北朝鮮のウクライナ「1万人派兵」、結局は”派遣労働ピンはねビジネス”が目的か?~給与実態が暴露される
◆「1万人派兵」と騒がれるウクライナ侵攻ロシア軍への北朝鮮兵士派遣
最近、ウクライナのゼレンスキー大統領が国際会議で取り上げ、その後米英国防省などで報道リリースされて「ウクライナ侵攻のロシア軍に北朝鮮兵士1万人が派遣されている」との話が西側諸国報道で広がっている。実は、今年も少し前から東部ウクライナでロシア連邦に編入されたドネツク州とルガンスク州で、戦災復興事業に導入された大量の北朝鮮派遣労働者を警護するため、3000人規模の北朝鮮軍兵士が投入されているとの情報も流れていた。
実は「インテリジェンス・ウェポン」リサーチャーは昨年前半の段階で、既に朝鮮人兵士がウクライナ東部で活動するロシア軍の中に参加しているとの情報をロシア軍筋から得ていた。リサーチャーの情報は次のようなものだ。
「シベリア出身のブリヤート人からなる部隊の一部に朝鮮兵士が中隊規模で含まれていた。精鋭の特殊部隊でウクライナ軍の戦線後方に入り込んで補給拠点を襲ったり、幹部を殺害するなどの任務をこなしていた。ロシア軍側との意思疎通役にカザフスタン出身の朝鮮系ロシア人要員が配置されていた」
ロシア軍筋によると、北朝鮮兵士は優秀でほとんどの任務を成功裏に果たしたという。また集落や市街地区の「家から家へ」の掃討戦闘も得意だったとも伝えられる。昨年派遣されていた部隊は、既に戦線から退出したというので、これは今年になって大量に確認される派遣朝鮮部隊の試験的運用を兼ねた先行派遣だったのではないかと推測される。
◆ロシア政府が北朝鮮兵士1人あたり月2000ドルを支給
ロシア外交筋情報によると、西側諸国が「ウクライナへの北朝鮮兵士派遣は重大事態」といくら騒いでも、全く痛痒を感じないのだと言う。
「ロシア領クルスク州に侵入したウクライナ軍部隊には、米英やカナダ兵士、ポーランド、ドイツの兵士までいてまるでNATO軍そのものじゃないか?
西側諸国がやっていることを我々がやっても彼らが批判できるようないわれはない」
ロシアの言い分はそんなところだが、実際、ウクライナ戦争が始まってからロシア軍も外国人を兵士として積極的に受け入れている。国内の移民事務所には「ロシア軍に志願すれば、居住権が容易に取得できる」とあからさまにポスターやパンフレットでの呼びかけがされており、ウクライナの戦線でもシリア人や南米諸国人、さらにはアメリカ人や日本人まで”義勇兵士”としてロシア軍の戦列に加わっているのが確認されている。
北朝鮮外務省も10月25日、ロシア担当外務次官が「我が国の軍人派遣は、国際法上の規範に符号する行動だ」と述べ、事実上派兵を認めた上でそれを合理化してみせた。
これは、100万人以上の兵員定数を誇りながら、総人口が1億4800万人程度で同規模の軍隊を持つアメリカ合衆国(3億3000万人)、中国(14億人程度)に比べれば対人口比での負担率の高いロシアが、3年を超えて長引くウクライナ戦争で兵員不足を来たしていることが背景にある。米国防総省が最近まとめとして発表したデータによると、2022年2月24日の開戦以来、ロシア連邦軍の戦死者は最大で4万3000人、負傷者は22万3000人であり合計すると当初擁していた総兵力(100万人)の4分の1に及ぶ大損害である。
これは単に継戦に支障となるだけでなく、ロシアの産業従事マンパワーを損なうことにもなり社会的に深刻な影響が出る可能性が高くなる。そこで、積極的に交代要員をロシア国内の若者から徴募すると共に、ロシアへの移住希望のある外国人からの入隊を積極的に推進することになったのだ。
ちなみに、リサーチャーが入手したロシア軍入隊募集資料によると、外国人でもロシア国民でも、志願して入隊適正検査に合格すると、その時点で給与外の「支度金」として日本円換算で80万円程度の現金が支給され、勤務開始と共に戦線従事手当を含めると年間700万円相当の報酬が保障されると説明されている。これは、ロシア国内の平均的なサラリーマンの給与所得の倍以上で、過去のロシア軍の実績から言っても破格の待遇と言ってよい。
ところで、ロシアと北朝鮮は後者がウクライナに派遣する兵士1人あたりにつき、月額2000ドル相当(約30万4000円)がロシア側から支給されるという内容で合意したという。従来、ロシアに派遣されていた北朝鮮労働者は1人あたり月額6万円相当を渡されていたので、その5倍以上のものだ。もっとも、現状での戦線従事ロシア軍兵士の平均給与額と同程度なのだが。
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