六本木クロッシング2019展:つないでみる #2
前記事に引き続き、
六本木クロッシング2019展:つないでみる
のレポートです。
《景体》by目
について。
作家曰く、
「私たちは海の景色そのものに近づくことはできない。
近づけば波になり、さらに近づけば水になる」
たしかに、その通りだ。
海というのは、景色であるから、
実は、海というイメージに物理的に近づくことができない。
こういう現象って、結構他にもある。
例えば、雲。
山登りをしていると、雲の中に入ることがある。
しかし、触れるほどの距離に行くと、それはもう霧であり、
単なる水蒸気と言ってしまえる。
もっといえば、、
例えば、愛。
漠然と感じたり、遠い記憶の中にあったりするが、
たった今、手のひらに乗せて、「これが愛である。」ということはできないもの。
さて、本題に戻るが、この作品、
どこまで近づいても、海のまま。
(展示上、触れることはできなかったが。。)
それが、とても不思議な感覚を与えてくれる。
私が最も強く感じたのは、“強い虚無感”だ。
「なんだか、海って近づけてしまうと、それはそれで残念かも」
という感情が芽生えてしまった。
例えば、愛を数値化したり、
物質化できたとして、それを目の当たりにしたときに、
どんな感情になるか。
きっとそれは、
この作品に対峙した時のような感覚、
“強い虚無感”に違いない。
人は、届かないものに憧れるらしい。
なんでもかんでも明らかにしてしまうことは、
幸せにつながらないことを改めて感じた瞬間だった。