総選挙も伸び「党首討論」ないまま通常国会閉幕か?~”早期解散”も先送りで徹底して議論からの逃げ切り策す岸田文雄首相~総裁選、解散に向けた思惑は?
◆開催約束が反故になりそうな「党首討論」
通常国会の会期末(6月23日…実質は21日まで)が迫る中、与野党で今国会中に開くことを合意していた岸田政権下初の「党首討論」が実現しない可能性が濃厚になってきた。一時、噂されていた「会期延長」(7月7日の東京都知事選以降にまで、との説が囁かれていた)も立ち消えの雰囲気が漂う中、開催を約束していた自民党側がこれを事実上、反故にする動きを取り始めたのだ。
国会における「党首討論」は、国会改革の目玉として2000年(平成12年)に英国議会をモデルにして導入されたものである。衆参両院で作る「国家基本政策委員会」で当初は国会会期中、「週1回開催」を原則に掲げていたのだが、その後減少の一途をたどり、昨年秋の臨時国会で日本維新の会が開催を迫ったものの実現しなかった。
実は菅義偉政権時代の21年(令和3年)6月以来、もう3年にわたって途絶えている。開催を迫って実現を阻まれた維新は、「じゃあ、党首討論の舞台となる衆参両院の国家基本政策委員会は無用の長物じゃないか」と主張し、これの廃止法案を衆議院に提出している。
日本維新の会の関係者は、こう言う。
「4月2日の与野党国対委員長会談で、自民党の浜田靖一国対委員長は通常国会の会期内での開催を確約していた。ところが、政治資金規制法改正案の審議が揉め、日程が窮屈になる中で実現が危うくなっている。…野党側は今月の10日から14日の間に開催するよう要求しているが、自民党側は応じない」
一方、立憲民主党関係者は、この間の動きについてこう述べている。
「自民党の浜田国対委員長が、我が党の安住淳国対委員長にこっそり『会期末直前の19日開催ではどうか』と打診してきた。これは、実質『党首討論潰し』を画策したものだと言わざるを得ない。我が党が、18日か19日に内閣不信任決議案を衆議院に提出することを計算した上のことだからだ。不信任決議案が提出されれば、衆参両院の審議がストップするので『党首討論』も開けない。自民党からすれば、ちゃんと日程を提案したのに野党が勝手に蹴ったのだと言い訳が出来るよう考えたもので、姑息きわまりない」
しかし、こうした自民党の動きについては、もちろん更なる思惑が絡んでのことと考える方が妥当だろう。その背景には、岸田首相周辺が衆議院の解散・総選挙を9月に任期終了となる自民党総裁の選挙以降に持ちこそうと腹を決めたこともありそうだ。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?