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学生のときにこの本があれば!〜『英語のハノン』〜【10月英語本チャレンジ1】

10月は英語関連の本を取り上げていきます。英語関連、といっても英語を学ぶための参考書というよりは英語に関する新書がメインになりそうですが。目に付いたら買うので、ちょっと積読たまってるんですよ。

しかし。
今日は違います。
英語の話をするなら、ハノンを避けては通れない。

私が高校生や大学生のときにこの本があったなら、もっと早くに話せるようになっただろうなぁ、口惜しや、と強く思う本です。

『英語のハノン』には、初級、中級、上級にフレーズ編まで出ています。「私は英語の読み書きはまあまあできるから、初級から」なんてことはまず思ってはいけない! ハノンは初級と書いてあっても一般的な英語レベルでいけばもっと上、最低でも中級以上でしょう。特にふだん英語を話す機会がそんなにない人が話せるように、と思って購入するのなら。「スピーキングのため」という文言は伊達じゃないのですよ。

中身は極めてシンプルで質実剛健感が漂っています。大人の英語やり直し、中学英文法を30日で、といった本だと色とりどり多色使いでイラストもふんだんですが、ハノンには余計な装飾は付いていません。文法解説とその文法を使った例文を音声に合わせてくり返し声に出すことが練習です。

そう、ハノンは筑摩書房さんの特設サイトから音声を無料でDLすることができるのです! 読むだけではなく、音声と一緒に使うことが前提となっています。

この音声がすこぶる優秀なのです!
まず最初に基本の例文が流れます。そしてポーズの間にその例文を繰り返します。そのあと、文の一部を変えるように指示が出ます。疑問形や否定形にするもの、主語を取り替えるもの、違う副詞を使うもの、などいろいろありますが、ポーズの間に文を作って声に出さなければなりません。

このポーズの長さが絶妙なんです。スタートを遅れずに言い始めてちょうど終わるぐらいの長さになっています。ちょっとでも遅れると、お手本の音声が始まってしまいます。私でも音だけ聴いてやっていると、不意に追いつかなくなるときもあるぐらいです。いちおうね、私、プロの通訳なんですよ? でも「ん?」と考えたらもう追いつけない。それってすごくないですか?

その「ん?」の間がなく話せるようになれば、第二言語として英語を扱う者のスピーキングとしては上々だと思います。最初は本を見ながら練習します。そして最終的に本を閉じて音声だけで言えるようになればよいのです。

そして誰でも初級から始めるべき理由は、初級に基本的な動詞周りの表現が集まっているからです。基本の5文型にはじまり、関係代名詞や疑問形、否定形、受動態、完了形に不定詞、分詞です。

だからこそ、私のような英語を扱うプロでもハノンが役に立つのです。私は仕事で今、主にオンラインで同時通訳をしています。何かの主語で文を始めて、「あ、まちがった」と思っても言い直す時間はありません。ないから何とかそのまま文を作らないといけない訳です。日本語から英語にする場合、文の構造が違っているのは皆さんご存じのことだと思います。主語+動詞の構造は基本的に動くことはありません。ところが日本語は主語がはっきりしていないことが多い。これが主語かと見切り発車してみれば、ちょっと違ってた、なんてことはざらにあります。となると、文章を無理やり受動態に切り替えたり、分詞を文のあとにぶら下げて肯定文としたものを否定文に言い換えたりしないといけない。つまり、動詞周りの柔軟性が大変要求されるのですね。

夏休みや年末年始でしばらく仕事をしなかったとき、ハノンで口慣らしをすることにしています。そしてそれはたいてい初級を使うことが多いのです。

そんな感じで動詞を縦横無尽に扱うことができれば、もうスピーキングで勝ったようなものです。これで英会話も怖くない!

本気で話せるようになりたいなら、ハノン、超絶オススメです。


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