【今こそ素数さんを知る!❽】
阪大でちょっとした有名人の素数さん。
でも素数さんとはいったい何者なのか?
世界で一番詳しい素数さん記事をお届けします。
第1回はこちら
【今こそ素数さんを知る】第⑧回
素数から円周率が現れる!?
今回は、ゼータ関数のさらなる魅力についてお話します。
おさらいすると、ゼータ関数は
もしくは
の形であらわすことができ、sに素数を代入すればいいだけでしたよね。
さて、ζ(1)は無限になりましたよね。
では、ζ(2)はどんな値になるのでしょうか。
これはsが2なので、
の式になります。
値としては、だいたい1.6くらいなのは簡単にわかります(理系のみんなは計算してみてね!)。
でもだいたいの大きさじゃなくて、具体的な値を知りたい!
これはバーゼル問題と言って、スイスのバーゼルという地で数学者ベルヌーイが出した問題です。
100年間未解決でしたが、オイラーが解決したんですよ。
オイラーは、
ζ(2) は円周率πの二乗を6で割った値(=π^2 / 6)
であることを証明しました。
これは数学史上最も美しい公式の1つですが、何が面白いかというと、元の式としては整数の自乗の逆数を足しただけですよね。
つまり、整数にしか関係がありません。
でもそれを足し合わせていったら、整数とは全く関係のない円周率が出てきたんです!
これってどういうこと?
不思議ですよね。
こういう不思議があるからね、数学はやめられないの。
バーゼル問題もちゃんと厳密に証明されています。
でもね、証明を理解しても、なんで円周率が出てきたのか分からないんですよ。
ところで、ゼータ関数は素数からできているので、この ζ(2) も素数からできているわけですよね。
つまり、円周率は素数からできている!?
整数とは関係のない円周率まで素数が作っていることを、誰が予想できただろうか!
もう、ホントにね、「素数はなんてすごいんだ!」って感じちゃいますよね。
ちなみに、このζ(2)からも素数が無限にあることがわかります。掛け算バージョンの式で掛け合わせている1つ1つの要素は、例えば1/(1-1/4)のようになっていて、分数なんです。
分数は有理数ですよね。
素数がこの世に有限個しかないと仮定してみましょう。
分数を有限個掛けたものも、分数です。
つまり、もし素数が有限個しかなかったら、ζ(2)も有理数になります。
ところが、 円周率が無理数であることは別途証明されているので、有理数=無理数になってしまって、 矛盾しますよね。
実はこんな感じで、ζ(2)の値を見ても素数の無限性が証明できるんです。