”自公連立”終焉? 衆院選”与党大敗”と様変わりの国会内勢力関係、どうなる?連立組み合わせ
◆発足したばかりの石破茂政権が被った大敗北
10月27日投開票の衆院選は、与党・自公連合の大敗、全体としての野党勢力の伸長という結果だった。全体でみると、衆議院465議席中、自公与党が215議席、野党が250議席獲得で、選挙前のそれぞれ279、186とは大きくその割合を変えた。
過半数は233で、自民党は選挙前に247と単独で過半数を超えていた。しかし、今回は自民党が56議席、公明党が選挙前の32から24へと8議席の計64議席後退させ、2党でも過半数を18議席も割ることになってしまった。
与党大幅後退の原因については、いわゆる「パーティー券キックバック裏金」問題など昔から自民党の政治で燻り続けた”政治とカネ”問題がここ1年ほどでクローズアップされたこともある。しかし、それ以前の安倍晋三元首相殺害事件を契機に爆発した旧統一教会と自民党の癒着問題で、その後の岸田政権の支持低迷を長く招き、引きずっていたこともあるだろう。これは後述するように、政権与党であると共に選挙戦共闘での頼りになるパートナーである公明党とその支持母体=創価学会の活力を減退させる要因ともなり、自公両党の隠れた敗因の1つを形成することになったと筆者は見ている。
自民党にとってこの度は、9月に党刷新につなげることを期待しての総裁選を経て、曲折はあったが党内の圧倒的多数の支持を得て石破茂氏を総裁に選出、10月1日に首班指名で首相就任、組閣して直ぐに臨んだ選挙であった。”選挙の新しい顔”であったはずなのだが、わずか1週間ちょっとで衆院解散に打って出て、27日投開票となり、まさかの大敗北を喫してしまった。
◆野党側は全体として”追い風”だったのに、党によっては後退も
一方、野党側は全体として”追い風”の選挙となり、改選前の合計186議席が250議席まで前進した。与党と35議席も差をつけており、過半数を突破している。しかし、党ごとに見ると、大きく前進したところがありながら、やや議席数を後退させたところもあるなど、明暗が分かれている。
やはり、比重を高めたのが立憲民主党で、改選前98から148へと、およそ1・5倍の獲得数となり、第一党である自民党と43議席差となった。総選挙前の代表選で野田佳彦元首相が代表に選ばれたことで、安定感が出た面があるが、選挙中、与党不振と野党への追い風が明らかになる中で「野党共闘に否定的な野田執行部だったために、政権交代のチャンスを逸することになる」と言われていた。
実際、小選挙区のレベルで見ると、野党が単一候補にまとまれば自公連合に勝利できそうなところが27ほどあると言われ、立憲民主党は議席数で自民党を軽く追い越す結果になったのではないかともされている。しかし、昨年来の日本維新の会、国民民主党の憲法問題では自民党より更に右へ舵を切った動きや、ウクライナ戦争をめぐる対応などで立憲民主や共産と対立して共闘を忌避するようになったれいわ新選組の動向を見ると、今回の総選挙で「共産党を含む共闘」などが成立しようもない政治状況だったことも明らかだ。
立憲民主よりも割合的に見れば顕著な躍進をしたのが国民民主党で、改選前7が28と、21議席増で4倍化している。連合の全面的支援を受けながら、「国民の可処分所得を増やす」という明瞭なよびかけを柱に、減税などを位置づけた分かりやすい公約が共感を呼んだのだと言われる。
【画像② 顕著な前進=4倍化した国民民主党は、「国民の可処分所得を増やす」という分かりやすい政策と連合の支援が噛み合い、支持を拡大した。玉木雄一郎代表は「連立に入る考えはない」と言うのだが…。】
その他、れいわ新選組は改選前3が9議席と3倍化している。こちらも「消費税廃止」など減税、さらに自民党から立民、共産まで大政翼賛会的にウクライナ戦争でウクライナ側の支援を進め、停戦よびかけなどをしない状況を批判するなどの姿勢が、従来の憲法擁護、平和指向のリベラル層の票の行き場となったことが考えられる。
ところが、日本維新の会、日本共産党は改選前よりそれぞれ6議席、2議席を減らしている。維新については、兵庫県知事「パワハラ」問題での対応が響いたことや創設者橋下氏についた議員グループと馬場伸幸執行部の水面下の対立が激しくなっていることなどから党としてのまとまり、勢いを失っていたことが背景にある。
日本共産党は昨年来の元幹部党員2名の「異論排除」での除名や、それに抗議したり対応に反発した党員たちの処分が相次ぐなど民主主義と人権を蹂躙しかねない共産主義政党の本質的欠陥を露呈したことが、自民党の裏金問題追及で先進的な役割を果たしたにもかかわらず、党の前進を妨げる要因になったものと思われる。
その他、参議院に1議席だけを有していた参政党が衆院3議席を獲得したことや、新参者の日本保守党が小選挙区1を含む3議席獲得したことが国会内勢力をめぐる新たな配置として表れている。
◆新たな連立相手のターゲット
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