見出し画像

「建設業でもコミュニケーション能力が必要な時代」佐藤隆一さんインタビュー記事(沢与建設株式会社)

沢与建設株式会社
佐藤隆一さん
職種(所属):代表取締役

岩手県宮古市の沢与建設株式会社は1932年10月に設立し、90年の長い歴史があります。
業務内容は、林道やダム、下水道などの土木業と新築住宅、リフォームプランなどの建築業。女性も活躍している職場です。

佐藤社長にお聞きしました!

――はじめにこれまでのキャリアについて教えてください。
もともと私は物を売る仕事がしたかったので、営業職を志望していました。でも働き始めた当初はまだ18歳と若かったので、周りから信用を得ることができませんでしたね。だから4,5年は水道の設備屋の仕事をしました。その後いろんな業界の営業職を転々としました。訪問販売だったり、店舗営業だったり…。その後、沢与建設株式会社に入社しました。

――続いて会社についてお聞きします。従業員の中で女性はどのくらいいるのでしょうか?
現在女性の従業員は3人です。現場で働いている人もいますね。

――すごいですね…。建設業で女性がいるメリットはありますか?
現場作業を行う上で、女性がいることで新しい視点が生まれると思います。あと、女性は細かいところに気を配る人が多いですね。現場内で掃除や片づけ、あいさつや声がけなどは女性は意識してやっていると思います。しかし沢与建設にはまだ3人しか女性がいないので、男性から女性に対して、適切なコミュニケーションの取り方が分からない人が多いと感じます。

――そうなのですね。そのような問題を改善するために行っていることはありますか?
年に2,3回は社内面談を開いています。そのおかげでコミュニケーションの問題はだいぶ改善されてきていますが、正直なところ100%無くすというのは難しいと考えています。昔は建設業=職人であって、働く上でコミュニケーションを重要視してこなかったんですよ。職人は良いものをつくるのが仕事とされてきていましたが、最近はそれを前提としてコミュニケーション能力も必要な時代になってきています。私の会社は年齢層が高い人も働いていて、今からコミュニケーション能力をつけるというのは難しい面もあると思います。
また、現場工事で最も気を付けないといけないのは怪我です。時には命に関わることもあるので、本人のためを思ってつい言葉が強くなってしまうんですよ。なるべくコミュニケーション問題は改善することを目標としていますが、なかなか難しいです。

――若い人たちに働いてもらうために会社がやっていることは何かありますか?
未経験者でも何をするべきか分かるよう、仕事を明確にリスト化するようになりましたね。職人の世界では仕事は見て覚えろというスタンスだったけど、時代の流れに合わせて変えることにしました。現場代理人やオペレーター、ダンプの運転手などそれぞれの職種ごとに仕事内容を細かく説明するよう心がけています。

――東日本大震災ではどのような影響がありましたか?
当時は本当に大変でしたね。震災直後は津波の影響で救急車や消防車が道路を走ることが不可能な状態だったのです。なので私たちはがれき撤去などの作業をしていました。本来役所から現場工事の依頼を受けて動くのですが、当時電波が通じなかったので、自発的に行っていましたね。がれきの撤去以外では、下水道のポンプに詰まった泥の回収もやりました。この経験のおかげで台風などの災害時にもどう動くべきかを学ぶことができました。

東日本大震災直後の様子

――会社内での行事イベントがもしあったら教えてください。
毎年、春夏冬に安全大会という行事を行っていますね。朝は会社周辺の掃除をして、警察や保険会社の人などを呼んで、講習会を開きます。そして最後にみんなでヨガをして終わりです。この行事の目的としては工事現場の事故率を下げることですね。ヨガは健康を意識して行っています。

――最後に学生に向けて、今後の就職活動のアドバイスを教えてください。
就職する上で大事なのは、就職することを目的に置くのではなく、そこで何がしたいのかを考えることだと思います。また、業界ではなく、職種で考えることもコツの1つですね。もし今やりたいことが決まっていないのであれば、今自分が何をやらされているのか、これが今後のキャリアにどのように影響していくのか考えることも大事です。今がんばることが将来につながっていくので、取り組むべきことに一生懸命やってみてください。

ヨガに挑戦する佐藤社長

会社での取り組みだけでなく、就職のアドバイスをいろんな視点から教えていただきました。今後の就職活動の参考にしていきたいと思います。
ありがとうございました。

取材・記事執筆:瀬川純令
取材日:2023年9月12日

関連記事

・「沢与建設株式会社」取材記録

・石舘貴憲さん(普通作業員)インタビュー

・佐藤委子さん(事務職)インタビュー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?