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静岡県知事選~”ポスト川勝”で表面化した静岡経済界の分裂~「後継名乗り」候補のバックはスズキと鈴与、”ダブル鈴”紛争


【画像① 4期15年にわたり静岡県政に君臨した川勝平太知事が県庁新入職員へのあいさつで”差別発言”したことによる突然の辞職を表明したことで、県内経済界を2つに分けた争いが後継知事を選出する選挙に向けて表面化することになった。4月2日、辞意表明の記者会見で。どういう思いがあるのか、「御製」の歌を横に示しての場だった。この意味について、筆者はある情報を得ているが、十分な裏どりが出来ていないので公表を控える。いずれ明らかに出来れば、この人物の”トンデモ”ぶりがより明瞭になると思うのだが…。】





◆元総務官僚(大村慎一氏)、浜松市長(鈴木康友氏)が”ポスト川勝”に名乗り




”差別発言”で知事辞職に追い込まれた川勝平太氏の後任を決める静岡県知事選は、5月9日告示、同26日投開票で実施される。これに向けて、副知事を務めたことのある元総務官僚の大村慎一氏(61)と前浜松市長の鈴木康友氏(66)が名乗りを上げている。


川勝知事というと、静岡県をクロスするわずかな区間にかこつけてリニア中央新幹線計画に難くせをつけ続け、JR東海を率いてきた故・葛西敬之氏(生前は取締役名誉会長)との対立が知られていたが、そのバックには長くスズキ自動車(浜松市)の”総帥”=鈴木修相談役(94)が存在していたことが知られている。「静岡県側の水源からリニア工事で漏出する水は一滴残らず流域に戻せ」などと、無理無体な要求を強硬に主張する川勝氏の背後には、鈴木相談役の「リニア絶対反対」の意向があったと言われている。


その鈴木相談役が今回推しているのは、スズキ自動車の地元である浜松市長を務めた鈴木康友氏だ。最大支援者と候補者の姓が一緒なのはややこしいが、別に親戚としての関係はないようだ。鈴木康友氏は、2000年から05年にかけて民主党所属の衆議院議員を務め、落選後、2007年の浜松市長選に出馬して以後、4期当選してきた。昨年4月末に任期を終えたが、任期中の21年に静岡県知事選に出馬を模索し、この時は支援者の鈴木相談役が首を縦にふらず断念したのだという。



【画像② 静岡県知事選に出馬表明した際の前浜松市長・鈴木康友氏。「『やります!』の精神で県政の舵取りをしていきたい」とアピール。4月15日。】




一方の大村慎一氏は1987年に東大経済学部卒業後、自治省入省。以後、総務省に省庁再編で変わった後も、中央で在勤もしつつ北九州市など地方にも出向し、2010~15年に静岡県副知事を務めた。この4月上旬に県知事選挙への立候補表明をするまでは、静岡産業大学総合研究所の客員研究員ならびに三井住友信託銀行の顧問を務めていた。


大村氏は5月1日に選挙に向けた事務所開きを行い、自民党県連や一部無所属国会議員の支援も受け、「元祖オール静岡」をスローガンに掲げてアピールした。



「『オール静岡』の訴えを、本当の意味での皆さんの声を聞くという訴えを曲げることなく、まっすぐにこの選挙期間に訴えていきたい」(大村康友氏、事務所開きあいさつより)



【画像③ 元副知事の大村慎一氏は、川勝知事の辞意表明から間もない4月8日に県知事選挙への出馬表明を行った。】





◆政党の組み合わせより、分裂した県経済界の状況が話題に




大村氏は、川勝県政下で野党の地位に甘んじてきた自民党が推し、一方の鈴木氏に対しては元々自身が民主党衆院議員であったことと、川勝県政与党が立憲民主党を中心とする勢力であったことから、同党が支援に入る政治的な配置となっている。しかし、地元ではそれ以上に、「この度の県知事選では、県西部経済界から県中部経済界が覇権を取り戻すかどうか」が注目を集めている。


実質上、スズキ支援に支えられてきた川勝県政の後継・鈴木康友氏に対する大村慎一氏には、県中部で港湾運輸など物流事業の一大グループを形成する鈴与(株式会社、静岡市。代表取締役社長・鈴木健一郎氏)がバックにつく。静岡県西部の経済界のボスとして長年君臨する鈴木修相談役・スズキ自動車と県中部経済界の取りまとめ役として勃興する鈴木健一郎社長・鈴与のいずれが相手を下す足がかりとして県知事選を制するか、”ダブル鈴”紛争がこの度の静岡県知事選の真の構図なのだ。



【画像④ 鈴与(株)代表取締役社長、鈴木健一郎氏(49)。鈴与は1801年に廻船問屋として創業された静岡県でも”老舗中の老舗”というべき物流企業グループである。グループは140社に及び、港湾、運輸事業とその関連事業を東海地方を中心に展開する。】





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