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基本は相手のことを思う想像力では?〜『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』〜【10月英語本チャレンジ9】

本書はおそらく、今までアメリカ人と接する機会のなかった人が読んでおくといつかどこかで役に立つ本でしょう。

もっとも日本とアメリカの関係を思うと、まったくアメリカ人と接したことがない、という人はいないかもしれません。ALTとして日本の学校にも英語ネイティブの方々が入っている、今の時代ですから。

でも実際にアメリカ系の企業に就職・転職したり、取引先がアメリカ企業だったり、または国際交流や地域活性化など民間交流の場面でもアメリカ人と一緒に作業することがあるのなら。きっと一度は思うでしょう。「なんでそうなるの?」と。

本当のことをいうと相手はアメリカ人だけではありません。イギリス人でもドイツ人でも欧米各国と日本の文化慣習は異なっている部分が多くあります。そういう異文化の交流の中でももっとも頻度が多いと思われるのがやはりアメリカ人との接触でしょう。

「反省しないアメリカ人」だなんて、もし日本のアメリカ通の方が書いたら非難の嵐、ですよね、きっと。でもこれは昨日ご紹介した『英語の品格』と同じ著者、アメリカ人のロッシェル・カップさんの書かれた本です。日本人が日米の違いについて書いた本はあるけど、その逆はとても珍しいのではないでしょうか? いや、最近ひとつありましたね。在日歴も長く大学で教えていらっしゃるアン・クレシーニ先生の書かれた本が。

こちらも良書ですが、今回ご紹介の本は主にビジネスの場面を中心に書かれています。

私の人生を振り返ると、アメリカ人と一番多く接した経験は広島の某自動車メーカーに社内通訳として勤めていたときでしょう。部長クラスにまでアメリカ人の幹部が派遣されていたので、日本人とアメリカ人の間に挟まれて考え方の違いをつぶさに見ることになりました。

あとは東京でフリーランスをしていた頃に投資家の企業訪問に同行して1日に何社も回っていた頃も、です。今オンラインで請け負う同じような通訳は投資家が英米とは限らず、アジアの会社も多いのですが、以前はほとんどアメリカの証券会社の方たちでした。

そこでは外資系ではないバリバリの日本企業の役員がアメリカ人と会話をするわけですから、本当に本書で見られるような話のすれ違いが発生してしまいます。その場に同行しての逐次通訳でしたから、主に日本企業の方に意味の確認を厳重に行った上でアメリカ人に訳していたことを思い出します。

違いは、あります。でも事の代償に差はあれど、自分とは違う存在がいるということを頭の芯から理解して、思いやりと想像力を存分に働かせれば、かなりの部分は回避できることが多い、と思うのです。もちろんそれでもなお、けっして交わらない平行線のように「???」を連呼することもあるでしょう。しかし、そこを楽しんでこその異文化理解、だと私は思います。

自分の話す英語に着目するなら昨日紹介した『英語の品格』、アメリカ人とのやりとりに特化するなら、本書でしょうか。どちらも興味があれば読んでみることをお勧めします。

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