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【中国語講座】ビンドゥンドゥン

2024年のパリオリンピック、皆さんはご覧になりましたか? 僕は昨年某大学で教えていた学生が出ていたので注目していましたが、残念ながら予選敗退だったようです。それでもオリンピックに出られるのはすばらしいことですよね! 尊敬しています。

ところで、最近は夏季オリンピックと冬季オリンピックが2年ごとに開催されるので、なんだかしょっちゅうオリンピックを観戦しているような印象がありますね。前回のオリンピックは、2022年、北京冬季オリンピックでした。コロナ禍で運営が大変そうでしたね~。北京は2008年に夏季オリンピックを開催しています。夏季と冬季、両方のオリンピックを開催したことのある都市は、今の所北京だけだそうです。なんだかすごい!

ところで、北京冬季オリンピックのマスコット(吉祥物 jíxiángwù)、覚えておられますか? パンダのキャラクターでしたね! 中国はパンダを活用しまくっていますね(笑)。

オリンピック公式サイトより

思い返せば、1990年のアジア競技大会が北京で開かれたときも、マスコットはパンダでした。たしか、名前は:

盼盼
Pànpan

この“”という字は「待ち望む」というような意味があるので、期待感に満ちたような雰囲気を持つ名前でした。

2008年の北京夏季オリンピックのマスコットは5人いて、内1人はパンダでしたね。

晶晶
Jīngjing

キラキラ明るいイメージなのでしょうかね。

オリンピック公式サイトより

そして北京冬季オリンピックのマスコットの名前、皆さん覚えておられますか?

冰墩墩
Bīngdūndūn

我々日本語ネイティブとしては、字面を見てもそんなにかわいく見えませんね。このツチヘンに「敦」という字は大きな木の切り株や分厚い石のようなイメージを持つのですが、形容詞の後に2つ重ねて言うと、ずんぐりむっくりした感じを出すようです。例えば:

矮墩墩
ăi dūndūn
背が低くずんぐりしている

胖墩墩
pàng dūndūn
背が低く太っていて頑丈な感じ

粗墩墩的象腿
cū dūndūn de xiàngtuĭ
太くてずんぐりしたゾウの足

ですから、このマスコット“冰墩墩”はずんぐりむっくりした感じを出しているのでしょうね。たしかにこの子、ずんぐりしています(笑)。

そして僕が最も注目したのは、この子の名前のアルファベット表記です。

Bing Dwen Dwen

おおお!いつも大体ピンインから声調記号を取り払ったアルファベット表記になるのに、今回はちょっと工夫が!

”の発音「dūn」は、本当は「d+uen」という発音ですね。
鼻母音「-uen」は、前に子音がつくとなぜかeを書きません。でも「エ」のような発音が完全に無くなるわけではありません。だからこの「dun」という発音も「ドゥン」ではなく「ドゥェン」に近い発音になるのですよね。

ピンインのまんま「Dun」と書いたら、多分本当の中国語の発音とはかなり違う音で読まれてしまうと思って、「Dwen」という表記にしたのでしょうかね~。

Bing Dwen Dwenちゃんの動画はYouTubeなどでも見られますので、よかったら見てみてください。ずんぐりむっくりのパンダちゃんなのに、フィギュアスケートもスキージャンプもスノーボードもお手の物のようですよ(笑)。

通訳・翻訳家 伊藤 祥雄
大阪外国語大学外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院文学研究科 博士前期課程修了。通訳・翻訳業に加え、明治大学、東洋大学等の中国語講師を務める。NHK国際放送の中国語ネットニュース番組元キャスター。
著書に『すぐに役立つ中国語の基本単語集』(ナツメ社)をはじめ、『中国語検定対策2級問題集』(白水社)などの中検対策書多数。NHKテレビ「中国語!ナビ」のテキストで「中国語お悩み相談室」好評連載中。