【今こそ素数さんを知る!❻】

阪大でちょっとした有名人の素数さん。 でも素数さんとはいったい何者なのか?世界で一番詳しい素数さん記事をお届けします。 第1回はこちら

【今こそ素数さんを知る】第⑥回

素数は「因数分解」できる!

 前回は、整数論の世界にはゼータ関数というものがあって、式自体は小学生や中学生でも計算できるくらい簡単だけど、ものすごく偉い関数であることを説明しました。

 すごく重要な関数なので、微分積分を使ってゼータ関数自体を解析することも重要で、それは解析的整数論と呼ばれています。

 一方で代数的整数論というのもあって、整数自体を考えるのではなく、世界そのものを広げるんです。

 つまりどういうことかというと…。  

 僕の好きな素数の話から説明してみます。  

 実は素数は二種類に分類することができます。

 どうやって分けるかというと、4で割ったときの余りを見てあげます。

 (余りが1の素数)  5 13 17 29...

(余りが3の素数)  3 7 11 19…

 すると、上のグループと下のグループは別の法則でも分けることができるんです。

5(=1+4) , 13(=4+9), 17(=1+16), 29(=4+25)

  どんな法則か気づきましたか?

 上のグループは(整数の自乗+整数の自乗)の形に変形できますが、下のグループはそのようには変形できないんです。

 これはちゃんと数学的に証明されています。

 僕はこういう数(すう)の性質が大好きなんです。

 さらに、虚数iを使うと(整数の自乗+整数の自乗)は

X^2+Y^2 = (X+Yi)(X-Yi)

(^2は二乗という意味)という形に因数分解できます。

 これが、「世界を広げる」という意味です。


 素数は実数の世界ではそれ以上分解できないはずなのに、世界を広げたら素数が素数としての性質を失って分解されてしまった。

 実はガウス数体という、数の世界を一個拡張したレベルの高い二次元の世界が考えられていて、例えば13の因数である(2+3i)は広げた世界における素数、ガウス素数と呼ばれています。  

 これは二次元の世界だけど、もっと3次元とかn次元の世界に広げた世界を研究することによって、本来知りたかった整数のことが分かってきます。  

 こういうのを代数的整数論って言います。  

 で、新しい世界に広げるとその世界自身のことが気になってきて、最先端の人はそういった世界のことを研究しています。  

 他にも、数論幾何と呼ばれる世界もあります。  

 それらを見ても「これのどこが整数なん?」と思うけど、ルーツは整数にあるので整数論と呼ばれるわけです。

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