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古典ギリシア語に語源をもつ精神医学関連用語

私自身がうつ病を患っているため精神医学関連の用語に触れる機会が多く、その中に古典ギリシア語源と思われるものがいくつかあったので調べてみた。

括弧内のギリシア語の読みは古代の発音であり、また発音記号ほど正確な音を表さない。

尚、私は精神医学や心理学の専門家ではないため厳密な定義には誤りがあるかもしれない。
症状に当てはまる部分があり、それが社会生活において支障となったり苦痛に感じていたりする方は一度専門家の判断を仰ぐことをお勧めする。

apathy(アパシー):無気力

まずは私が目下最も苦しんでいる症状。
いわゆる「やる気がない」という状態だ。
しかしただ怠けているのではなく、病的なまでに物事に対して無気力・無関心になり、社会生活に支障を来してしまう。
今はこうしてnoteの記事を書いているためやや改善してきているのかもしれないが、症状には波があるため予断を許さない。

語源としては、古典ギリシア語の否定を意味する接頭辞 ἀ-(ア)に苦痛や悲哀、感情や情熱を意味する名詞 πάθος(パトス)を組み合わせたものらしい。
実際はフランス語やラテン語などを経由しているそうだが、表面的な成り立ちは極めて簡明だ。
"pathos"という単語は英語としてもそのまま使われている。

尚、精神医学や心理学では抑うつ状態とアパシーをその苦痛の有無などで区別することもあるらしいが、いずれにせよ思い当たる節がある方は専門家の診察を受けるべきだろう。

anhedonia(アンヘドニア):快楽の喪失

これも厄介な症状だ。
失快楽や無快楽症ともいわれ、とにかく何も楽しめない。
とりわけ以前は楽しめていた趣味や活動などが楽しめなくなることが特徴的とされる。
私はうつが一番ひどかった昨年の11月頃は、日がな一日ベッドに横たわって天井を眺めることしかできずにいた。
気晴らしに本を読んだり映画を見たりしようとしても以前のような楽しさを覚えることはなかった。
好きだった語学に取り組んでも何も感じず、本当に苦しい時期だった。快楽を感じることができないというのは拷問にも等しい。

やや回想が長くなってしまった。
この言葉の語源は、先程と同じ否定辞 ἀν-(アン)に快楽を意味する名詞 ἡδονή(ヘードネー)を合わせたものだ。-ia はラテン語の抽象名詞を作る接尾辞だろう。

この症状がみられるからといってうつ病であると決まるわけではないが、著しくQOLを損なうため早期の対応が望ましい。

akathisia(アカシジア):静座不能

これは精神疾患の症状というよりは、その治療過程で薬の副作用により稀に発現するものだ。
私は昨年の夏頃、ドーパミンの働きを調整する抗精神病薬の量を増やしたときこの症状が出た。
椅子やベッドなどひとところに留まることができず、居ても立ってもいられない状態になる。手足を動かしたい衝動にも駆られる。
私はその間家の階段を上り下りしたり、回転する椅子に座ってぐるぐる回ったりする奇行を繰り返していた。

語源は否定辞 ἀ-(ア)+ 座ることを意味する名詞 κάθισις(カティシス)から。ちなみに座るという意味の動詞 καθίζω(カティズドー)がある。

服薬中にこの症状がみられた場合はすぐに主治医に相談するべきだ。
私の場合は薬の種類を変えてもらったことで消失した。

autism(オーティズム):自閉症

発達障害の一つで、ASD(Autism Spectrum Disorder)という頭字語で知られる。
私は医師にASDやADHDのグレーゾーンであると言われた。
たしかに社会的な人間関係を築くのが困難であったり、妙なこだわりがあったりする点は思い当たる。
しかしこうした軽度の障害はその自覚と少しの工夫で対処可能であると教わった。

語源は「自身」を意味する代名詞 αὐτός(アウトス)と抽象名詞を作る接尾辞 -ισμός(イスモス)= -ism から。

hyperactivity(ハイパーアクティビティ):多動症

ADHDの"H"で、多動性・衝動性の症状。
私はこれの傾向は弱いが、じっとしていられなかったり人の話を遮ってしまったりする癖はあるので気をつけたい。

語源は「~を超えて」という意味の前置詞・副詞 ὑπέρ(ヒュペル)と、これはギリシア語ではなくラテン語だが、「活動」を意味する名詞 actīvitās(アクティーウィタース)から成る。

最後は少しこじつけだったかもしれない。
だがこのような記事を時間をかけて書くことで、その間悲観的思考や感情から解放される。
うつ病の苦痛をやり過ごすには、日中ほどよく時間を潰せる簡単な作業に没頭することが有効と思われる。

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