【今こそ素数さんを知る!❼】
阪大でちょっとした有名人の素数さん。
でも素数さんとはいったい何者なのか?
世界で一番詳しい素数さん記事をお届けします。
第1回はこちら
【今こそ素数さんを知る】第⑦回
愛おしい数(すう)
前回は、整数論は拡張された世界が研究されていることをお話ししました。
その一方で、僕は数自体が愛おしいというか、一番下の世界の整数そのものが好き で、そういう話をブログに書いています。
例えば突然だけど、5882353という素数があります。
4で割ってみたら、余りは1なの。
ということは、前回紹介した法則が正しければ、(整数の自乗+整数の自乗)の形で書けるやん!
それがちゃんと保証されているって、すごくないですか?
「自乗する2つの整数を求めて」って言われてもすぐ答えられないのに、(整数の自乗+整数の自乗)の形にできることは保証されているんです。
それが、数学のすごさや!
実は、5882353は5882²+2353²になるんです。
それを知ったら、この数が可愛く思 えてきませんか?(笑)
こういう数って他にないのかな、と考えてみたら、101は10²+1²ですよね。
何が面白いかというと、ブログにも書いたのですが、このような性質を満たす素数はこの世にこの2個しかないことが証明されています。
たった2つだけなんです。
こうやって1つ1つの数に興味が出てくる、というのが私の遊び方なんですよね。
そして、数学の専門家といっても全てのことを知っているわけじゃないから、整数論の研究者でも5882353について知っている人なんてかなり少ないと思うんだよね。
だからこういうことについて日本で、いや世界で一番詳しい人間になりたいというのが最近の僕のアイデンティティというか、目指す研究者像になっています。
僕は普通の研究者とはちょっと変わったところがあって、本来研究者は研究だけをしているイメージがあるんだけど、僕はこうやってしゃべるのが好きで、一度しゃべり始めた ら止まらないんです(笑)。
イベントでの講演とか、研究集会で研究発表するのも好きで、とにかくこういう話をしている時が楽しいんだよね。
今まで話したことなんてフェルマーが1600年代には発見しているわけで、400年くらい前の話。
ということは、現在最先端で研究されていることはもっとすごくて、各段に美しい現象を数学者は扱っているわけだけど、400年前に発見された話でも楽しんで聞いてもらえるし、面白いと感じてもらえたりします。
ブログなんて書いていたら、そのぶん研究時間が減るわけで、命を賭けて研究している研究者からしたら「あいつは何をやってんねん」と思われるかもしれないけど、人にこういう話をどんどん伝えるのも使命だと思っています。
でもやっぱり研究者として活躍したいというのが一番で、今まで分かりやすい例を紹介してきたけど、こういった、自分で「美しい」と思える研究をどんどんしていきたいです。
やっぱり自分で発見するのが一番うれしいじゃないですか。