リベラル政権ほど過激化? ドイツ「緑の党」所属のベアボック外相「習近平、独裁者」発言でドイツ外務省、中国政府から抗議を受ける
◆「ウクライナ支援の重要性」を強調するあまり口をすべらせた? ベアボック外相「習近平、独裁者」発言
昨年来、ウクライナ=ロシア間の国家間正面衝突に発展したウクライナ紛争に対し、ドイツの態度はかなり複雑な状況を推移してきた。もともと、バルト海経由の2つのパイプラインでロシア産天然ガスを直接輸入し、「脱原発」宣言下での国のエネルギー資源の根幹にしようとしていた矢先、ロシアのウクライナ侵攻で事業が頓挫。その上、昨年9月には、稼働していたパイプラインの1つ「ノルドストリーム-1」が何者かによって爆破され(米・ノルウェイの共同による特殊部隊実行説とウクライナ関与工作説がある)、経済面で瀬戸際に立たされた。ほぼ同時期から、米英から強く迫られて消極的だったウクライナへの武器供与について積極姿勢に転換し、いまやNATO諸国の中でも特に熱心にウクライナ支援を実施する国へとドイツは変わった。
そのドイツは、以前のメルケル政権からショルツ政権へ交代したのだが、これは保守系(東独出身のメルケル氏だが、所属は保守のキリスト教民主同盟)からリベラル左派政権に変わったことを意味する。オラフ・ショルツ首相はドイツ社会民主党で、現政権は「緑の党」などが加わったリベラル左派連合をベースにしている。
その中でも最もリベラル色が強い閣僚が、「緑の党」の女性政治家であるアンナレーナ・ベアボック外相だ。彼女はロイター通信によると、米フォックス・ニュース(保守系メディア)のインタビューでロシアのウクライナ侵攻に関する質問に対して、こう答えたと言う。
「もしプーチンがこの戦争に勝利したら、習近平のような他の独裁者にとってどのようなサインになるだろうか」
(参考)「中国、習主席巡るドイツ外相の『独裁者』発言で抗議」2023/9/18 REUTERS(日本語版)
https://jp.reuters.com/world/china/HHAS2VREGFI3ZCFX2GQG4WS24Y-2023-09-18/
当然、中国側は怒る。中国外交部(外務省)の毛寧報道官は定例記者会見で「(ベアボック外相の発言は)極めてばかげており、中国の政治的尊厳を侵害している」と述べた。
どうもベアボック外相の発言は、過去にも過激なものがあったようだが、もともと”脱原発”や”自然回帰”で主張がラジカルな「緑の党」の活動家出身ということもあるのだろうか。ともかく、彼女の言動には跳ね上がりが多く、連立政権内でも悩みの種のようだ。
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