【地震から建物を守るために❻】

日本人にとって一番の恐怖、地震。

地震から建物を守るために、何ができるのか。
幅広い視点から地震に強い建物を考えている宮本教授にお話を伺いました。


第6回

日本の木造建築


 木造建築物の研究にも関わっていらっしゃるんですか?


 現在の超高層建築物の技術は、五重塔の建て方を利用しています。

 千年以上も建っている五重塔は、過去に地震で大きく壊れた記録はあまりありません。

 昔は釘を使わず木を組み合わせて建物を作っていたのですが、力を加えられると木と木の間に摩擦が働き、お互いが押し合い、めり込みます。

 そのようにして振動エネルギーを吸収しているんです。

 
 そういうものがたくさん組み合わさって作られているのが五重塔であり、そのため今までに大きな被害が出ませんでした。

 ここが日本の木造建築の強いところです。


 五重塔は背が高く、しなやかで、揺れ方が超高層ビルの揺れ方に非常に近くなります。

 その意味では五重塔と超高層ビルなど、日本の背の高い建物は同じように考えることができます。



 ただ、五重塔は地盤の良いところに建っているため、被害が少ないという理由もあります。


 現代の人々は海を埋め立て、景観や利便性を重んじて地盤が悪い場所でも生活しているので、そういった点が今の建物の問題点です。

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