【哲学者は面白い!?❼】
哲学者は何を考えているかわからない?
そんな印象を持っている人も多いはず。
でも話を聞いてみると、なんだか面白い!
今回はそんな記事をお届けします。
哲学者は面白い!?⑦
宗教と科学、そして哲学
ーーー哲学は、宗教と科学どちらに近いのでしょうか?
それはサイエンスの方が近いと思うよ。
でもサイエンスと言っても、基礎と応用の2つに分かれるじゃないですか。理論物理学とかさ、君たちから見てサイエンスなの?
数学がサイエンスかっていうのはすごく難しい問題で、サイエンスではないと言う人もいます。
それこそ、哲学であると言う人もいます。理論物理学だってそうだよね。
この前ノーベル賞をもらった大隅さんは、「役に立たないものが大切だと大声で言うべきであって、『科学者は役に立つものを作れ』と言われたときに、『科学者のやっていることなんて 99%は役に立つわけないでしょ』って、科学者はちゃんと言うべきだ」、てなこ
と言っていたよね。
99%は役に立たないけど、ごくわずかなブレークスルーみたいのがあって、それを突破したらバーって革命みたいに新しいことが起こる。
でも 1%のブレークスルーを作るために99%くらいの無駄をコツコツやっていないとそういうことは起こらない。
それはみんな直観的に分かっているわけじゃないですか。
そういう意味では哲学だって同じようなもんです。
宗教について言えば、最初の幽霊の話からでもわかるけど、人間の持っている「信」の力は意外と大きくて、哲学と宗教はどっちが先にあったかというと、そりゃあ宗教の方が先にありますよ。
何らかの原始的な宗教があったんだよね、多分。
でも哲学にしろ科学にしろ、そこからちょっと距離をとって派生してきたのもまた事実だよね。
やっぱり哲学は科学の側なんですよ、どちらかというと。
哲学は宗教とは切り離されるべきものだとは思うけど、じゃあ現代において宗教がどうでもいいものかというと、そんなことはないよね。
唯物論や共産主義が出てきた時、最大の敵は宗教だったんですよ。
共産主義国家は「宗教なんか全部潰してしまえ」という考えがおおもとにあったからね。
だけどそれって成功しなかったわけで、逆に今、宗教が力を持って出てきているよね。
イスラム原理主義の力を無視して世界を語れない世の中になっていますから。
「科学的で民主主義的な世界になったら、宗教なんて全部消えるだろう」と思っていた時代があったんだと思うけど、全然そうはなってないという現状をみると、さっきの幽霊の話じゃないけど、人間って何か信仰とか、これは賭けと関係してくるけど、予知できないもの、説明がつかないものについて考えちゃうんだろうね。
例えば「なんで自分がここにいるのか」とか「死んだらどうなるのか」とか、それは昔カントが色々考えた問題だけど、そんなのって全然わからないじゃないですか(カントは、それは人間が必然的に考えてしまう問いだけど理論的な答えは出せない、と答えたんだよね)。
それを考えちゃうのは人間の機能としてやっぱりあるわけで、「やっぱりわからないよね」となった時に宗教的なものを想定して、そこに頼って生き延びているのは事実だと思うよ。不合理の合理というか。
科学的には明らかに非合理的かもしれないけど、それがあることによって、自らが正気であることを支えているというか。