【今こそ素数さんを知る!❹】
阪大でちょっとした有名人の素数さん。
でも素数さんとはいったい何者なのか?
世界で一番詳しい素数さん記事をお届けします。
第1回はこちら
【今こそ素数さんを知る】第④回
素数の面白さ
整数が好きだという話をまた挟ませてください(笑)。
どんな整数も必ず素数を掛け合わせることによってできているわけだよね(ちなみに素数大富豪ではそれがキーになります)。
素数を使えば(0, ±1 以外の)全ての整数を作れるということは、素数は全ての数の”素”になっているわけです。
なら、整数のことを知りたかったら素数のことを知ればいいのではないか?
例えば、5と7のことが十分にわかっていたら、35のこともちゃんと理解できる。そんな風に考えられるよね。
素数はよく化学の世界の元素に例えられます。H₂OはHとOからできているので、原理的には水素と酸素のことが完璧に把握できていたら水のこともわかるはずです。まあ、実際はそんな簡単にはいかないけどね。
元素って世の中にどれくらいあるか知ってますか?
最近ニホニウムっていうのが見つかったけど、あれ元素番号113番でしょ。
ということは、100ちょっとしかありません。
これ、めっちゃ少なくと思いませんか。
だって元素が100個くらいあれば、我々人間みたいな知的高等生命体を作れるんですよ。
それってすごくないですか?
これは要するに、組み合わせの数が膨大だということですよね。
非常に少数のモノでも、組み合わせを考えるといきなり数が爆発する。
だからこそ少ない元素数でも非常に多くの化学物質を作ることができるわけです。
それは数も一緒で、例えばさ、世の中に素数が2つしか無かったとしても、無限個の整数に出会えるよね。
100個も素数があったら、莫大な数(かず)の数(すう)に出会えるわけ。
そう考えると、素数は有限個でもよかったよね。
もしこの世に100個しか素数がなかったら、元素表みたいに素数の表を書いておいて、整数の問題は逐一素数に分解して、その表を見ればどんな問題も解ける。
そういう世界があってもおかしくなかったよね。
にも拘らず、素数が無数に存在することが2000年以上前に、ちゃんと数学的に証明されています。
数学的に証明されたら、受け入れざるを得ない。
まず一旦ショックを受けるわけですよ。
ああ、100個だったら良かったのに。
無限個も素数があったら完全把握はできないから、整数のことわからんやん。
でも真実がそうだったら、それを受け入れるしかないんですよね。
逆に言うと、それが数学の豊かさを生んでいるんです。
色々研究していくと、素数が無限個あるからこそ整数の世界に面白い現象がたくさんあることが分かってきます。
もし素数が100個しかなかったら「この100個だけですよ」って言えるけど、無限にあるんだったらどれだけ素数を挙げても証明になりません。
なのに我々人類は、素数の無限性を厳密に証明できています。
それが不思議というか面白いし、無限個ずーっと成り立ち続けてくれるっていう のは尋常でないことなので、そういうのが整数の面白さです。