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習近平主席に説明要求!? 人民解放軍に”反抗”の狼煙か?~軍掌握力に翳り


【画像① 共産党政権にとって「権力支配の中核」である党軍=人民解放軍の習近平主席に対する信頼、忠誠心が揺らいでいることを示す事態が起きつつある。地方軍部隊からの相次ぐ「嘆願書」がそれだ。】





◆7月初めに中央軍事委員会へ「嘆願書」~軍最高幹部”党籍剥奪”へ怒り




北京の外交筋情報によると、今月初めに中国共産党中央軍事委員会(”党軍”たる人民解放軍の最高指導機関)に、地方の軍部隊からこの間の軍最高幹部(国防相経験者など)の党籍剥奪処分について、最高指導者である習近平国家主席(兼中央軍事委員会主席)が自ら事態の全容と今後の対応について説明する求める嘆願書が複数届いていることが分かった。嘆願書には、個人名は記されず、あくまで部隊名のものであるが、およそ次のような怒りを示した言葉が記されていたという。



「我々は『人民該子(人民に養われる子)』として『為人民服務(人民の為に服務する)』を信念に、そして軍の父母である偉大な中国共産党への絶対忠誠を信条に誇りをもって党・国家のために精励勤務してきた。しかし、十年以上にわたる不正をこととしてきた李尚福、魏鳳和の悪行は人民、党、軍を深く傷つけ裏切るもので、許しがたい所業だ」


逮捕、党籍剥奪までされた軍腐敗幹部への怒りを露わにしたものだが、それはごく建前的な台詞にすぎず、真の怒りはこれら腐敗幹部を高位に任命した習近平氏そのものに向いたものであることが分かる、と北京の外交筋は述べている。



【画像② 李尚福(りしょうふく)氏は、軍テクノクラート出身の輝かしい経歴を持つ国防相だったが、就任わずか半年にして”失脚”した。背景に腐敗問題があるとされるが、中国の党・政府はいまだ具体的な説明はせず、「国防相・国務委員解任」「党籍剥奪、軍からの追放」などの処分事実しか伝えていない。】





◆軍にとって”驚天動地”の出来事だった、李、魏両氏の粛清




李尚福氏(66、陸軍上将/国務委員/国防部長(国防相)を罷免)は、2022年10月19日に党中央軍事委員会委員に選出、23年3月12日、国務院(中国政府)の国防部長(国防相)に任命された。習近平氏好みの軍テクノクラートで、国防科技大学卒業、航空宇宙分野の専門家として、2017年から人工衛星打ち上げセンターの指導を中央軍事委員会装備発展部長として執り行った。


輝かしい経歴であるが、国防相就任から5カ月余を経た8月29日に北京で開催された中国・アフリカ平和安全フォーラムで演説したのを最後に動静が途絶えた。そして、10月24日の全国人民代表大会(国会)常務委員会で李尚福氏を国防相、国務委員から解任するとの決議がなされた。中国政府(外交部ほか)は、海外記者団からの解任理由に関する質問に対して「(解任されたという)以外の提供できる情報はない」と述べるだけで、その後も一貫して具体的な説明はない。


そして、ことし6月27日には中国共産党政治局会議において、李氏の党籍剥奪処分が決定され、党中央軍事委員会は軍からの除名及び陸軍上将(大将に相当)の階級剥奪を次いで決めた。





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