見出し画像

『シートン動物記で学ぶ英文法』を読んで

あの本を英文で読む


先日注文した『シートン動物記で学ぶ英文法』が届きました。

『シートン動物記で学ぶ英文法』(越前敏弥、倉林秀男著、アスク出版)

子どもの頃、大好きだったんですよ、『シートン動物記』が。でも、内容は結構忘れてますね……本書に全文載ってる『オオカミ王ロボ』や、あと有名なところでは『だく足のマスタング』などはタイトルだけは記憶にありますが、中身はとても怪しいです。

一番記憶に残っているのは、拾われた野良猫が足に脂を塗られて毛づくろいをするうちにだんだん落ち着いてくるシーンですが、この話はタイトルもすっかり忘れていました。今回、調べ直してみると、『下町のネコキティ』(原題:"The Slum Cat")だということがやっと分かりました。

猫の習性を最初に学んだのはシートン動物記だったと言えるでしょう。

大人になっても原書で読もうと思ったことは今まで一度もありませんでしたが、今回、この本のおかげで初めて原書に触れることができました。

『シートン動物記』として日本では児童向けの本として出版されているものが多いため、私も児童書の作家かと思い込んでいましたが、実はそうではないようです。シートンが発表した一連の話を『シートン動物記』とシリーズ物に仕立てたのは日本の出版社の側の事情らしく、英語圏で『シートン動物記』に相当するタイトルはないようです。

英語自体も本書の解説に書かれている通りですが、カンマによる挿入が多く、分かりやすいと言える文体ではないようです。これ、さらりと読めるようになれば読解力かなり向上した、と言えるんじゃないかなぁ?

文法解説の秀逸さ

本書の構成ですが、他の英文法で学ぶシリーズと同じく、最初に日本語で翻訳文、そして原文が続きます。原文の中には下線や番号が記してあり、その後に文法や作者の意図までも解説されています。それが本書の場合、三つのシーンに分かれてそれで全文が収載されている、ということのようです。

最初のシーン1を英文、文法解説と読んでみて思ったけど、文法解説がとても詳しいのです。

ただ、「この文型は?」とか「何用法でしょうか?」と書いてあるだけではなく、「だから、この部分の意味はこういう意図である」というところまできっちり説明されています。つまり、原文読解の解像度が果てしなく高くなるのです。極めて明瞭です。

英語の理解度、という話をするとき、私も自分でよく、「解像度」という言葉を使います。本当にカメラのピントがぴったり合う時のように文章の輪郭がハッキリしている、と感じるときがあります。文章を読むときだけでなく、聞くときも同じです。

ざっくり意味をつかむのも大切です。ですがそれが可能になるのも、とどのつまりは文法や細かい表現を把握してミクロの理解を積み重ねて総合的なマクロの理解が成り立っている、と言えるでしょう。その状態を私自身も「解像度が高く」英語を理解している、というようなイメージを持っています。この「〇〇で学ぶ英文法シリーズ」を読み通せば、間違いなく英文読解の下地になるでしょう。

英語学習の精読vs多読

英語の学習においてよく、多読と精読という言い方をしますが、このシリーズは精読に当たります。たくさん読んで量をインプットすることも重要、同時に丁寧に読んで質を担保することもまた重要。英語の中級以上の学習者の方にとって、「じゃあ、どっちやね〜ん!」と言いたくなる場面も多いでしょう。答えは、「どっちも」です。

ただし、学習の段階によってどちらをより必要としているか、は違うと思います。どちらを自分がその時重視したいか、それもおそらく異なっているでしょう。理想はどちらもやることではありますが、自分の英語力が伸び悩んでいる、と思うときは足元が揺らいでいるのかも? そういう時は基礎固めをする方がたとえ遠回りに見えても最終的には近道になります。まっすぐ行った方が近く見える道には振り出しに戻るような落とし穴があるものですからね。

今年の総決算

2022年度も今年で最後の月になりました。
年初に立てた目標は達成できましたか?
英語の学習を目標にされた方々は、いかがだったでしょうか?

私は年度途中で目標がたくさん増えてしまったので、全体達成率だとまだまだ50%ぐらいでしょうか。持ち越しになる目標が多いですが、来年に向けてまた新たに行き先を設定する予定です。

そのうちのひとつは「中上級の英語学習者のつまらないつまづき解消のサポート」です。語学の習得は間違いなく毎日の積み重ね以外に道はないのですが、それでも効率のよい学習の仕方・目標の設定方法は存在します。そういった方の助けになれたら嬉しいです。

年末にかけて記事を増やすつもりなので、どうぞお付き合いよろしくお願いします。

最後に『シートン動物記で学ぶ英文法』のAmazonリンク貼っておきますね。ご興味あれば、ぜひ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?