見出し画像

イヤホンを選ぶには(通訳者の場合)

巷には今、色々な種類のイヤホンがある。
ノイズキャンセリングが強力だとか、低音が響くとか、耳に突っ込むカナル型とか、はたまたオープンイヤータイプとか。

音楽を聴く人には高音低音がそれぞれちゃんと鳴るものがよいだろうし、それよりもリーズナブルな価格でそこそこ聞ければよい、ということもあるだろう。

私の場合は、といえば、仕事で使うにはイヤホンでなくヘッドホン、しかもノイズキャンセリング性能がよいものを使っている。SONYが出しているワイヤレスタイプのもので、既に2世代ほど型落ちのモデルになるが、特に壊れている訳でもないのでそのままだ。

SONY WH-1000X M3

もともとコロナ前には、通訳とは外でやる仕事だった。だから現場に機材が用意してある場合でも自分のものを持参する通訳者が多かったように思う。たいていの通訳者仲間はかぶるタイプのヘッドホンは重たいからと敬遠して愛用のイヤホンタイプを持ってくるのだが、私はいつもあえてこのヘッドホンを持って行っていた。

それはなぜか?
ノイキャンでヘッドホン外から耳に入る音がほぼ遮断されるからだ。

私たちが話すとき、耳は自分の声も拾っている。そりゃ音は耳から入るもんだろ、と思うかもしれないが、実は体の中で直接響いて聞こえている音もある。これを骨導音という。それに対して耳から入る音は気導音といい、話している本人にはこの両方の音が聞こえていることになる。

自分の声を録音して聞くとなんだか他人の声のように聞こえる経験をしたことがないだろうか? これは骨導音なしに気導音だけが聞こえているからだ。

そこで本題だ。
通訳者はヘッドホンから聞こえてくる音をもとに訳をする。音源を聞くインプット作業と訳出するアウトプット作業が同時に行われるため、アウトプットの訳出の声が大きすぎると、自分の声が大きすぎるとヘッドホンからの音声が聞こえなくなってしまう。その点、気導音を相殺してくれるノイキャンのヘッドホンは大変ありがたい、ということになる。

カナル型で耳にすっぽり差し込むタイプのイヤホンならノイキャン機能もあるが、やはり物理的に耳を覆う方が有効だ。もし周りが少々騒がしい状態でも雑音はきっちりカットしてくれるので、さらによい。

そういう訳で仕事ではSONYのヘッドホンを愛用している。ワイヤレスだが、有線で繋ぐことも可能なところも気に入っているポイントだ。

では通訳の仕事以外ではどうしているのか?
いろいろと用途別に使い分けている。

Apple AirPods Pro、Shokz OpenRunとOPENFIT AIR

近ごろ増えたZoomでセミナーやセッションを開いたり、参加したりするときはほぼAirPods Proを使う。MacでもiPadでもiPhoneでもすぐに接続してくれるので使い勝手もよいし、性能も申し分ない。

ところが私が何か他のことをしながら耳で聞く「ながら聞き」の場合、AirPods Proのようなカナル型のイヤホンだと耳がかゆくなるし、いくら外音取り込みモードがあっても耳を物理的にふさいでしまっているので周りの音が聞こえにくい。バッテリーの保ちも継続して使うと減りも早い。

そこで骨伝導式の耳をふさがないタイプのイヤホンを買った。上の写真の赤いものがそうで、後頭部を回って両耳に引っかけるようになっている。こちらはShokzという骨伝導イヤホンの老舗メーカーの製品で、そんなに上位モデルではないが、音質にこだわって音楽を聴く訳でもない。Audibleなど音声ブックを聴きながら家事をする、といった目的には理想的に思えた。

用途には合致しているし、左右つながっているので使うには手軽でよいのだが、今度は別の問題が出てきた。骨伝導で響かせるため軽く頭を挟み込むようになっているのだが、長く付けていると頭に鈍い痛みが走ってくるのだ。

あたしゃ、孫悟空か!笑笑
家事をして罰ゲームってどういうことだ? 

そして最近手に入れたのが、Shokzから新しく出た耳にかけるタイプのオープンイヤー型イヤホンだ。これは骨伝導タイプではない。まだ先日届いたばかりで使い込んでないけど、聞こえ方やアプリなどの使い勝手は申し分ない。もちろん、音声も私のように音楽メインで聞くわけではない人間には問題ないレベルに思う。

強いていえば両耳にかける手間が少々かかること、それに取り外すときにメガネを干渉することがある、という点かな。といってもそうしょっちゅう干渉する訳じゃないし、装着中は落ちる様子はない。しばらく、ながら聞きにはこちらを使ってみようと思う。

みなさんはどんなイヤホン、ヘッドホンを使っているだろうか?
近年、とても進化した分野で価格もそれ相応に高くなってきている。コロナ禍で公私ともにオンラインが増えて、イヤホンを新調した方も多いのではないだろうか。

イヤホンは別に高価なものでなくても普段自分で使う分には問題ないと思う。でもオンラインで使う場合は、有線ならその線に物が干渉するだけで音が聞こえなくなったりするし、無線ならBluetoothの規格次第で雑音が入りやすかったりする。

通訳という音が聞こえなければどうしようもない仕事をオンラインでやっている私としては、マイク性能にも気をつかって欲しいな、と思う。まあ、これは一種の職業病みたいなものだけど、ね。


いいなと思ったら応援しよう!