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探求学習は家でこそ実施しようー(前編 取り組んだこと)


探求塾というのが流行っているようだ。我が家はたまたま私が教育方法学や公衆衛生学の分野の研究者だったことから、うちの子どもは生まれてからずっと探求塾の家庭で育ったようなものだ。

家庭で探求すると、勉強のことよりも食事や家事、補修とか社会倫理みたいなことになってくる。より美味しく食べる、早く終わらせる、ちょっと修理したら捨てないで使う、親子が仲良くなったり、自分の子どもが大人の集まりで役に立って褒められるなどといったオイシイ生活になる。

同じ探求でも、研究者の真似事のようなことを探求させてきた時よりも、子供たちの自分の頭で考えたりをしたり喜んだりする姿勢を詰められたように思える。

そこで、これならどの家庭でもできるかも知れないし、喜びと楽しさも倍増するだろうと考え、我が家のこれまでの試みを赤裸々にシェアすることにした。この記事で、子育てが楽しくなるヒントにしてもらえたらと願う。

探求塾が人気

小1の時に、親が知り合いの本屋さんから小学館の「なぜなに」の理科と社会を6年生まであらかじめまとめて買った。面白すぎて何度も読み、2年までに全部を覚えるほど読んでしまった。これが私を探求好きにしたと思っている。中高も自由研究を推奨する空気があり、先生や先輩の影響もあって研究者になった。

その後、子どもが生まれ、生活場面のことでも、専門外でも納得するまで調べ、理論的にOKと思えば前例がなくても実験してみたり、理屈をこねながら試行錯誤をするので、家内にとっては本当にメンドクサイ存在だったようだ笑。

昨年、子どもに探求を教える塾があることを知った。単なる知識だけではなくて、という趣旨らしく、文科省の政策理念にも合っているらしい。いい時代になったものだ。参加するために飛行機に乗って通わせるご家庭もあるとかで、家内に聞かせてやりたい。

家の方が探求に向いているかも

 探求塾は、いろんな意味で余裕があるご家庭でないと継続的に参加できないだろう。私は1度も参加したことがなく、実態を知らないので批判にすらならないが、本来、探求とは、与えられたテーマではなく、自分が生きる中で見つけた課題に対して、日々、何度も困難にぶつかりながら、それを克服しようともがきつつ一進一退する日常であり、後から構成されたストーリーを人から聞いて面白がるものではない。

小中学生の認知機能の発達段階からすれば、日常の生活活動で出くわすことを探求課題とした方が、結果がすぐに確認でき、また継続してテーマに取り組める。また働きかける親もその子どもの深まりが観察でき、また親自身も変化できる。

それゆえ家庭こそが本来の探求の場に向いているのだ。探求塾として有名な探求学舎の代表も、お父さんが3人のお子さんを家で指導されたらしい。そのことも「家が最適」といえる根拠になろう。

我が家は、探求塾を意識してきたわけではないが、家庭で取り組もうという方、特にワンオペ子育ての方は家事が楽になるので、ご参考なればと下記に、そのごく一部になるが紹介しよう。

我が家の実践

1.自由研究にまとめたもの

長女

2年 障子張りを後で剥がれない貼り方を工夫

3年 ハンモック(実際に購入して安全な乗り方と心地よいゆられ方を実験)

次男 

4年 刑事裁判(TV番組「99.9-刑事専門弁護士」を契機に、東京地方裁判所で刑事裁判の傍聴し、夏休みは憲法の定める刑事手続上の権利の確認、ほか文献研究、矯正展で購買 、保護司インタビュー等

5年 ホームレス;花見で見かけた公園のホームレスが契機に、実際にホームレス体験や夜間の人数調査などをした上で、文献研究 

6年 非暴力無抵抗主義(市民的不服従)を4年の長女と共同。

2.社会的活動

・ホームレス支援(新宿界隈を歩いてスープを配布)を毎週土曜に行うボランティア団体の活動に月2回ぐらい参加

・新政党の街頭演説への参加(これまで複数の政党)。初めて聞く概念や言葉は随時、解説 

・大人が集まる憲法や現在の政治に関する勉強会(持ち寄りの手作り食事も楽しむ懇親性もあるもの)に、私が主宰者である特権?もあってか、毎月、小学生2人を連れて行って、自由研究の発表をしたり、小さい子の面倒を見たりして過ごさせた。

3.家事分野

自由研究型は、私が本領を発揮して、全力で調べてしまう。オリジンリティーは専門の研究者レベルに近づける努力。ついてくる子どもも大変だが、私自身、本業を圧迫するので夏は大変。探求塾の先生は、開発したものを他の子どもにも使い、また収入になるが、こちらはひと夏で終わりなので、身が持たない。

一方、食事や家事の探求は、楽しいし、親の仕事がどんどん減り、楽になる。
・ドレッシングや焼き肉のたれは、6種類ぐらいを購入し、小皿につけて食べ比べ、自分にあった味をみつける。
・即席ラーメンに、どんな野菜や独自の調味料を入れたら、もっとおいしくなるかを探求。
・素材だけ見せて、これで何を作るとおいしいかとクックパットなどを調べさせ、失敗してもいから作らせる。
 ・風呂やトイレ掃除 臭いやカビについて最初に説明し、道具を100円ショップで道具を一緒に選び、掃除に臨む。
・靴磨き 「革靴の手入れは女性のお肌の手入れと同じだ」と少し講義をした後、種類の異なるクリームやブラシを使って磨き方を教える。
・家の中の使わないものをメルカリで売る。そのために写真のとり方、文章の書き方、取引の際の言葉遣いなど国語の勉強ができる。

 と書いていたらきりがないくらいである。また、すでに書いたものも箇条書きで内容まで説明できていないのが大半である。

 そのため、もっと詳しく書きたいところであるが、まずは、こういうことをしたら、子どもがどう変化したかについて、次の記事で説明し、取り組んだことの詳細は、その後、また詳しく紹介することにします。