ウクライナの次はシリア、アルメニア?~NATO、イスラエルによる”挑発”、攻撃で進む第三次世界大戦の現実化…
◆シリアの首都ダマスカス在のイラン総領事館をイスラエル軍が攻撃、イラン革命防衛隊幹部ら死亡
イスラエル・ネタニヤフ政権による大胆不敵、というより日本的な思考から見るなら無謀、傍若無人なふるまいで中東方面に軍事緊張がかつてなく高まっている。4月1日とその前後、イスラエル空軍がシリア東部及び首都ダマスカスに空爆を加え、同地のイラン総領事館を破壊。滞在していたイラン革命防衛隊将軍を含む7名を死亡させ、同時にシリア市民にも死傷者が出ている。
イスラエル側にも、反イスラエル軍事行動を隣国のレバノンから継続するヒズボラ―を支援するイランへの”報復”といったような側面はあろうが、在外公館とはいえ主権国家そのものをいきなり軍事攻撃するやり方は新たな戦争を挑発するものに他ならない。後述するようなNATOの動きを含め、こうした対話ぬきの軍事挑発や攻撃は第三次世界大戦を現実化させていく道につながりかねない。
「ロシア外務省は4月1日、イスラエルによる在ダマスカス・イラン総領事館への攻撃を非難した。…『シリアにおけるイラン領事代表部への今回の攻撃を断固として非難する。ウィーン条約によって使節団の施設は不可侵であり、いかなる侵犯も絶対に受け入れられない』『イスラエルによるこのような侵略的行動は絶対に許されるものではない。シリア及びその諸隣国において挑発的な暴力行為をやめるよう、イスラエル政府に対して強く呼びかける』(ロシア連邦外務省公式サイト)」
<イラン革命防衛隊将軍2名と将校5名が死亡~国連事務総長報道官『国の主権を侵すもの』と強調>
「イスラエル国防軍(ツァハル)は4月1日、シリアのダマスカス南西部のアル=メッザ地区にあるイラン総領事館の建物を攻撃し、イスラム革命防衛隊(IRGC)のモハンマド・レザ・ザヘディ将軍及びモハンマド・ハディ・ハジ・ラヒミ将軍の2名と、同行する5名の将校が死亡した。前日にはイスラエルがダマスカス周辺を攻撃し、地元住民2名が犠牲となっていた。…ステファン・ジュジャリク国連事務総長報道官は、今回の事件に大きな懸念を持っているものの、さらなる情報を待つと声明。『海外からの攻撃は、国の主権を侵すものだ』と強調している」
「これより先3月26日、テレビ局『アル=マヤディーン』は、シリア東部のデイル=エズ=ゾル県が空爆を受けたと報じ、数は明らかになっていないものの、数名が犠牲になったとしている。それによれば、攻撃を受けたのはアル=ブカマル市のアル=サリヒヤ地区、アル=マヤディンの住宅地区、デイル=エズ=ゾルのアル=クスル地区だという」
<パレスチナ側の要求は1967年以前の国境線への復帰~イスラエルは拒否>
「中東情勢は、パレスチナの過激派組織ハマスがガザ地区からイスラエルにミサイル攻撃を行った10月7日未明以降、さらにイスラエル南部に進攻し、人質を取って以来緊迫化している。同じ日、イスラエルはガザ地区に対して報復攻撃を始めている。…パレスチナ側は、1967年の6日間戦争以前の国境線への復帰を目指しており、ヨルダン川西岸及びガザ地区に国家を建設し、東エルサレムを首都とすることを求めている。イスラエルはパレスチナ側からの要求を拒否している」
(参考)「ロシア、イスラエルによるイラン総領事館攻撃を非難」2024/4/1 イズベスチア(ロシア語報道)
◆アルメニアのNATO接近でコーカサス、旧ソ連邦諸国間に緊張
一方、ソ連崩壊前後から周辺諸国と「ナゴルノカラバフ」問題(アゼルバイジャン人とアルメニア人の混住地区の領土帰属をめぐる)で緊張要因を抱えるアルメニアの二コル・パシニャン首相が、4月5日にブリュッセルで米国のブリンケン国務長官、EU(欧州委員会)のフォン・デア・ライエン委員長と会談することについて、ロシア連邦外務省(ザハロワ報道官)が非難している。アルメニアは昨年秋らい、「ナゴルノカラバフ」をめぐるアゼルバイジャンとの武力紛争に介入したロシアを中心とする旧ソ連諸国の安全保障機構CSTOに反発し、EU、NATO側接近を強めロシアと対立するようになった。
ロシアからすれば、「ウクライナの次はアルメニアか?」という思いでNATO側の動きを看過できず、非難という動きになったのだろうが、ここにも第三次世界大戦に事態を発展させる因子の増大が感じられる。いかにイズベスチャ紙に掲載された「パシニャン首相の米欧会合、その目的は」とされた論説記事の概訳を紹介する。
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