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動詞「놓다」と「두다」、何が違うのか?
「놓다」と「두다」。
どちらも「置く」という意味の動詞ですが、そこで疑問に思うのが「使い分け」があるかどうか。
この記事では、両動詞の意味の違いや使い分けのポイントを、解説していきます。
1.「놓다」と「두다」の共通点
まず、「놓다」と「두다」はどちらも「物を置く」という意味で使われます。単に物を特定の場所に置く場合は、両方の動詞を置き換えることができます。
例文:
지갑을 책상 위에 놓았다.(財布を机の上に置いた。)
지갑을 책상 위에 두었다.(財布を机の上に置いた。)
物理的に何かモノを置く場合は意味に違いはありません。
「バスにカバンを忘れて来た」で使われる「놓다」と「두다」も同じ
「バスにカバンを忘れて来た」「家にケータイを忘れて来た」という日本語に対して、韓国語では「置いて来た」や「置いて降りた」という表現を使うのですが、その場合でも「놓다」と「두다」両方使えます。
버스에 가방을 놓고 내렸어요.
(バスにカバンを置いて降りました。)
버스에 가방을 두고 내렸어요.
(バスにカバンを置いて降りました。)
この場合も、特に意識して使い分けているわけではないようです。
韓国政府の研究所「国立国語院」ホームページのQ&Aコーナーにこのようなやり取りがあります。
두고 오다 vs 놓고 오다
(質問)
1. 지하철에 물건을 두고 오다(地下鉄に物を置いてくる)
2. 지하철에 물건을 놓고 오다(地下鉄に物を置いてくる)
물건을 잃어버린 경험을 묘사할 때 1과 2 중 어느 표현이 더 자연스럽나요? 둘 다 맞는 표현인가요?(物を失くしてしまった経験を描写するとき、1と2のうちどちらの表現がより自然でしょうか?どちらも正しい表現でしょうか?)
(回答)보이신 표현 모두 쓸 수 있겠습니다.(表示された表現どちらも使えます)
韓国語の本丸機関でも公式に「どちらでもOK」と回答されています。
2.「놓다」と「두다」の違い
ただし、「놓다」と「두다」は別の単語ですので、やはり元の意味にはニュアンスの違いがあります。その違いとは、置いた後の意味と目的にあります。
놓다 → 手で掴んでいるものを手放して、ある場所に置く。そして、置いた後のことは特に気にしない。もしくは関与しない。
두다 → ある場所に置いて、維持する。
つまり、「놓다」は手で持っていたモノを手放して「あとは知らない」というニュアンスであるのに対して、「두다」は後で使うなどの目的のために「意図的に」置いておくというスタンスの言葉なのです。維持、管理まで含めた意味と考えてもいいですね。
「마음을 놓다」と「마음을 두다」
「마음을 놓다」と「마음을 두다」を表面的に翻訳すると両方とも「心を置く」になります。しかし、文脈から考えると「놓다」と「두다」の元のニュアンスが反映された意味になっていることがわかります。
마음을 놓다:気を置く、安心する、心配しない
무사하다는 편지가 왔다고 하기에 겨우 마음을 놓았다.(無事だという手紙が来たというので、ようやく安心した。)
마음을 놓다の「놓다」はある場所に置くという部分よりも、「手で掴んでいたものを手放す」「置いた後のことは気にしない」という意味にフォーカスが当たった使われ方です。
心を手放して、そのあとは気にしない。
そんなニュアンスが読み取れます。
마음을 두다:関心を寄せる、気に掛ける
그 선배가 애초부터 사업에 마음을 뒀다.(その先輩が当初から事業に関心を寄せた)
一方、마음을 두다の「두다」は놓다と違い、置いた後のことも気にする、意識を向けつづけるというニュアンスを持っています。したがって、마음을 두다は「対象物に対する心を保つ・維持する」という意味になることから「関心を寄せる」や「気に掛ける」という訳し方ができるわけです。
3.두다と入れ替えできない「놓다」の例
메미를 놓아 주다:蝉を手放してあげる(→逃がしてあげる)
손을 놓다:手を手放す(→していたことをやめる)
다리를 놓다:橋を置く(→橋を架設する / 人と人とを繋ぐ・仲介する)
1.と2.については「手放す」+「そのあとは関与しない」の意味が強く出ている言い回しです。なので、두다に置き換えることができないのはわかりやすいですね。
3.については두다との違いがわかりづらいですが、「置く」+「そのあとは関与しない」の連想になるようです。두다だと置いた後も関与していく意味まで含まれることになります。
4.놓다と入れ替えできない「두다」の例
바덕을 두다:囲碁を置く(囲碁を打つ)
거리를 두다:距離を置く(距離をあける)
시간을 두다:時間を置く(時間をあける、時間をかける)
사람을 두다:人を置く(人を泊まらせる、雇用した人を配置する)
놓다は置いた後に関与しない、関心がないというニュアンスのなるのに対して、두다は置いた後も関与していく、関心をもつという意味を持っています。したがって、ここで挙げた1~4の用法すべてが、置いた後もその状態を維持していくイメージが持てる点で、わかりやすいかと思います。
5.놓다の関連単語
놓아다:手放される、置かれる
心配や緊張などが忘れられたり解けたりしてなくなる。
→혼이 나지 않을까 걱정했던 나는 선생님의 따뜻한 미소에 마음이 놓였다.(怒られないか心配していた私は先生の温かい微笑みに安心した)
握ったりつかんだりしていた物がある所に位置される。
→밥상 위에는 샐러드와 샌드위치가 놓여 있었다.(食卓の上にはサラダとサンドイッチが置かれていた)
ある施設や装置が設置される。
→강에 놓인 교량.(川に架かった橋)
놓치다:のがす
握ったりつかんだりしていた物を間違って放してしまう。
→이리 오렴. 엄마 손 놓치지 않게 꽉 잡아.(おいで。お母さんの手を離さないようにしっかり掴んで)
しようとしたことやできそうだったことが、誤ってできなくなる。
→경찰들은 범인을 놓치지 않기 위해 범인의 집 주변을 이십사 시간 감시했다.(警察は犯人を逃さないように犯人の家の周辺を24時間体制で監視した)
乗ろうとした乗物に乗れなくなる。
→기차를 놓치다.(汽車を逃す)
6.まとめ
韓国語の「놓다」と「두다」は、どちらも基本となる意味が「置く」で同じですが、元々の意味から派生した使われ方がそれぞれにあり、そこで違いが生じます。
「놓다」は「手放して」「置く」ことに重点があり、置いた後の維持や管理には関心がない。
「두다」は意図的に配置して維持する意味が強く、準備や保管のニュアンスがある。
以上の違いを念頭におくと、文章解釈がわかりやすくなるはずです。
ご参考ください。
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