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バランスを欠きながら目に飛び込む素敵なものたち

改めてスペインは広い。国内だけでも魅力的な場所に溢れているし、滞在予定期間の1年はとても短い。もう少し遠くを見渡せば日本よりもはるかに近くにあるヨーロッパの国々。まだあちこちに出掛けられる状況ではないから心ばかり走ってしまう。

ひと所で暮らすことに縛られるようになってからますます行き詰まってしまった私は、暮らしにきたこの国でも旅を続けている。バレンシアまではバルセロナから高速鉄道で3時間弱。小さな旅行をするのには苦にならない距離で、なにより大好きな陶器で有名な街。バレンシアの名所を詳しく紹介している盛 千夏さんのウェブサイト(最高のガイド!)で知った陶器とタイルの産地Manisesに行きたかったのだけど、事前にメールで問い合わせたところ訪れた日程は工房・ショップ・博物館ともに開いておらず。メールは「いち早く日常が戻ることを祈っています」と結ばれていて、工房見学などもコロナの状況次第なのかもしれない。けれど、また別の機会にバレンシア再訪を決心。

泊まったエアビーの近く、バレンシア中心街にゴンサーレス・マルティ国立陶器・装飾芸術博物館がある。

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何色もの大理石や優美な彫刻が壮観な外観もすごいけれど、中はもっとすごい!主にロココ調のインテリア、外観の2倍は豪華絢爛。肝心の素朴な美しさをもつバレンシア地方の陶磁器が眩んでしまうほど... でもその眩しさに負けず目を凝らして見ていくと、本当にどの絵付けも可愛らしくて楽しく美しい。ますますManisesへ行ってみたい思いが募る。

私はこういう伸びやかな絵付けが大好き。描かれる動物や人間がちょっと間の抜けた顔なのも和やかでいい。

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好きなものに出会うと好きな部分をクローズアップして残したくなる。スペインにはフイルムカメラのほかにものすごく久しぶりに買った中古のコンデジを持ってきていて、noteに載せているのもコンデジで撮ったものだけど、デジタルのズーム力がわたしのクローズアップ癖を加速させているのかもしれない。

全体を捉えるのも大切なのだから、と部分に捕らわれがちな自分を正す必要も感じるけれど、どこに愛しさを感じたかをたしかに刻むのにクローズアップは役に立つ。刻まなくても忘れないのなら、いいのだけど。

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さて、今回バレンシアで買ったものは、盛 千夏さんのおすすめの雑貨屋さん「SIMPLE」に並んでいたManisesの陶器のボウル。おおらかな黄色が今のバルセロナの部屋によく似合いそうだったのと、買った果物を入れて眺める器がほしかったのでこれにした。

置くだけで明るくなるキャンドルのような器。早速バレンシア中央市場で買った酸味をしっかりと感じるオレンジと買ってあったプラムを一緒に放り込んだ。この色合いがとても好き。忘れないように、ここに刻む。

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