見出し画像

国家安全部が「反スパイ法容疑で死刑」具体例を発表

≪「それはUSBメモリー混用から始まった」~反スパイ法で死刑判決~国家安全部が公式サイトでケーススタディを公開~「警告」で中国人民の引き締めを企図か≫241108


【画像① 2022年10月、中国共産党にとっての聖地・延安を訪れた習近平氏ら党指導部トップ集団、中央政治局常務委員「チャイナ7」。3期目に入った最高指導者としての権威を建国の父・毛沢東主席になぞらえて保とうとしてのことだが、現在、コロナ後も全く解消できない経済不振と暗黒度を深める強権政治に中国人民の信頼は下降するばかりだ。】



11月6日付で中国版CIAである国家安全部(国安)の公式サイトに、反スパイ法容疑で死刑判決を出された事件の概要に関する具体的なケーススタディのような記事が突如、掲載された。この間、不動産乱開発の失政に端を発した深刻な経済不振、相次ぐ軍をはじめとした各機関の幹部に対する「腐敗」を理由とした粛清などで習近平3期目体制下、中国共産党と政府に対する信頼が低下。富裕層がチャンスを狙って財産を海外に移転すると共に、親族の中国脱出を進めるという事態があちこちで見られる。


逆に一部の観測では、人民解放軍側が粛清を繰り返した習近平主席の健康悪化を奇貨として”反撃”に出て、権力構造が変化しつつあるとの見方もある。いずれにしても、かなり広範な部分で中国共産党政権に対する忠誠心、信頼が揺らいでいることは確かだ。


その中で国安は突如、「ある国家機関の中核機密職員」である人物が、退職後に海外渡航する中、外国のスパイ活動に協力し機密情報の盗み出しを行って摘発された事例を記事として示したのである。「張氏」とされたこの人物は、反スパイ法容疑で死刑を申し渡されたとされる。このタイミングでかなり具体的な事実は伏せられているとはいえ、ケーススタディー的に死刑判決が出た事例を国安が公式サイトで記事化して発表したことについて、中国国内ではかなり衝撃を広げている。

【画像② 中国国家安全部公式サイトに11月6日付で発表された記事「情報漏洩の”種”は植えられ、深淵から無限の情報を刈りとる」。中国のサイトは国外からアクセスすると大変に危険なので、リンクは貼らない。】




明らかに忠誠心を失いつつある元公務員を含めた中国人民に対する”警告”として、こうした記事が現れたであろうことは容易に想像できる。以下、その概要訳を掲載する。


◆「情報漏洩の”種”は植えられ、深淵から無限の情報を刈りとる」~外国機関の誘惑に負けた張氏の悲劇~国家安全部公式サイト掲載記事


近年、海外のスパイ活動や諜報機関が、我が国の重要な機密関連部隊の職員を標的にして扇動し、機密情報の窃取を展開している。我が国の国家機密を違法に収集、盗み出しているのだ。張氏はかつて、ある国家機関の中核で勤務し機密情報に接することを職務としていた人物で、職務上、多数の国家機密にアクセスしていた。

ここから先は

2,875字 / 2画像

インテリジェンスウェポン正会員

¥1,500 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?