国民世論無視で「男系男子」継承押し通し~自民党「安定的な皇位継承の在り方に関する所見」~小田部雄次静岡福祉大学名誉教授がコメント
4月26日、自民党の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」の麻生太郎会長が党内意見のとりまとめとしての「安定的な皇位継承の在り方に関する所見」を発表。これは、「衆参両院議長からの要請を受け、我が党の考えをとりまとめるべく『安定的な皇位継承の確保に関する懇談会』を設置し、議論を深め…」とりまとめたものだという(麻生会長ペーパー)。
同日中には、麻生太郎会長から衆参両院の正副議長に提出された。なお、麻生会長が発表に際して出したペーパーでは、「今後、本件に関する法案が提出される際には、改めて党内での議論、党内手続きを行う予定」とのことだ。
4枚のA4版ペーパーにまとめられた「安定的な皇位継承の在り方に関する所見」は、画像②~⑤に示す。
◆「皇位継承問題を真剣に考えるなら解散・総選挙で国民の声の再確認を」
筆者は、これらが発表されてすぐ、静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授に送付させていただき、コメントをいただけるようお願いした。そして、その内容を紹介する動画番組を4月30日に配信した。
(参考動画)「論破!論破!論破!小田部雄次教授からのコメント紹介。自民党『安定的な皇位継承のあり方に対する提言』に対する提言」2024/4/30
古是三春_篠原常一郎
https://youtu.be/YSf3gK_F7UE?si=xykziirevPzKwgP0
小田部先生は、ポイントごとに見解をまとめた形で文章でお示しいただいた。番組では大要を紹介したのだが、丁寧な内容の全てを正確にお伝えするには記事で全文を掲載することが必要と考えた。以下、ポイントごとに小田部先生のコメントを順次、掲載するが、その前段として先生は自民党の今回の「所見」発表・両院正副議長提出について、全体的に次のようなコメントをされている。
「今回、岸田内閣でこのような重要な問題を性急に進めているのか、これが一番の問題だと思っています。…統一教会問題、裏金問題なども解決せず、支持率も歴代最低を続けているのに、先の選挙で多数派になっていることをいいことに強引に推し進めているように見えます。…皇位継承問題を真剣に考えるのなら、国民の声を再確認する意味で、解散して総選挙をするなりの道を提示すべきでしょう。その時に、この問題を各党の公約として掲げるべきでしょう」
「また、自民党案のまとめ役が麻生氏ということですが、三笠宮信子妃の実兄です。
皇室の姻族がこのような皇室に関わる法案改正の中心にいることは問題だと思います」
内閣支持率が20%前後(不支持率は60~70%)で推移している岸田文雄政権が、泥縄式に党内国会議員の意見を求め、結局は「男系男子」継承を温存するために本当の「皇統の危機」からは目を逸らした「公務のための皇族数確保」(女性皇族の婚姻後の皇籍維持、「男系男子」からの宮家への養子受け入れ等)でお茶をにごすような「有識者会議報告」を追認するものにすぎない文書にまとめられたのが、自民党「所見」だ。内容を読んでも、自分たちが歴史学者、考古学者、皇室史研究者など学識経験者から意見を聴取すらせず、不十分な勉強しかしていない党所属国会議員のレベルの低さを示すものに過ぎない、と筆者には思えてならない。
まして、「パーティー券キックバック裏金」問題、旧統一教会との癒着問題についても国民の前に真相を明らかにできず、目の前の重大問題に正面から取り組めない状況である。長い歴史の先を見通した「皇統の安定」について、きちんとした見識を現在の自民党の人々に求めることが土台無理なのかもしれない。
小田部先生が指摘する宮家の姻戚にあたる人物が皇室の仕組みや皇位継承の在り方について、意見取りまとめの中心に位置するのも公平性の観点で極めて問題なのは明らかだ。以下、小田部先生のコメントを順次掲載するので、画像②~⑤を参照されながら、吟味されたい。
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