【中国語講座】日本語の「できる」って色々
中国語は可能表現がとても豊かです。
まず、中国語学習を始めてわりとすぐに出て来る助動詞の“会huì”と“能néng”は「~することができる」という意味ですよね?この2つの使い分けだけでも我々日本語ネイティブには厄介です。
会・・・技術や技能を習得していて「できる」
能・・・状況が許して「できる」
日本語だとどちらも「できる」でOKなのですが、中国語は別の言い方になります。
我不会喝酒。
Wŏ bú huì hē jiŭ.
我不能喝酒。
Wŏ bù néng hē jiŭ.
どちらも正しい中国語ですし、日本語に訳すとどちらも「私はお酒を飲めません。」となりますが、使われる状況が違いますね。
前者はいわゆる「下戸」の状態を指しています。そもそもお酒が飲めないわけですね。酒を飲む「技術?」を持っていないので「飲めない」のです。
それに対して後者は、下戸ではないのですが、例えば病気で医者から飲酒を止められているような状況があって「飲めない」という感じです。ですから後者は時として「私はお酒を飲んではいけないのです。」というニュアンスになることもあります。
これだけでも日本語より中国語の方が可能表現が豊かだと分かると思うのですが、可能補語が絡んでくるともっとすごいことになります。
1.这种酒在日本喝不到。
Zhè zhŏng jiŭ zài Rìběn hēbudào.
この種のお酒は日本では飲めません。
2.这种酒太贵了,我喝不起。
Zhè zhŏng jiŭ tài guì le, wŏ hēbuqĭ.
この種のお酒は高すぎて、私には飲めません。
3.我喝醉了,喝不下了。
Wŏ hē zuì le, hēbuxià le.
私は酔っぱらってしまって、もう飲めません。
いずれも日本語だと「飲めない」としか訳せないと思うのですが、使われる状況がそれぞれ違いますね。
1の“喝不到”は、モノが手に入らないので「飲めない」という時に使う表現。
2の“喝不起”は、経済的な理由で買えなくて「飲めない」という時に使う表現。
3の“喝不下”は、飲みすぎてもう「飲めない」という時に使う表現。
そして可能補語を使うと、物理的に「できない」という意味になります。それに対して助動詞“能”を使うと、物理的にはできるけど、状況が許さないから「できない」という意味になります。例えば:
我进不去。
Wŏ jìnbuqù.
私は入っていけません。
我不能进去。
Wŏ bù néng jìnqu.
私は入っていけません。
前者は、例えば鍵が壊れていて、あるいは鍵を失くして、部屋に入っていけないとか、そういう物理的に入れない状況の時に使います。
後者は、例えば部屋の中から怒声が聞こえてきて、怖くて入れない、とかですかね(笑)。とにかく、物理的には入っていけるのだけど、他の理由で入れないような場合に使います。
これを間違うと、怪訝な顔をされたり、下手をすると通じなかったりしますので、可能表現を使いこなせるようになりたいですね~。
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