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”ロシアの軍備増強はヨーロッパの脅威””5~8年以内にロシア連邦軍はNATO領域攻撃が可能に”~ドイツ連邦軍総監が警告
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◆ウクライナ戦争終結の観測が出る中で表出する「ロシアはNATOの脅威」論
西側を含むいくつかの国(インド、ハンガリー、オーストリア他)による和平調停工作の展開やウクライナ側に圧倒的に不利な戦況の推移などで、「近くウクライナ戦争は収束する」との見通しがヨーロッパでは一般的になりつつある。それでもイギリスなど、いくつかの主要なウクライナ支援国は長射程ミサイルの供与の検討を新たに表明しているが、これはロシア国内深くに攻撃可能な兵器をチラつかせることで、軍事的に優勢なロシア軍の動きを牽制、抑制することが狙いだと評価されている。
いずれにしろ、NATO諸国が通常兵器とはいえ相手国領土深く戦略攻撃が可能な兵器(射程250kmのイギリス製巡航ミサイル「ストームシャドウ」など)のウクライナへの供与をチラつかせるのは、核保有対峙の下では”危険なゲーム”といわざるを得ない。
ドイツでは、制服軍人として同国最高の地位にある連邦軍総監ブロイヤー将軍が「ロシア軍は西に向かって増強され、展開している」と警鐘を鳴らしている。彼によれば、ウクライナ戦争の状況にもかかわらず、ロシア軍戦力は急速に増強されウクライナ軍はおろかNATO軍に対しても大きな脅威となりつつある、というのだ。日本を含み、西側諸国でここ3年にわたり盛んに報じられてきた「ウクライナ軍の健闘」「ロシア軍の苦戦」という話は、全く鳴りを潜めている様相である。
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以下、ドイツ・メディア「WELT」(ヴェルト、ドイツ語報道)がオンライン配信した記事(7月24日付)の概訳を掲載する。
◆「ロシア軍は西側に向かって展開している」~ドイツ連邦軍総監ブロイヤー将軍が警告
ドイツの最高位軍人である総監カーステン・ブロイヤー将軍は、ロシアの軍備増強について警告している。「モスクワは毎年1000台以上の戦車を増強している一方、ドイツは現在、保有する戦車がわずか300台に過ぎない」
<今後5~8年でロシア軍はNATO領域攻撃可能に>
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