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日本人の平均年収減少!!原因は?収入を上げる方法は?

令和3年9月の国税庁から発表されている『令和2年分 民間給与実態統計調査』より日本人の平均給与について紹介します。

コロナ禍もあってか日本人の給与は減少しているようです。考えられる原因や収入を上げる方法について紹介していきます。

平均給与「433万円」、2年連続の減少

令和2年の1年を通して勤務した給与所得者数は、5,245万人で令和元年と比較すると10万人(0.2%)の減少となっています。平均給与は433万円で2年連続の減少です。

■平均給与:433万円
■令和元年比:-33千円(-0.8%)

国税庁_統計情報資料より作成

令和2年の平均給与は433万円ですが、正規と非正規では正規の平均給与が496万円、非正規では176万円です。非正規は男女別にみても昨年比でプラスになっています。全体的にも正規の平均給与も昨年より減っている状況ですが、正規と非正規では給与所得に大きく差があるようです。

【勤務形態及び男女別平均給与】
■正規:496万円(-77千円)
■非正規:176万円(+16千円)
■男性:532万円(-75千円)
■女性:293万円(-29千円)
※()は令和元年比です。

国税庁_統計情報資料より作成

2020年(令和2年)は2年連続給与が減少したとはいえ、2010年(平成22年)と比較しても0.5%の上昇です。しかし、この10年間で一番平均給与が高かった2018年(平成30年)は2010年と比較すると7%も上昇しており、約30万円も平均給与が高くなっています。それでも、日本人の給与は諸外国と比べるとほとんど上昇していない状況にあります。

正規、非正規雇用の問題や男女の給与格差などさまざまな問題を抱える中、2020年にコロナ禍での働き方の変化もあり、統計データでは令和2年の平均給与は「433万円」という数字だったようです。

全体の平均給与になるため、年齢別や業種別などによっても異なるでしょう。コロナ禍の影響も大きいと思いますが、日本人の給与が伸び悩む理由にはもっと根本的な原因も大きそうです。

国税庁_統計情報資料より作成

給与が上がらない理由

給料がなかなか上がらない理由を探ってみました。給料がなかなか上がらない理由は、経済の低迷が大きな要因ですが、日本独自のシステムで日本の給与が上がりづらい構造となっていることが大きく影響していそうです。

1.終身雇用制度があるのは日本だけ

終身雇用制度は、企業が定年まで新卒で入社した社員を雇用する制度です。入社当初の若い時は低賃金ですが、年齢が上がれば給与も高くなっていきます。終身雇用制度は、戦後の日本の経済成長下では、企業の労働力の確保と長期的な人材育成において安定した経営基盤を築けるシステムでしたが、バブル崩壊後の低成長でこのシステムを維持していくことは難しくなっています。

現在の日本で未だに続いている「新卒一括採用」の文化は、戦後に定着したルールです。この新卒一括採用という文化も世界ではめずらしい日本独自のシステムで「終身雇用」「年功序列」といった日本の企業人事システムに合っています。

このような日本の企業人事のシステムは日本の経済成長の妨げとなり、求人率の低下、給料が上がらない理由につながっていると言われています。

年齢が高くなれば給与も高くなる「年功序列」のシステムの中では、向上心や成長のための努力を怠ってしまうことも多く、モチベーションが上がらず、長時間労働になることも多いという側面があります。このシステムの中では、「成果を残して評価してもらい給与をあげていく」というマインドになり辛いかもしれません。

「終身雇用制度」なんて過去の話では?
と、思っている人もいるかもしれませんが、実は、厚生労働省職業安定局が発行している「我が国の構造問題・雇用慣行等について」(平成30年6月29日)によると、若年期に入職してそのまま同じ企業に勤め続ける人(生え抜き社員)は、2016年時点で大卒正社員の約5割という結果だそうで、日本の約半数の企業が終身雇用制だということが言えるかもしれません。

2.日本の労働生産性は低い!?

労働生産性とは、労働者1人当たりが生み出す成果の指標のことです。国際社会で労働生産性は付加価値をベースに計算されますが、主要先進7カ国の中で、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いています(公益財団法人・日本生産性本部<2020年>)。

給与がなかなか上がらない中で、基本給が上がらなくても残業代で収入が多くなっているという人もいるでしょう。日本の労働生産性が低い理由には一つの仕事に多くの人が携わっているという労働集約の問題もありますが、長時間労働の問題も大きそうです。煩雑な事務作業を効率化する改革も労働生産性を高めるためには重要だと思います。

【日本の労働生産性】
生産性=産出(Output)/投入(Input)
産出:労働の成果
投入:労働量
■時間当たりの労働生産性は、OECD加盟38カ国中23位
■一人当たりの労働生産性は、OECD加盟38カ国中28位
■日本の製造業の労働生産性は、OECDに加盟する主要31カ国中18位

