Episode 3: "Valsport"
"時代を超えて。Valsportの今"
■ 1990年代の絶頂期とその後
Valsportが支援したアスリートたちの成功と商品のイノベーションが重なり全盛期を迎えたのが1990年代だ。しかしスポーツブランドとしての成功はここまで。他ブランドの飛躍がありスポーツブランドとしての輝きは失われていった。マーケティングを駆使する他ブランドたちの影に隠れ、Valsportをスポーツシーンで見ることはなくなった。スポーツシーンから姿を消したのは2000年代後半のことだった。アスリートを支援してきたスポーツブランドとしての足跡はここで途切れることになった。
■ ブランドの変革期
イタリアでは今もValsportを認知している人が多い。なぜならこれまでイタリアのスポーツシーンを支えてきたブランドだからだ。スポーツブランドとしての姿を知らない子供たちは、成長する過程で必ずValsportを目にしてきた。
スポーツブランドとしての役割を終えたValsportは、大きくブランドを改革しようとしていた。ビジネスの面でも大きく変化、ブランドの売却などさまざまな変化を経験した。試行錯誤を繰り返し、Valsportはファッションブランドとしての道をみつけ歩き始めるのだ。
■ Valsportの広告戦略
スポーツブランドからファッションブランドに昇華させるのは簡単ではない。そして決してスポーツブランドとして歩んできた歴史を色褪せたくない。Valsportに多くのクリエイティブなメンバーが関わった。2010年代のヴィジュアル広告をいくつかご紹介したい。
グラフィックアート、ミュージック、その時代のトレンドに合わせた要素を取り入れたヴィジュアル広告を展開していった。以前のValsportでは想像もできない大胆な打ち出しだった。プロダクトではなく人をメインにValsportを履く人のイメージを訴求した。若い女性、老婆、青年、さまざまな人種がヴィジュアル広告に登場した。このヴィジュアル広告が陽気なイタリア人の心を掴み、Valsportのスニーカーをファッションとして取り入れ始めたのだ。
■ 名作をインスピレーションにしたファッションアイテムの開発
これまでのフィロソフィーや受け継がれ熟練された技術をベースに、ファッションブランドとしてのアプローチをはじめる。イタリアの上質なカーフレザーなど最高級素材を採用、100% Made in Italyにこだわる。これまでValsportが開発してきたコートシューズをインスピレーションにしたベストセラーモデルがある。日本でも取扱いしている"TOURNAMENT(トーナメント)"だ。過去にValsportが製造していたコートシューズのレシピを参考に開発されたベストセラーモデルだ。アディダスにスタンスミス、リーボックにクラブシーがあるように、ブランドを代表する名作を生み出した。シューズボックスはブランドの歴史でもあるグリーンで統一。
イタリア国内だけではなくヨーロッパを中心にファッションブランドとして認められブランドは再拡大していく。Pittiなどイタリアで開催されるファッションの展示会ではファッショニスタたちがValsportを愛用している。イタリアのローカルではValsportを履く粋な老婆がいたり。国民的ブランドが新しい価値を生み出した。歴史をもつファッションブランドとしてValsportは再起動した。そして2018年、チンクエステッレが正規代理店契約を締結しファッションブランドとして日本で展開することになった。
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"Valsportの今の姿"
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