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【政治家に陳情書を出そう!】党首先頭に「女性天皇容認賛成」、でも自民党に引きずられ「男系男子継承」温存に与する公明党~「全体会議」で示された皇位継承についての各党・各会派の考え方②
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1月31日に引き続き、「天皇の退位等に関する皇室典範特定法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議」(以下、全体会議とする)が2月17日(月)の午後、衆議院議長公邸で開催される。この間、本noteやYouTube配信で取り上げた通り、衆参正副議長の呼びかけで国会内の各党各会派代表者などを集めて行われる協議の場だが、2022年12月に岸田文雄首相(当時)に有識者会議から答申された報告書を基に①悠仁親王までの皇位継承順位はゆるがせにしない②女性皇族の婚姻後の皇籍維持③皇統に属する男系男子の養子受け入れ又は法律による皇族編入、の3点に議論を制約して「立法府(国会)の総意」をまとめようとしているものだ。
当初は衆議院の額賀福志郎議長、現在は玄葉光一郎副議長が熱心に各党代表にも働きかけて”同意”を強く迫るようなことまで、全体会議の場とは別に行われている。いずれにしろ、①~③の論点の方向は結局、安定的な皇位継承を確保することよりも男系男子継承を当面維持して皇位継承1位の秋篠宮、同2位で長男の悠仁親王が皇位に就くことだけは最優先にするということが本質で、昨年までの世論調査で示された8~9割の国民が求めている「女性天皇容認」の方向に背を向けるものだ。
◆24名中11名が「女性天皇容認賛成」の公明党
一方、先般本noteでも立憲民主党について取り上げた際指摘したが、昨年10月の総選挙の際にNHKが実施した候補者アンケートに照らせば、全衆議院議員のうちの246名が「女性天皇容認賛成」であることが判明している。立憲民主党の場合、所属衆院議員の9割近くというのだから、選挙中の「公約」に等しいこのような言動をないがしろにして「男系男子温存」への妥協を図る同党野田佳彦執行部の姿勢は、民意を裏切る公約違反そのものだ。
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公明党について見ても、この度の衆院選で後退し24名となった所属衆院議員のうち、11名が「女性天皇容認賛成」と答えており、その中には同党の現代表である斉藤鉄夫氏も含まれている。ちなみに、「女性天皇容認反対」は1名、「回答しない」が12名である。「賛成」「反対」の議員名と選挙区は、画像③に示す。
全体会議において公明党は、皇位継承問題(実際は全体会議では具体的な議題からは外されている)を考えるにあたり、①国民の理解②歴史と伝統の尊重③皇族の方々の思い、という3つの観点が重用だとしつつ、有識者会議報告書の方向や自民党が表明している態度に歩調を合わせながら、次のような主張をしている。
「悠仁親王までの皇位継承の流れを不安定化させることはあってはならない」
「悠仁親王の次代以降の皇位継承は引き続き議論を深めてゆくべき(皇位継承資格と皇位継承順位は一体として議論すべき重い課題」
「皇族数の確保を図ることが急がれる課題」
これは一見、自民党とほぼ同じには見えるが、「次代以降の皇位継承」という項で将来の「女性天皇容認」への含みを持たせたものと見て間違いない。しかしながら、既に2005年11月に小泉政権に対して有識者会議が答申した報告書で明らかにされている通り、皇位継承の安定については「女系天皇、女性天皇の容認」が欠かせず、それが喫緊の課題になっているのだ。20年前ですらそう言われていたのだが、それが悠仁親王の誕生という事態で課題先送りとされた。
(リンク)「皇室典範に関する有識者会議 報告書 平成17年(2005年)11月24日」→内閣府サイト
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3531374_po_houkoku.pdf?contentNo=1
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では、悠仁親王が既に成年皇族の年齢を迎え、皇位継承の見通しが安定したと言えるようになったかと言えば、そんなことは全くなく、むしろ皇統断絶の危機は深まっているというのが、現実だ。そして、「男系男子継承」にこだわってきたことが、いっそう継承の不安定化につながっているということは、例えば「男子を絶対産まねばならない」というようなおよそ前時代的かつ過大な精神的圧力を皇位継承者の配偶者に与えることひとつとっても明白である。
冷静に考えれば誰でも分かるこんな状況を、まったく正視しないまま議論されているのが現在の全体会議である。この行き詰まりを打開するには、各政党、議員が国民有権者に対して約束してきた立場を踏まえて、リアルな議論をすることしかない。その面で、与党でもある公明党の立ち位置の重要性は際立っている。
以上から、公明党所属議員に対して、画像④、⑤の文例に示したような陳情を行うことが今求められるところだろう。政府機関、国会、国会議員などに陳情することは、国民に等しく認められた基本的な権利であるが、国会議員たちが過去に有権者に対して示した方向に背を向けている以上、それを正すために陳情書を送るということは議会制民主主義のあり方を本来のものにするためにも重要だ。
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以下、全体会議で配布された「各党・各会派の意見の要点」のうちの公明党から示されたものについて、掲載する。適宜、※を付して引用者(篠原)による補足説明と批判的観点を短文で示した。
「◎」以下の項が有識者会議報告書で示された項目で、それぞれについての党派意見を「・」以下に列記した。
(以下、有料版)
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