この順位を見ると日本は付加価値を生み出す能力が低いということが分かります。グローバル経済の時代において国際競争力が弱いというこの結果は、事実として私たちの給与に反映してくる問題です。国家の競争力を高めるために変革が必要な時だと思います。

もちろん、2020年の平均給与が下がっている理由には、コロナ禍による社会活動の低迷の影響が大きいと思います。その中で、在宅勤務やテレワークなどが増え、残業代が減っているという点も関係しているように思います。

「働き方改革」について

日本の賃金が上がらない理由は、日本社会の構造や風習、体質、社会状況などさまざまな問題が絡み合っており複雑です。

2019年4月1日、働き方改革関連法案の一部が施行されています。政府が主導となり直面するさまざまな課題に対応していく姿勢も示されています。私たちの給料アップのために早急に取り組んでほしい課題だと思います。

じゃあ、どうする?

働き方改革が本格的に動き始めているとはいえ、なかなか、このような給与が上がらない社会の状況を個人で変える事は難しいです。

日本の生産性が高くなり平均給与が高くなるのを待つというは、いつになるか分からないので自分で出来る努力も考えてみましょう。

例えば、収入をアップさせるためには下記のような方法があります。

収入を上げる方法

  • スキルを磨き会社の評価をあげて昇級や出世をする

  • 給料の高い会社へ転職する

  • 起業する

  • 副業する

  • 投資する

厚生労働省が発表する「令和2年賃金構造基本統計調査_結果の概要」では、非役職者の賃金は298,300円、係長級は381,700円、課長級は499,000円、部長級は601,700円となっています。スキルを磨いていくという事は会社での昇給や出世だけでなく、自分自身のためになることですから給料アップでの転職や起業などの可能性も広がります。

知っておきたい「ダブルインカム」

収入源が2つある世帯を「ダブルインカム」と言います。夫婦共働きであればダブルインカムの家庭になります。収入源が2つあるとどちらかに何かあった際に安心ですよね。専業主婦(夫)家庭の場合でも、副業などによる副収入があればダブルインカムになります。

給料がなかなか上がらない中で、副業で収入を増やしている人も増えています。2018年10月に行われたパーソル総合研究所による「副業の実態・意識調査」によると、正社員で現在副業している人は10.9%で、現在副業を行っていないが、今後副業をしたい人は41.0%だったそうです。副業による平均月収は6.82万円だったそうで、毎月、給与以外に7万円程度の収入があるのは魅力的です。

【副業の実態】
■正社員で現在副業している人:10.9%
■今後副業しようと考えている人:41.0%
■副業による平均月収:6.82万円

副業の目的としては、やはり「収入アップ」というところが大きいようです。ただし、副業は勤めている会社の理解も必要で、「副業」に明確な定義はありませんが、副業が認められていない会社で働いているという人もいると思います。本業以外の収入源のために何か始めようと思っている人は、勤める会社の就業規則などを確認してから始めるようにしましょう。

経団連が2021年10月に発表している「副業・兼業の促進 働き方改革フェーズⅡとエンゲージメント向上を目指して」という資料の中の冒頭でも副業や兼業で個々スキルが更に向上しイノベーションの創出が見込まれるとなっています。

副業・兼業は、自身の能力 をひとつの企業にとらわれずに幅広く発揮したい、本業以外の仕事を通じてスキ ルアップを図りたいといった働き手の多様なニーズに応えること、他方、企業に とっては優秀な人材の確保や、社内では得がたい知見を活かしたイノベーション の創出が見込まれる取り組みとして、注目が高まっている

経団連『副業・兼業の促進』より

政府も、厚生労働省から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、各企業で働き手が安心して副業・兼業を行えるようなルール作りができるように促しています。

「終身雇用」「年功序列」「安定した収入」という日本型雇用システムを維持する事は難しくなってきています。実は、「退職金」という制度も終身雇用制度と結びつく日本独自の制度だったりします。

退職金制度がない、という人も増えてきたのではないでしょうか。給与がなかなか上がらない時代背景にある中で、自分で資産を増やすために副業などへの挑戦も考えながら資産形成をどうしていくか、考えていく必要があると思います。

お金を増やす方法

収入を上げる方法で紹介した「投資」も家計の収入をあげるための手段として行っている人が多いと思います。

「投資は怖い」などのイメージもありますが、投資を行っている人の割合も急増しているようです。
※参考_NRI「高まる投資熱-投資している人と投資に興味を持つ人の割合が大きく上昇-

投資を始めてみる事が難しい場合は、上手に貯蓄する方法を実践したり、貯蓄型の生命保険などに取り組んでみるのも良いかもしれませんね。

また、「お金を増やす方法」「NISAやiDeCo(投資)」については、前回投稿の記事で紹介しているので前回の記事もぜひ、読んでみて下さい!!

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