2021.8.23 仕事の時は心のスイッチを切っている
男性 29歳 コンビニ店員
「ことの経緯は、僕が働いているコンビニで落とし物の届けがあったんですよ。そうしたら北沢さんが取りにいらっしゃって、「ああ、よくいらっしゃる方だなあ」と。今日も制服で来た方が良かったですか?僕は私服は作務衣なんです。私服はこれしか持っていないんです。
僕、前の仕事を辞めて今の職場なんです。高校時代もあそこのコンビニでバイトをしていました。高校を卒業してからは専門学校に行って。就活中もあそこのコンビニにお世話になっていたんですよ。それからサービス業に就職をして正社員になりました。社会人になってからは接客業しかしていないです。就職先はそれなりに楽しかったですけど、僕、本当に人見知りで。めちゃくちゃ人間嫌いなんです。本当に申し訳ないくらい人を避けてきているので。仕事に関しては一応、建前は大丈夫ですね。プライベートと仕事はオンオフができるので。前の仕事の頃はプライベートと仕事の時は全然違って、メガネも違うものにしていました。特命係長みたいな。メガネを替えた方が気持ち的にいいというか。仕事の時は心のスイッチを切ってるんです。何も考えないようにしてますね。辛いことはそんなにないですけど。だって、人間って嫌じゃないですか?とても愚かしいというか、滑稽というか。かといって自分も人間ですし、自分も含めてですけどね。
前の仕事の時にメンタルがズタボロになったんです。その業界の人たちって本当に酷いんですよ。お客さんもたいそう酷いもので。車の運転が荒い人とか、理性がなくなる人とか。自分も23、24歳くらいまではギャンブルをやっていて、それもあってその業界に入ったんです。僕も専門学校に行っているときは奨学金を握りしめてお店に行ってましたもん。接客をしているとこちらのメンタルがやられるお客さんが多かったです。5年間働いて辞めました。5年目にして心が折れました。
仕事を辞める寸前は本当に精神的にやばかったです。もう、相当酷かった。急に泣き出すとかは当たり前。常に死にたかったです。僕はよく料理をするんですけど、包丁を持ったら自分を刺してしまいそうで危なかった。包丁を持って前のめりに倒れればいけるな、と。やばいなと思ってメンタルクリニックに電話したんですよ。そうしたら電話口で軽くあしらわれたんです。「今月、予約で埋まってるんで。また来月電話してください。」と。すごくむかついたんですよ。けちょんけちょんにされて。その時に蔑まれて腹が立つなあと思って、逆にちょっとやる気になったんですよ。誰かに頼るのはもういいや、と。とりあえず、何か資格を取ろうと思って行動心理士の資格を取りました。誰でも取れる資格です。簡単に言うと、人の仕草とかをみて「ああ、嘘ついてるな」とかがわかるようになる。その時は本当に心がズタボロだったので、セルフケアとか自己啓発系の本を読んでいました。おかげで余計人に近づくことをしなくなりました。
今は辛くないですよ。あの仕事を辛いと言っていたら、世の中の人たちに申し訳ない。ぼちぼちです。僕、今年30歳なんです。生き方とか、ちゃんとしないとまずいかなと。せっかくだから見直そうかなという時期なんです。今まで接客業をやっていたので、土日は休んだことがないんです。連休に休むこともなかったです。そのあたりが休日になるような仕事をしてみてもいいのかなと思うんです。
今、家に本が溜まっているんです。積ん読が多くて、消化しなければなあと思いつつ、積んであります。好きな料理は…チャーハンを作るのが好きですね。」
この記事はBE AT TOKYOのプロジェクト、【BE AT TOKYO DIARY】で制作しました。
※感染症等の対策を十分行った上で取材しています。