に興味があります。紙とデジタルでの読書の違いという点や、書くことと聞くことでのインプット効果の違い、などというポイントにあるからです。この点については、ちょっと面白い本を今読んでいるのですが、なかなかに骨太で読み終わらない! 下手すると今月いっぱい読み込まなければ読了しないかもしれません。
速読、というか、「瞬読」にも関わっている私ですが、ゆっくり読むことも大切なことだと重々理解しているのです。
「読むスピードをより大きく左右しているのは目から入ってくる文字情報を、脳が解釈するスピードだ」
「読書時間のおよそ8割は、目から新しい視覚情報がインプットされることはなく、脳が言葉の意味を理解するのに費やされている」
どうです?
興味深くありませんか?
本を速く読むか、遅く読むかに関係なく、その領域に関する脳のスペック(背景知識や理解度など)で読書スピードが変わるというのですね。
第4章「脳に焼きつく記憶メソッド」では、前述の2冊と同じ脳科学的に効率のよい学び方が説明されており、そこで本を読むにはどうするのがよいのか、という解説もあります。ここでいう「リトリーバル」(想起とかアクティブリコールですね)、「ブレインダンプ」(白紙勉強法)、時差ダンプ(分散学習)など共通項は多いです。
最後の第6章は「スタンフォード式AI時代の情報の見分け方」となっており、フェイクニュースの見分け方や有効なAIの使い方も示唆されています。AIは聞いたらなんでも教えてくれるツール、と思っている人はもういくら何でもいないかと思いますが、ではAIは何が得意で、何を聞くと嘘をつく(ハルシネーションという)のか、ユーザーである私たちが理解する必要があるのですね。
怒濤のデータ解析はAIはとても得意です。さまざまな学習データから縦横無尽にデータを串刺し検索してくるようなものですね。本書では、「意見の分布は生成AIツールに聞くべし」としています。意見のどちらが優勢か尋ねたり、また現在のウェブサイトも検索できるAIツールなら、そのデータが載っているサイトをピックアップするように頼むこともできます。
ただし、常に「AIは間違っているかもしれない」と思っておかねばなりません。精度が上がっていても、あくまで使う我々が最終判断を下すべきなのですね。
いろいろ考えることを多く提供してくれる有益な本でした。
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